巻二(全)

巻二第二十話 焼かれても河に投げ入れられても傷つかなかった子の話

巻2第20話 薄拘羅得善根語 第(二十) 今は昔、天竺の仏の弟子に、薄拘羅(はくら、ヴァックラ)尊者という人がありました。 過去の九十一劫の時(一劫は宇宙が誕生し消滅する時間)、毗婆尸仏(ぴばしぶつ、過去七仏)が涅槃に入られた後、一人の比...
巻二十九

巻二十九第二十六話 日向守、書生を殺す

巻29第26話 日向守□□殺書生語 第廿六 今は昔、日向守(ひゅうがのかみ・現在の宮崎県の国司)□□の□□という者がいました。 任国にいるうち、国司の任期が終わったので、新任の国司の着任を待つ間、引き継ぎの書類などをつじつまの合うよ...
巻二十九

巻二十九第二十五話 平貞盛、胎児の肝を採る

巻29第25話 丹波守平貞盛取児干語 第廿五 丹波守(たんばのかみ・現在の京都府中部と兵庫県北東部の国司)に在任中、任国で悪性の瘡(かさ・皮膚疾患)をわずらい、□□という名医を京から迎えて診察させたところ、医師(くすし)は、「命に係わるよ...
巻二十五(全)

巻二十五第十二話 源頼信・頼義父子、馬盗人を追う

巻25第12話 源頼信朝臣男頼義射殺馬盗人語 第十二 今は昔、河内前司(かわちのぜんじ・現在の大坂府東部の前の国司)源頼信朝臣(みなもとのよりのぶのあそん)という武人がいました。この頼信朝臣が、東国で名馬を持っていると聞いた人のもとに、そ...
巻二十九

巻二十九第二十四話 人買いに売られて餓えて死んだ女の話

巻29第24話 近江国主女将行美濃国売男語 第廿四 今は昔、近江の国(滋賀県)□郡に住んでいる人がいました。 未だそれほどの年でもないうちに亡くなり、その妻はまだ四十歳ぐらいで一人残されました。 子も一人も産んでいません。 生れは京の人で...
巻十七(全)

巻十七第三十一話 孤独の地獄に堕ちた説経僧の話

巻17第31話 説経僧祥蓮依地蔵助免苦語 第卅一 今は昔、大和国吉野の郡(奈良県吉野郡)に一人の僧が住んでいました。名を祥蓮といいました。説経を仕事として世を渡っていました。法を説いて人を教化していましたが、自分の勤めは熱心ではありません...
巻十一(全)

巻十一第六話 后と僧とのあやしい関係を讒言し怨霊となった藤原広嗣の話

巻11第6話 玄昉僧正亙唐伝法相語 第六 今は昔、聖武天皇の御代に、玄昉という僧がありました。俗姓は阿刀の氏、大和国(奈良県)□□の郡の人です。幼くして出家して、法の道を学び、とても深い智恵を持っていました。 法を広く学ぶため唐に渡り、...
巻六(全)

巻六第十六話 阿弥陀の絵像を見て極楽を幻視した僧の話

巻6第16話 震旦安楽寺恵海画弥陀像生極楽語 第十六 今は昔、隋の時代、江都に安楽寺という寺がありました。その寺に恵海という僧が住んでいました。清河武城(せいがぶじょう、現在の河北省)の人です。出家して後、とても熱心に経論を学びました。と...
巻二(全)

巻二第十九話 すべてを見通す眼を得た阿那律の話

巻2第19話 阿那律得天眼語第(十九) 今は昔、仏の御弟子に阿那律(アヌルッダ)いう比丘がありました。仏の御父方の従弟です。この人は天眼第一と呼ばれました。三千大千世界(宇宙や過去未来などすべての世界)を、手のひらを見るように見通すことが...
巻二十九

巻二十九第二十三話 妻を目の前で犯された男の話(芥川龍之介『藪の中』元話)

巻29第23話 具妻行丹波国男於大江山被縛語 第廿三 今は昔、京に住む人が、妻の実家である丹波の国に向かって歩いていました。妻を馬に乗せ、夫は矢を十本ほど差した竹蚕簿(えびら)を負い、弓を持っていました。大江山(丹波の有名な山。酒呑童子伝説...
巻二十(全)

巻二十第二十九話 両眼をなくした馬殺しの男の話

巻20第29話 河内国人殺馬得現報語 第廿九 今は昔、河内の国(大阪府)□郡に住む人がありました。名を石別といいます。瓜をつくり、これを売って生計を立てていました。 ある日、馬に瓜を負わせて売りに行こうとして、馬が負う力よりずっと多く、こ...
巻二十九

巻二十九第二十二話 鳥部寺に詣でた女が従僕に犯された話

巻29第22話 詣鳥部寺女値盗人語 第廿二 今は昔、物詣(ものもうで:神社に参拝すること)のたいそう好きな人妻がいました。誰の妻だとは、あえて言わないことにいたしましょう。年齢は三十歳ばかりで、姿形も美しかったのでございます。そのお方が、...
巻二十九

巻二十九第二十一話 貴人に扮した盗賊に捕らえられた話

巻29第21話 紀伊国晴澄値盗人語 第廿一 今は昔、紀伊の国の伊都郡(和歌山県橋本市)に坂上晴澄(さかのうえのはるずみ)という者がいました。武の道にかけては極めて隙のない男でありました。前司(前任の国司)平惟時朝臣(たいらのこれときのあそ...
巻二(全)

巻二第十八話 過去の善行によってミャンマーの王となった人の話

巻2第18話 金地国王詣仏所語 第(十八) 今は昔、天竺の南の方に、金地国(ミャンマー)という国がありました。その国に摩訶劫賓那(まかこうれいな)という王がありました。王は聡明で智恵があり、強い力と勇猛な心を持っていました。意気さかんな四...
巻二十五(全)

巻二十五第十一話 源頼信、盗人を説得する

巻25第11話 藤原親孝為盗人被捕質依信頼言免語 第十一 今は昔、河内守(かわちのかみ・現在の大阪府東部の国司)源頼信朝臣(みなもとのよりのぶのあそん)が上野守(こうずけのかみ・現在の群馬県の国司)としてその任国にいたころ、その乳母子(め...
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