巻二十九

巻二十九第十七話 大がかりな計略で鐘を盗み出した窃盗団の話

巻29第17話 摂津国来小屋寺盗鐘語 第十七 今は昔、摂津の国(大阪府・兵庫県)□の郡に小屋寺(こやでら)という寺がありました。その寺に年が八十歳ほどはあろうかと見える法師がやって来て、その寺の住職に会って言いました。「私は西国から京の方...
巻二十九

巻二十九第十六話 女房の正体が盗賊団の首領だった話(欠話)

巻29第16話 或所女房以盗為業被見顕語 第十六(欠文) 【解説】 松元智宏 標題のみにとどまっており、本文欠話。 『古今著聞集』十二巻第四百三十三話に上臈女房が盗賊団の首領であったことが露見して逮捕された話があり、本話と同筋と考えられて...
巻二(全)

巻二第十六話 一里を芳香で満たす男の話

巻2第16話 天竺依焼香得口香語 第十六 今は昔、天竺の辺土(田舎)に住む人がありました。世に並ぶ者のない美しく端正な女を妻として、年来を過ごしていました。ある日、その国の王は身分の上下を問わず、ただ端正美麗の女を求めて后としようと考えま...
巻六(全)

巻六第十二話 生き返った僧が蓮の葉を食べる話

巻6第12話 震旦疑観寺法慶依造釈迦像得活語 第十二 今は昔、震旦に疑観寺という寺がありました。その寺に、法慶という僧がありました。開皇三年(西暦583年)、法慶は夾紵(乾漆造)の釈迦の立像をつくりました。高さは一丈六尺(約4.85メート...
巻二十四

巻二十四第三十一話 伊勢の御息所、求めに応じて歌を詠む

巻24第31話 延喜御屏風伊勢御息所読和歌語 第卅一 今は昔、醍醐天皇が皇子の御袴着(おんはかまぎ・男子三歳のとき、袴をつける儀)の式に用いる御屏風を作らせなさってその色紙形に和歌を書かせるため、歌人たちに、 「おのおの、和歌を詠んで差...
巻二十五(全)

巻二十五第九話 源頼信、平忠常の乱を鎮定する

巻25第9話 源頼信朝臣責平忠恒語 第九 今は昔、河内守(かわちのかみ・現在の大阪府の東部)源頼信朝臣(みなもとのよりのぶのあそん)という者がいました。これは多田満仲入道(ただのみつなかにゅうどう)という武人の三男であります。武道について...
巻二十(全)

巻二十第二十七話 長屋王の怨霊の話

巻20第27話 長屋親王罸沙弥感現報語 第廿七 今は昔、天平元年(神亀六年)二月八日(西暦729年)、聖武天皇は元興寺において大きな法会をひらき、三宝(仏法僧)を供養しました。太政大臣(実際は左大臣)の長屋の親王という人が勅を受け、諸僧を...
巻十一(全)

巻十一第四話 入唐して三蔵法師の弟子となり唯識をひろめた道照の話

巻11第4話 道照和尚亙唐伝法相還来語 第四 今は昔、本朝、天智天皇の御代に、道照和尚という聖人がいらっしゃいました。俗姓は丹氏、河内の国(大阪府)の人です。幼くして出家して、元興寺の僧となりました。智恵は深く心はまっすぐでした。また、道...
巻二十八

巻二十八第三十九話 寄生虫の生まれ変わりがとけ失せた話

巻28第39話 寸白任信濃守解失語 第卅九 今は昔、腹の中に寸白(すんぱく・さなだ虫、条虫科の寄生虫)を持った女がいました。□□の□□という人の妻になり、男の子を産みました。その子を□□といいました。しだいに成長し、元服など済んだのち、官...
巻二十九

巻二十九第十五話 糸を盗んだ検非違使(警察官)の話

巻29第15話 検非違使盗糸被見顕語 第十五 今は昔、ある夏の頃であります。検非違使が大勢下京(京都市下京区)辺りに行って、盗人の逮捕に当たっておりました折に、盗人を捕らえて縛りつけましたので、もはや帰るべきであるのに、□□(欠字)という...
巻二十五(全)

巻二十五第八話 源頼親、清原致信を討つ(欠話)

巻25第8話 源頼親朝臣令罸清原□□語 第八(欠文) 【解説】 柳瀬照美 本話は、表題だけをとどめる本文欠話。 表題から推測すると、寛仁元年(1017)3月8日、源頼親(みなもとのよりちか)が郎等に命じて、前大宰少監・清原致信(きよはらのむ...
巻十七(全)

巻十七第二十九話 地蔵尼君と呼ばれた女の話

巻17第29話 陸奥国女人依地蔵助得活語 第廿九 今は昔、陸奥国(東北地方)に恵日寺という寺がありました。入唐した興福寺の僧、得一菩薩が建てた寺です。その寺のわきに尼がありました。平の将行という人の第三の娘です。この尼は出家する前、とても...
巻六(全)

巻六第十一話 兄にわずかな協力をしたために救われた地獄の罪人の話

巻6第11話 震旦唐虞安良兄依造釈迦像得活語 第十一 今は昔、震旦の唐の時代、幽州の漢県(漁陽県)に、虞(ぐ)の安良いう人がありました。字を族といいます。殺生を仕事として半生を過ごし、殺した生類の数は甚だ多く、数えることもできないほどでし...
巻二十五(全)

巻二十五第七話 藤原保昌が盗人の袴垂に衣を与えた話

巻25第7話 藤原保昌朝臣値盗人袴垂語 今は昔、世に袴垂(はかまだれ)というたいそうな盗賊の大親分がいました。肝っ玉が太く、力強く、足早く、腕っぷしすぐれ、頭も切れて、肩を並べる者のない男でありました。隙をうかがっては、多くの人びとの物を...
巻二十五(全)

巻二十五第六話 源頼光、堂上の狐を射る

巻25第6話 春宮大進源頼光朝臣射狐語 第六 今は昔、三条天皇が皇太子であられた頃のことです。東三条殿(母方の祖父・藤原兼家の邸宅)においでになったとき、その寝殿の南面を春宮(とうぐう・皇太子)が歩いて行かれたところ、西の透渡殿(すきわた...
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