巻六(全)

巻六(全)

巻六第十八話 死んだ父母が二十数名の人とともにあらわれた話

巻6第18話 震旦并州張元寿造弥陀像生極楽語 第十八 今は昔、震旦の并州に、張の元寿という人がおりました。善の心がありましたが、家は殺生を業(漁師・猟師・魚屋・肉屋など生物の命を奪う職業)としていました。 元寿は父母が亡くなると、殺生の業...
巻六(全)

巻六第十七話 極楽の池の花が咲きしぼむのを見た人の話

巻6第17話 震旦開覚寺道喩造弥陀像生極楽語 第十七 今は昔、震旦の隋の代に、開覚寺という寺がありました。その寺に、道喩という僧が住んでいました。年来、阿弥陀仏を念じ、他に思いを致すことはありませんでした。栴檀を材料に、三寸(約10センチ...
巻六(全)

巻六第十六話 阿弥陀の絵像を見て極楽を幻視した僧の話

巻6第16話 震旦安楽寺恵海画弥陀像生極楽語 第十六 今は昔、隋の時代、江都に安楽寺という寺がありました。その寺に恵海という僧が住んでいました。清河武城(せいがぶじょう、現在の河北省)の人です。出家して後、とても熱心に経論を学びました。と...
巻六(全)

巻六第十五話 鉢の中に浄土がひろがっていた話

巻6第15話 震旦悟真寺恵鏡造弥陀像生極楽語 第十五 今は昔、震旦の都(長安)に、悟真寺という寺がありました。その寺に恵鏡という僧がおりました。淄州の人です。出家後は常に粗食に甘んじ、常に修行しておりました。 恵鏡は彫刻の才があり、釈迦...
巻六(全)

巻六第十四話 身代わりに雷を受けた仏の話

巻6第14話 震旦幽州都督張亮値雷依仏助存命語 第十四 今は昔、震旦の幽州の都督(地方官)に張亮という人がありました。府の長吏(官吏)でした。仏法を貴び、信じていました。 この人が以前、寺に入ったとき、仏の身長を計ってみると、自分と同じで...
巻六(全)

巻六第十三話 刺された男が縫いつけのある仏に助けられた話

巻6第13話 震旦李大安依仏助被害得活 第十三 今は昔、震旦の隴西に、李大安という人がありました。工部尚書(唐の役人、長官)大亮という人の兄です。武徳年間(西暦616~626、唐の時代)に、弟の大亮は、越州の総官を任じられました。兄の大安...
巻六(全)

巻六第十二話 生き返った僧が蓮の葉を食べる話

巻6第12話 震旦疑観寺法慶依造釈迦像得活語 第十二 今は昔、震旦に疑観寺という寺がありました。その寺に、法慶という僧がありました。開皇三年(西暦583年)、法慶は夾紵(乾漆造)の釈迦の立像をつくりました。高さは一丈六尺(約4.85メート...
巻六(全)

巻六第十一話 兄にわずかな協力をしたために救われた地獄の罪人の話

巻6第11話 震旦唐虞安良兄依造釈迦像得活語 第十一 今は昔、震旦の唐の時代、幽州の漢県(漁陽県)に、虞(ぐ)の安良いう人がありました。字を族といいます。殺生を仕事として半生を過ごし、殺した生類の数は甚だ多く、数えることもできないほどでし...
巻六(全)

巻六第十話 真言を伝えるため震旦から天竺に戻りふたたび震旦に入った僧の話

巻6第10話 仏陀波利尊勝真言渡震旦語 第十 今は昔、北天竺の罽賓国(かひんこく、カブール。カシミール説もあり)に、仏陀波利(ぶっだはり)という聖人がありました。唐では覚護と呼ばれました。心を発して道を求めた人です。 文殊が清涼山(五台山...
巻六(全)

巻六第九話 不空三蔵が武神を呼び唐の玄宗皇帝を助けた話

巻6第9話 不空三蔵誦仁王呪現験語 第九 今は昔、不空三蔵は南天竺の人です。幼少の折、金剛智に随って、天竺から震旦に渡り、震旦で出家し、金剛智に瑜伽無上秘密の教(密教)を受け、世に弘め、衆生を利益しました。ときの震旦の国王、唐の玄宗皇...
巻六(全)

巻六第八話 金剛智三蔵が金剛界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第8話 金剛智三蔵金剛界曼陀羅渡震旦語 第八 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、金剛界の曼陀羅の大法を説き、金剛薩埵に伝えました。金剛薩埵はこれを、数百年ののち、龍猛菩薩に伝えました。龍猛菩薩はやはり数百年後...
巻六(全)

巻六第七話 善無畏三蔵が胎蔵界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第7話 善無畏三蔵胎蔵界曼陀羅渡震旦語 第七 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、胎蔵界の曼陀羅の大法を説き、金剛手菩薩(金剛薩埵)に伝えました。その後、数百年を経て、金剛手は中天竺の世無厭寺(ナーランダ大学/...
巻六(全)

巻六第六話④ 経を守るため宝を投げ捨てた三蔵法師の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (③より続く) その後法師は幾多の貴い地に詣でました。帰国しようとすると、天竺の戒日王(ハルシャ王)は法師に帰依して、様々の財を与えました。その中に鍋がひとつありました。入れた物は取っても尽きず...
巻六(全)

巻六第六話③ 殺されかかった三蔵法師の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (②より続く) 法師はそこ(ナーランダの僧院)を出て、尊い霊場を巡礼し、さらに他国へ趣くために、恒伽河(ガンジス川)に至りました。八十余人とともに船に乗り、川を下りました。川の両岸は密林であり、...
巻六(全)

巻六第六話② 三蔵法師を待ったインドの高僧の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (①より続く) 法師は摩竭陀国(マガダ国)に至り、世無厭寺(ナーランダ大学/僧院)という寺に入りました。この寺の戒賢(シーラバドラ)論師は、正法蔵ともいわれています。法師はその弟子となり、法を伝...
タイトルとURLをコピーしました