巻六(全)

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巻六第三十三話 華厳経の偈をとなえて蘇生した男の話

巻6第33話 震旦王氏誦華厳経偈得活語 第卅三 今は昔、震旦(中国)の京師(けいし、都)に人がありました。姓は王氏、戒律を守らず、善を修することもありませんでした。 文明元年(684年)王氏は病にかかり死にました。しかし、左右の脇は暖か...
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巻六第三十二話 天に生まれることより蓮華蔵世界への転生を望んだ僧の話

巻6第32話 震旦僧霊幹講花厳経語 第卅二 今は昔、震旦(中国)の隋の時代、一人の僧がありました。名を霊幹といいます。常に華厳経を講じていました。遠方の人も近在の人も、多くの人がやってきて、霊幹の講義を聞いていました。 開皇十七年(59...
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巻六第三十一話 手洗い水を受けた虫が天人に生まれ変わった話(華厳経の不思議)

巻6第31話 天竺迦弥多羅花厳経伝震旦語 第卅一 今は昔、天竺の執師子国(スリランカ)に一人の比丘(僧)がありました。名を迦弥多羅(かみたら)といいます。第三果(聖者の四つの階梯の第三)を得た人です。震旦(中国)では能支と呼ばれました。 ...
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巻六第三十話 胎蔵界の曼荼羅を念じて海難から救われた話

巻6第30話 震旦沙弥念胎蔵界遁難語 第三十 今は昔、震旦(中国)の大興善寺の灌頂の阿闍梨(僧の資格を与える高僧)に恵応という人がありました。その弟子に沙弥(小僧)がひとりありました。七歳のときから師の阿闍梨に仕え、昼夜奉仕していました。...
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巻六第二十九話 金剛界曼荼羅を拝して生き返った女の話

巻6第29話 震旦汴州女礼拝金剛界得活語 第廿九 今は昔、震旦(中国)の汴州(べんしゅう、現在は河南省。後梁・後晋・後漢・後周・宋の都)に一人の女がありました。愚痴・不信であり、因果を知りませんでした。 五十七歳になった年、ひどく重い病...
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巻六第二十八話 木の葉に仏を見た話

巻6第28話 震旦興善寺含照礼千仏語 第廿八 今は昔、震旦の唐の代に大興善寺という寺がありました。その寺に一人の僧が住んでいました。名を含照といいました。願を発し、千仏の像を図絵しようと考えました。わずかに七仏の像を図絵しましたが、残り九...
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巻六第二十七話 毗盧舎那仏が鬼神を追い払った話

巻6第27話 震旦并州常慜渡天竺礼盧舎那語 第廿七 今は昔、震旦(中国)の并州に常慜(じょうみん)という僧がありました。願を発し、聖迹をたずねて、礼拝のため天竺(インド)にわたりました。 やがて、中天竺の鞞索迦国(ひさくかこく、ファイザ...
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巻六第二十六話 あらわれた仏像と失せなかった舎利の話

巻6第26話 震旦国子祭酒粛璟得多宝語 第廿六 今は昔、震旦の唐の代に、国子祭酒(文科大臣のような役職)の粛璟という人がありました。梁の武帝の玄孫です。 梁が滅び、隋の時代に入るとき、粛璟の姉は隋の煬帝の后となりました。粛璟は長ずると仏...
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巻六第二十五話 阿閦仏を信じ歓喜国に生まれた人の話

巻6第25話 震旦鐫恵造阿閦仏生歓喜国語 第廿五 今は昔、震旦の隋の開皇の代に、鐫恵(せんえ)という僧がありました。出身地はわかりません。一生の間、不退転の位であることを期して、阿?仏の像を図絵すること一千躯、身の丈三尺(約0.9メートル...
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巻六第二十四話 誤りで牛への生まれ変わりを決められた人の話

巻6第24話 震旦夏侯均造薬師像得活語 第廿四 今は昔、震旦の唐の時代、冀州(河北省冀県)に夏侯均いう人がありました。 顕慶二年(西暦657年)、重病を得て、辛苦悩乱しました。四十余日後、悶絶して死にました。 冥途で裁きを受け、牛に生...
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巻六第二十三話 薬師仏が妊娠に苦しむ女を救った話

巻6第23話 震旦淄州女依薬師仏助得平産語 第廿三 今は昔、震旦の淄州(山東省淄博市)に一人の女がありました。懐妊してからすでに十二か月が経っていましたが、いまだ産まれませんでした。身体は腫れあがって痛み、かぎりなく苦しみました。声を出し...
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巻六第二十二話 夢のお告げで妻を得た話

巻6第22話 震旦貧女銭供養薬師像得富語 第廿二 今は昔、震旦の田舎に一人の女がありました。貧しく、寡(やもめ、独身)であり、塵ほどの貯えもありませんでした。ただ、銅の銭が一文あるばかりでした。 女は思いました。「この銭一文で、一生を...
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巻六第二十一話 七体の薬師の力で冥府から甦った男の話

巻6第21話 震旦温州司馬造薬師像得活語 第廿一 今は昔、震旦の温州に司馬(軍務官)がありました。とても重い病にかかり、癒えることもなく久しくありました。もはや死ぬばかりだと歎いていました。 親族や従者たちが集まり、泣き悲しみ、歎き合いま...
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巻六第二十話 鬼神も死もおそれず旅だった人の話

巻6第20話 江陵僧亮鋳弥陀像語 第二十 今は昔、震旦の江陵に僧がありました。名を僧亮といいます。極楽浄土をを願う心が深く、「阿弥陀仏の丈六(一丈六尺、約4.85メートル。仏像にもっとも適当とされる大きさ)の像をつくりたい」と考えました。...
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巻六第十九話 地獄に堕ちた人々を救った仏像の話

巻6第19話 震旦并州道如造弥陀像語 第十九 今は昔、震旦の并州に、道如という僧がありました。晋陽の人です。道綽法師の孫弟子にあたります。慈悲深く、すべての人をあわれむ心がありました。 往生浄土の業を修しましたが、自分よりまず他を救いたい...
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