巻十一(全)

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巻十一第二十四話 女の色香に惑いただの人になった久米仙人の話

巻11第24話 久米仙人始造久米寺語 第廿四 今は昔、大和国吉野の郡(奈良県吉野郡)に龍門寺という寺がありました。寺には二人が籠って、仙の法を修行していました。一人をあづみ、一人を久米といいます。あづみは先に修行を完成させ、仙人となり、空...
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巻十一第二十三話 夜の海に光り音を奏でる霊木の話

巻11第23話 建現光寺安置霊仏語 第廿三 今は昔、敏達天皇の御代に、河内国和泉の郡(大阪府和泉市)の前の海の沖(大阪湾)に、楽器の音がきこえました。箏・笛・琴・箜篌(くご)などの音のようでした。雷のとどろきのようでした。また、光がありま...
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巻十一第二十二話 伐ろうとすると人が死ぬ古木の話

巻11第22話 推古天皇造元元興寺語 第廿二 今は昔、推古天皇という女帝の御代に、この朝に仏法がさかんになり、堂塔を造る人も世に多くありました。天皇も、銅製の丈六(一丈六尺、約4.85メートル。仏像にもっとも適当とされる大きさ)の釈迦の像...
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巻十一第二十一話 聖徳太子が四天王寺を建てた話

巻11第21話 聖徳太子建天王寺語 第廿一 今は昔、聖徳太子はこの国に生まれ、「仏法を弘めて、この国の人を利益しよう」と考え、伯父である敏達天皇の御代にそれを進言して、国の内に仏法を崇めて、堂塔を造り、他国より来た僧に帰依するようになりま...
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巻十一第二十話 聖徳太子が法隆寺を築いた話(欠話)

巻11第20話 聖徳太子建法隆寺語 第二十(欠文) 【解説】草野真一 『今昔物語集』は聖徳太子を日本仏教の祖として描いている。聖徳太子が築いたとされる寺院はいくつもあるが、法隆寺をその代表とすることに異論がある者はないだろう。飛鳥の聖徳太...
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巻十一第十九話 光明皇后が法華寺を尼寺とした話(欠話)

巻11第19話 光明皇后建法華寺為尼寺語 第十九(欠文) 【解説】 草野真一 光明皇后はさまざまな芸能・映画・ドラマ・マンガなどに描かれた人物である。もっとも有名なものは千人の病者の垢を洗い落とすことを発願した話だろう。最後の千人目に重症...
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巻十一第十八話 高野姫天皇(称徳天皇)が西大寺をつくった話

巻11第18話 高野姫天皇造西大寺語 第十八 今は昔、高野姫天皇(称徳天皇)は聖武天皇の御娘でいらっしゃいました。女性ではありましたが、広い知識をもち、文の道をきわめていらっしゃいました。また、仏法を知り、「道場を建立したい」といまだ天皇...
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巻十一第十七話 天武天皇が薬師寺を築いた話(薬師寺の由来)

巻11第17話 天智天皇造薬師寺語 第十七 今は昔、天武天皇が位につきました。つづいて、持統天皇という女帝が即位しました。 高市の郡(奈良県橿原市)に寺をつくり、薬師仏を安置しました。奈良の都の時代に、元明天皇という女帝が、西京の六条、...
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巻十一第十六話 代々の天皇が受け継いだ大安寺

巻11第16話 代々天皇造大安寺所々語 第十六 今は昔、聖徳太子が熊凝の村(奈良県大和郡山市)に寺をつくりました。太子は完成を見ずに亡くなりました。推古天皇が後を継ぎました。推古天皇よりはじまり、聖武天皇に至るまで、九代の天皇が受け伝えつ...
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巻十一第十五話 インドから日本へわたった仏像の話(元興寺の由来)

巻11第15話 聖武天皇始造元興寺語 第十五 今は昔、元明天皇は奈良の都に元興寺を建立しました。堂塔を建て、金堂には□丈の弥勒像を安置しました。この弥勒は日本で造った仏ではありませんでした。 昔、東天竺に生天子国という国があ...
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巻十一第十四話 藤原鎌足と不比等が興福寺を築いた話

巻11第14話 淡海公始造山階寺語 第十四 今は昔、大織冠(藤原鎌足)がまだ内大臣になられず、なんの役職にも就いていないとき、女帝・皇極天皇の御代のことです。御子は(中大兄皇子、天智天皇)は春宮(皇太子)でいらっしゃいました。二人はと...
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巻十一第十三話 聖武天皇が東大寺建立のために金を請うた話

巻11第13話 聖武天皇始造東大寺語 第十三 今は昔、聖武天皇が東大寺を建造しました。銅で居長□丈の盧舎那仏の像を鋳造させ、巨大な堂を造っておおいました。また、講堂・食堂・七層の塔二基・様々の堂・僧房・戒壇・別院・諸門、それぞれをつくりま...
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巻十一第十二話② 智証大師円珍が大陸の火事を鎮めた話

(①より続く) 巻11第12話 智証大師亙唐伝顕密法帰来語 第十二 和尚は本意のとおり天台山に登り、禅林寺で定光禅の菩提樹を礼拝しました(智顗による植樹があったか)。また、天台大師(智顗)が眠っている墳墓に礼しました。禅林寺は、天台大師の...
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巻十一第十二話① 智証大師円珍が金色の不動尊を得た話

巻11第12話 智証大師亙唐伝顕密法帰来語 第十二 今は昔、文徳天皇の御代に、智証大師(円珍)という聖がありました。俗姓は和気の氏。讃岐の国那珂の郡金倉の郷(香川県丸亀市)の人です。 父は財産家で、母は佐伯の氏、高野の弘法大師(空海)の姪...
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巻十一第十一話 慈覚大師円仁が追われ毒を飲まされる話

巻11第11話 慈覚大師亙唐伝顕密法帰来語 第十一 今は昔、承和の御代(西暦834年~848年)に慈覚大師という聖がありました。俗姓は壬生の氏、下野国都賀の郡(栃木県小山市・都賀郡)の人です。 誕生のとき、家を紫の雲がおおいました。そのこ...
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