巻四(全)

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巻四第十一話 打たれた児と南海のコウモリの話

巻4第11話 天竺羅漢比丘値山人打子語 第十一 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の僧がありました。ある日、羅漢はひとりの山人(木こりなどして山で生活する人)と出会いました。山人は幼い童子をつれていて、ムチで打ち、哭(な)かせていました。 羅漢...
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巻四第十話 心に仏を宿した僧の話

巻4第10話 天竺比丘僧沢観法性生浄土語 第十 今は昔、中天竺に比丘(僧)がありました。名を僧沢といいます。怠け心がとても強く、愚か者でした。比丘の姿をしていましたが、まともに修行したことがありません。経や真言もまったく知らず、ただ寺に住...
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巻四第九話② 強盗に襲われた僧と狂人を装う僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 (①より続く) 陀楼摩(だるま)和尚は山のふもとの人里に宿をとりました。 夜がふけたころ、叫び声が聞こえました。 「強盗だ! 強盗が私を殺そうとしている。年来貯えていた財宝は、みな奪わ...
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巻四第九話① 碁を打つ老僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 今は昔、陀楼摩(だるま)和尚という聖人がいらっしゃいました。天竺のすべての場所に赴き、あらゆる比丘(僧侶)のおこないを見て、世に伝えました。 ある大きな寺に詣でたときのことです。ある僧房で...
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巻四第八話 ニセの仏を拝み泣いた聖人の話

巻4第8話 優婆崛多降天魔語 第八 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。人を利益すること、仏のようでした。法を説き、多くの人を教化しました。その法を聞くと、皆が利益を得て、罪を滅し...
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巻四第七話 仏を知る老女の話

巻4第7話 優婆崛多会波斯匿王妹語 第七 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 仏が涅槃に入って(亡くなって)後の人ですから、仏の教えを実際に受けたことはありません。とても恋しく...
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巻四第六話 美女に化けて弟子を誘惑する話

巻4第6話 天竺優婆崛多試弟子語 第六 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入ってから百年ほどたって、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 その弟子に一人の比丘(僧)がありました。優婆崛多がどう考えていた...
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巻四第五話 大王が築いた地獄の話

巻4第5話 阿育王造地獄堕罪人語 第五 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という王がありました。王は地獄をつくり、国内の罪人を収容しました。近寄った人は決して戻ることはなく、かならず地獄に入れました。 そのころ、とても尊い...
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巻四第四話 両眼を失い国外追放になった王子の話

巻4第4話 拘拏羅太子抉眼依法力得眼語 第四 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という大王がいらっしゃいました。太子が一人あり、名を拘拏羅(くなら)と申しました。形貌は端正であり、心性は正直でした。すべてにおいて人より勝れ、...
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巻四第三話 大王が八万四千の后を殺した話

巻4第3話 阿育王殺后立八万四千塔語 第三 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入って(入滅して)百年後、鉄輪聖王(てつりんじょうおう、解説参照)が生まれました。阿育王(あそかおう、アショーカ王)です。八万四千の后を持っていました。しかし、子はあり...
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巻四第二話 失われた美味の話

巻4第2話 波斯匿王請羅睺羅語 第二 今は昔、天竺。仏が涅槃に入った後のことです。波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)は羅睺羅(らごら、ラーフラ。釈尊の息子にして弟子)を招き、百味の飲食で歓待しました。大王と后は、自ら手に取って食...
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巻四第一話 はじめての結集、阿難が批判された話

巻4第1話 阿難入法集堂語 第一 昔、天竺で、仏が涅槃に入った後、迦葉(大迦葉、だいかしょう、マハーカッサパ)尊者を上座として、千人の羅漢(聖者)が集まり大小乗の経の結集をおこないました。 阿難(あなん、アーナンダ。釈迦の身...
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