巻二十七(全)

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巻二十七第三十話 小さい霊と血染めの白米の話

巻27第30話 幼児為護枕上蒔米付血語 第三十 今は昔、ある人が方違え(解説参照)のために下京あたりの家に行きました。その家に昔から霊がついているのを知らず、みなで休みました。幼い子もありました。 幼い子の枕の近くに火をともし、そばにいた二...
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巻二十七第二十九話 二人になった乳母の話

巻27第29話 雅通中将家在同形乳母二人語 第廿九 今は昔、源雅通中将という方がいました。丹波中将と呼ばれていました。家は四条大路の南、室町小路の西にありました。 中将が在宅の際、乳母が二歳ほどの児を抱いて、南面(家の南側)に離れ、児を...
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巻二十七第二十八話 花を見て歌を詠じる霊の話

巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿八 今は昔、上東門院(藤原彰子)が京極殿にお住まいになっていた時に、三月二十日の頃、花が盛りで、南面の桜がなんとも言えないくらい綺麗に咲き乱れていたのを、院が寝殿でお聞きになられたので、南面の階(...
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巻二十七第二十七話 銀の椀が霊に取り返された話

巻27第27話 白井君銀提入井被取語 第廿七 今は昔、世間で白井の君と呼ばれる僧がいました。最近亡くなったということです。その人は、元は高辻の東桐院に住んでいましたが、後に烏丸小路よりも東、六角小路よりは北の烏丸小路に面して、六角堂の真後...
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巻二十七第二十六話 牛の力を借りた霊の話

巻27第26話 河内禅師牛為霊被借語 第廿六 今は昔、播磨(兵庫県)守だった、佐伯公行と言う人がいました。その子に、佐大夫□□という者がありました。四条高倉(京都の地名)の顕宗という者の父親です。その佐大夫は、阿波(徳島県)守である藤原定...
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巻二十七第二十五話 夫の幽霊が泣き暮らす妻を訪れた話

巻27第25話 女見死夫来語 第廿五 今は昔、大和国(奈良県)の□□郡に住む人がいました。一人娘がいて、見目形麗しく心映えも良かったので、両親は大切に育てました。また、河内国(大阪府東部)の□□郡に住む人がいました。一人息子がいました。若...
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巻二十七第二十四話 妻の霊を抱いた話

巻27第24話 人妻死後成本形会旧夫語 第廿四 今は昔、京に年の若い侍がありました。年来貧乏で、世間で生活していく方法もありませんでした。その頃、□□という人が、国守になりました。 侍は数年来この守と旧知の間柄だったので、守の元に行くと、...
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巻二十七第二十三話 播磨国の鬼が、人家に来て射られた話

巻27第23話 播磨国鬼来人家被射語 第廿三 今は昔、播磨国(兵庫県姫路市)の□□郡に住んでいる人が死んだので、その後に死穢を祓おうとして、陰陽師を呼んで家にしばらく居てもらったが、その陰陽師が言うには、「こんど、某日に、この家に鬼が来る...
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巻二十七第二十二話 猟師の母が鬼となり、子どもを食べようとした話

巻27第22話 猟師母成鬼擬噉子語 第廿二 今は昔、□□国の□□郡に、鹿や猪を殺すことを生業としている、兄弟二人がいました。いつも山に行って、鹿を射れば、兄弟で一緒に山に行っていました。 「待ち」ということをしていました。それは高い木の...
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巻二十七第二十一話 霊の荷物を運んだ男が、中を見て死んだ話

巻27第21話 美濃国紀遠助値女霊遂死語 第廿一 今は昔、長門国(山口県)の前司、藤原孝範(*1)という人がおりました。その人が下総(千葉県)権守(ごんのかみ、国司)だった時に、関白殿に仕えていた者で、美濃国にある生津(いくつ、*2)の荘...
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巻二十七第二十話 近江国の生霊が、京に来て人を殺した話

巻27第20話 近江国生霊来京殺人語 第二十 今は昔、京から美濃・尾張(岐阜県・愛知県)の方に下ろうとする下郎がおりました。 京を暁に出立しようと思い、夜深くに起きて行くと、□□と□□の辻で、大路に青みがかった衣を着た女房の裾を取ったのが...
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巻二十七第十九話 油瓶の物気が人を殺した話

巻27第19話 鬼現油瓶形殺人語 第十九 今は昔、小野宮右大臣と申し上げる方がいらっしゃいまして、お名前を実資と申し上げました(藤原実資)。才覚がおありで、賢くいらっしゃったので、世の人は「賢人の右大臣」とお呼びしました。 その人が、参...
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巻二十七第十八話 鬼が板になって人を殺した話

巻27第18話 鬼現板来人家殺人語 第十八 今は昔、夏の頃、ある人の元に、若い侍で立派な者二人が、南向きの放出(はなちで)の間で宿直していました。この二人は元から武道の心得があり、□な田舎人たちに、太刀などを持ち、徹夜で物語をしていました...
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巻二十七第十七話 川原の院で妻が吸い殺された話

巻27第17話 東人宿川原院被取吸妻語 第十七 今は昔、東国の方から、五位の位を買おうと思って、上京してきた者がいました。 その妻も「このついでに京の観光でもしよう」と言って、夫と共に上京した所、宿の手違いで宿所がなく、今晩宿泊する所...
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巻二十七第十六話 怪異の棲む堂、狂死した女の話

巻27第16話 正親大夫□□若時値鬼語 第十六 今は昔、正親の大夫という者がおりました。 その人が若かった時に、身分の高い所に宮仕えしていた女を語らって、時々は棲み通ったが、しばらく行かなくなっていたので、仲立ちの女に言伝をしている仲立ち...
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