巻十九

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巻十九第五話 すべてを失った姫君の話(芥川龍之介『六の宮の姫君』元話)

巻19第5話 六宮姫君夫出家語 第五 今は昔、六の宮というところに兵部の大輔(ひょうぶのたゆう、軍の下級役人)がありました。年老いていたので、古い習慣にならって人と交わることがなく、父が遺した宮の、すっかり木が伸びきって荒れ果ててしまった東...
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巻十九第四話 源満仲の出家(その2)

巻19第4話 摂津守源満仲出家語 第四 (その1より続く) その後、郎等たちは各自、弓矢を背負い、甲冑をつけ、四、五百人ばかりの者が館の周りを三重四重に取り囲んで、一晩じゅう篝火をたき、大勢の者を出して巡察させなどして、油断なく警護しまし...
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巻十九第四話 源満仲の出家(その1)

巻19第4話 摂津守源満仲出家語 第四 今は昔、円融天皇(えんゆうてんのう・第64代天皇、村上天皇の皇子)の御代に、左馬頭(さまのかみ・官馬に関する一切のことを司る馬寮の長官)源満仲(みなもとのみつなか)という人がいました。筑前守(ちくぜ...
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巻十九第三話 陰陽師の賀茂忠行の子・慶滋保胤の道心(その2)

巻19第3話 内記慶滋ノ保胤出家語 第三 (その1より続く) その後、東山の如意(にょい・如意輪寺)という所に住んでいましたが、六条院(ろくじょうのいん)から「すぐに参上せよ」と、お召しがあったので、知人の馬を借りて、それに乗って朝早く...
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巻十九第三話 陰陽師の賀茂忠行の子・慶滋保胤の道心(その1)

巻19第3話 内記慶滋ノ保胤出家語 第三 今は昔、□□天皇の御代に、内記(ないき・朝廷の書記)慶滋保胤(よししげのやすたね)という者がいました。 実際は、陰陽師・賀茂忠行(かものただゆき)の子です。 けれども、□□という博士の養子とな...
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巻十九第二話 大江定基、出家して寂照となる(その2)

巻19第2話 参河守大江定基出家語 第二  (その1より続く) そののち、寂照(じゃくしょう)は京の町で喜捨を請うて歩いていましたが、とある家に至ると、彼を家へ呼び上げて畳に坐らせ、ご馳走を供えて食べさせようとします。そのとき、簾を巻き...
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巻十九第二話 大江定基、出家して寂照となる(その1)

巻19第2話 参河守大江定基出家語 第二 今は昔、円融天皇(えんゆうてんのう)の御代に、三河守(みかわのかみ・現在の愛知県東部の国司)大江定基(おおえのさだもと)という人がいました。 参議左大弁式部(さんぎさだいべんしきぶ)済光(なりみ...
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巻十九第一話 妻子を捨てて家を出た少将の話

巻19第1話 頭少将良峯宗貞出家語 第一 今は昔、深草の天皇(仁明天皇。深草は御陵の名)の御代に、蔵人(天皇の秘書)の頭で右近の少将、良峯宗貞という人がありました。大納言康世という人の子です。姿かたちは美麗で、まっすぐな心をもっていました...
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