巻三十

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巻三十第十話 すぐれた歌で夫を連れ戻した妻の話

巻30第10話 住下野国去妻後返棲語 第十 今は昔、下野の国(栃木県)に住む者がありました。 長く夫妻は仲むつまじくともに棲んでおりましたが、何があったのでしょうか、夫はその妻のもとを去り、異なる妻をつくりました。夫はすっかり心変わりして...
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第三十第九話 年老いた叔母を山に棄てる話

巻30第9話 信濃国姨母棄山語 第九 今は昔、信濃の国更科(長野県長野市)に住む者がありました。 年老いた姨母(をば、叔母)を家に住ませて、親のように養い、年来いっしょに暮らしていましたが、だんだん厭わしく思うようになりました。嫁はまるで...
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巻三十第八話 姫を誘拐した従者の話

巻30第8話 大納言娘被取内舎人語 第八 今は昔、□□天皇の御代に、大納言□□という人がありました。たくさんの子の中に、姿かたちがとくに美しい女子がひとりありました。父の大納言は彼女をことのほか愛し、片時も離すことなく養いました。天皇...
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巻三十第七話 女を追い九州に下った少将が拉致された話

巻30第7話 右近少将□□□□行鎮西語 第七 今は昔、右近の少将□□という人がありました。容姿やありさまが美しく、心持ちのよい人でした。管絃をたしなんでいました。 九月十日のころ(旧暦)、月がとても美しい夜に、少将が人の家をたずねることが...
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巻三十第六話 死んだ妻と稲荷で出会った男女の話

巻30第6話 大和国人得人娘語 第六 今は昔、国守の□□という人がありました。とてもよい家柄の人でしたが、どういうわけか受領(地方の行政官、裕福になることが多い)で、たいへん豊かですべてがかなうような暮らしをしていました。 その人の妻が懐...
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巻三十第五話 おちぶれた夫と豊かになった妻が再会する話

巻30第5話 身貧男去妻成摂津守妻語 第五 今は昔、京にとても貧しい人がいました。身分も高くありませんでした。 頼れる知人もなく、父母親類もなく、家もなかったので、人に雇われて身をよせていました。そこでも重用されることはなかったので、「も...
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巻三十第四話 恋人との再会と同時に死んだ女の話

巻30第4話 中務大輔娘成近江郡司婢語 第四 今は昔、中務の大輔(なかつかさのたいふ、宮中の事務を行う第二等官)□□という人がありました。男の子はおらず、娘がひとりありました。 貧しい家でしたが、兵衛の佐(ひょうえのすけ、内裏の警護を行う...
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巻三十第三話 娘とちぎってしまった高僧の話

巻30第3話 近江守娘通浄蔵大徳語 第三 今は昔、近江(滋賀県琵琶湖周辺)の守□□という人がありました。家は豊かで、子が多くあった中に、娘がひとりありました。 まだ少女のうちから、姿かたちが美しく、髪が長く、有様がすばらしかったので、父母...
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巻三十第二話 男(平中)が来ないので尼になった女の話

巻30第2話 会平定文女出家語 第二 今は昔、平定文という人がありました。字を平中といいます。たいへんな色好み(女好き)でした。もっとも熱中していたころ、市に出かけました。すこし前まで、女は市で見つけるものだったのです。 ある日、后の宮の...
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巻三十第一話 美女のウンコを食う話(芥川龍之介『好色』元話)

巻30第1話 平定文仮借本院侍従語 第一 今は昔、兵衛佐(ひょうえのすけ、天皇を守護する役職)平定文という人がありました。字(あざな)を平中といいます。品もよく家柄もよく、姿かたちも美しい人でした。人あたりもよく話もおもしろく、世のあらゆる...