巻二十(全)

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巻二十第十六話 あの世で死んだ妻と父に会った話

巻20第16話 豊前国膳広国行冥途帰来語 第十六 今は昔、文武天皇の御代に、膳広国(かしわでのひろくに)という人がありました。豊前の国宮子の郡(福岡県京都郡)の小領(郡の次官)です。妻が先に亡くなり、慶雲二年(705年)九月十五日(旧暦、...
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巻二十第十五話 牛を殺し地獄に堕ち蘇生した男の話

巻20第15話 摂津国殺牛人依放生力従冥途還語 第十五 今は昔、摂津国の東生の郡(大阪市東成区)撫凹(なくぼ)の村に住む人がありました。家は大いに富み、財豊かでした。 あるとき、その人は神のたたりを負いました。たたりを避けるため、毎年一...
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巻二十第十四話 野干が人に化けて教えを請うた話(欠話)

巻20第14話 野干変人形請僧為講師語 第十四(欠文) 【解説】草野真一 野干(やかん)とは仏典においてはジャッカルを指すことも多かったようだが、日本では狐とされることが多かった。これは日本の話だから、狐のことと思われる。おもしろそ...
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巻二十第十三話 普賢菩薩を射殺した猟師の話

巻20第13話 愛宕護山聖人被謀野猪語 第十三 今は昔、愛宕護(あたご)の山に久しく祈り続ける持経者の聖人がありました。法華経を受持し、他念なく祈り、坊の外に出ることはありませんでした。智恵を持たず、法文を知りませんでした。 山の西の方...
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巻二十第十二話 仏に導かれ狂死した僧の話

巻20第12話 伊吹山三修禅師得天狗迎語 第十二 今は昔、美濃の国(岐阜県)の伊吹山に、久しく修行する聖人がありました。智恵にめぐまれず、法文を学びませんでした。ただ、弥陀の念仏(南無阿弥陀仏)を唱える以外のことを知りませんでした。名を三...
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巻二十第十一話 閉じ込められた竜の話

巻20第11話 竜王為天狗被取語 第十一 今は昔、讃岐の国(香川県)に、万能の池(満濃池)と呼ばれるとても大きな池がありました。弘法大師(空海)が衆生を哀れんだがために、築いた池です。池の周囲はとても広く、堤を高く築き囲んでありました。池...
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巻二十第十話 性器を消失させる術を習う話

巻20第10話 陽成院御代滝口行金使習外術語 第十 今は昔、陽成天皇の御代(876-884)に、滝口の武士(宮中警護部隊)で、陸奥の国に金(砂金)を得るために遣わされた道範という者がありました。道中、信濃国のとある郡司の家に宿泊しました。...
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巻二十第九話 奇怪な老僧と幻術の話

巻20第9話 祭天狗法師擬男習此術語 第九 今は昔、京にあやしい術をおこなう法師がありました。履いている足駄や草履などを、とつぜん犬の子に変えて這わせたり、懐から狐を出したり、馬や牛の尻から入って、口から出るなどしていました。 いつもこ...
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巻二十第八話 良源僧正の霊が余慶僧正を伏した話(欠話)

巻20第8話 良源僧正成霊来観音院伏余慶僧正語 第八(欠文) 【解説】草野真一 下の護符は、良源僧正の二態をあらわしている。(クリックすると拡大) 左は元三大師(がんざんだいし)、天台宗最高位の天台座主まで上り詰めた良源の肖像であ...
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巻二十第七話 鬼と交わり続けた皇后の話

巻20第7話 染殿后為天狗被嬈乱語 第七 今は昔、染殿后といい、文徳天皇の母(実際には后)であり、藤原良房太政大臣(関白)の娘にあたる人の話です。比するもののない妙なる美しさを備えた方でした。 この后は、常にもののけの病を患...
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巻二十第六話 憑かれた女に誘惑される話

巻20第6話 仏眼寺仁照阿闍梨房託天狗女来語 第六 今は昔、京の東山は仏眼寺に仁照阿闍梨(あじゃり、高位の僧)という人がありました。とても貴い方でした。 長く寺で修行し、寺を出ることもありませんでしたが、ある日、七条に住む金箔打ちの妻と...
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巻二十第五話 木から落ちた女天狗の話

巻20第5話 仁和寺成典僧正値尼天狗語 第五 今は昔、仁和寺に成典僧正という人がありました。俗姓は藤原氏であり、広沢の寛朝大僧正を師として真言の密法を受け、行法を怠ることがなかったので、僧正まで出世しました。 仁和寺の辰巳(東南)の方角に、...
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巻二十第四話 天狗を祭る僧侶が天皇を治癒した話

巻20第4話 祭天狗僧参内裏現被追語 第四 今は昔、円融院の天皇(円融天皇)が長らくわずらっていらっしゃったので、さまざまな御祈祷が修せられました。物の怪(もののけ)によるものと思われたので、験があると名高い僧を一人のこらず召して、祈祷をお...
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巻二十第三話 天狗が仏に化けて古木に現れた話

巻20第3話 天狗現仏坐木末語 第三 今は昔、延喜の天皇(醍醐天皇)のころ(897~930)、五条の道祖神がいらっしゃるところ(現在の松原道祖神社)に、実のならない大きな柿の木がありました。 その柿の木の上に、仏が現われました。 まば...
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巻二十第二話 中国の天狗が痛めつけられる話

巻20第2話 震旦天狗智羅永寿渡此朝語 第二 今は昔、震旦(中国)に智羅永寿(ちらようじゅ)というとても法力の強い天狗がおり、日本に渡ってきました。 日本の天狗に語ります。 「わが国には、身分の高い得行の僧が多くあるが、われわれの思う...
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