巻六

巻六第三十二話 天に生まれることより蓮華蔵世界への転生を望んだ僧の話

巻6第32話 震旦僧霊幹講花厳経語 第卅二 今は昔、震旦(中国)の隋の時代、一人の僧がありました。名を霊幹といいます。常に華厳経を講じていました。遠方の人も近在の人も、多くの人がやってきて、霊幹の講義を聞いていました。 開皇十七年(59...
巻十一

巻十一第十九話 光明皇后が法華寺を尼寺とした話(欠話)

巻11第19話 光明皇后建法華寺為尼寺語 第十九(欠文) 【解説】 草野真一 光明皇后はさまざまな芸能・映画・ドラマ・マンガなどに描かれた人物である。もっとも有名なものは千人の病者の垢を洗い落とすことを発願した話だろう。最後の千人目に重症...
巻十一

巻十一第三十三話 秦河勝が広隆寺をつくった話(欠話)

巻11第33話 秦川勝始建広隆寺語 第卅三(欠文) 【解説】 草野真一 秦河勝(川勝)は日本仏教の祖・聖徳太子の朋輩であった人物として知られ、同時に秦氏の族長であったとされる。国宝第一号となった弥勒菩薩半跏像は広隆寺(京都市右京区)にあり...
巻二

巻二第三十一話 死んでもすぐに生まれ子を失う不幸な女の話

巻2第31話 微妙比丘尼語 第(卅一) 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の比丘尼(尼僧)がありました。名を微妙(みみょう)といいます。 多くの尼に向けて、自分が前世に犯した善悪の業を語りました。 「過去の世に、一人の長者がありました。家は大...
巻三

巻三第十話 金翅鳥が阿修羅から子を守った話

巻3第10話 金翅鳥子免修羅難語 第(十) 今は昔、金翅鳥という鳥がいました。その鳥は須弥山の側面の洞穴に巣を作り、そこで子供達を産み育てていました。須弥山は高さ十六万由旬(ヨージャナ、古代インドの長さの単位)はある山で、水面より上に八万...
巻二十

巻二十第四十五話 小野篁、右大臣の良相を蘇生させる

巻20第45話 小野篁依情助西三条大臣語 今は昔、小野篁(おののたかむら)という人がいました。 まだ学生の身分だったとき、あることで朝廷が篁を処罰したのですが、当時、西三条大臣(にしさんじょうのおとど)・良相(よしみ、藤原良相・冬嗣の五...
巻十七

巻十七第四十三話 鞍馬寺の修行僧が女の鬼に襲われた話

巻17第43話 籠鞍馬寺遁羅刹鬼難僧語 第四十三 今は昔、一人の修行僧が鞍馬寺(京都市左京区)に籠り、修行していました。 ある夜、薪を拾い、火をつけてくべていると、夜がさらに深くなったころ、羅刹鬼が女の姿になって、僧の前に座り、火をくべ...
巻二十四

巻二十四第五十五話 大隅の郡司が歌を詠んで許された話

巻24第55話 大隅国郡司読和歌語 第五十五 今は昔、大隅(鹿児島県)の守␣(欠字。「拾遺集」によると桜島忠信が該当。以後忠信とする。)という人がいました。任国に下って政務を執り行っていたが、郡司※1に職務怠慢の行為があったので、「す...
巻六

巻六第三十一話 手洗い水を受けた虫が天人に生まれ変わった話(華厳経の不思議)

巻6第31話 天竺迦弥多羅花厳経伝震旦語 第卅一 今は昔、天竺の執師子国(スリランカ)に一人の比丘(僧)がありました。名を迦弥多羅(かみたら)といいます。第三果(聖者の四つの階梯の第三)を得た人です。震旦(中国)では能支と呼ばれました。 ...
巻二十四

巻二十四第五十二話 大江匡衡、和琴を詠む

巻24第52話 大江匡衡和琴読和歌語 今は昔、式部大夫(しきぶのたいふ・式部省の次官)大江匡衡(おおえのまさひら)という人がいました。 まだ学生(がくしょう)であったころ、風雅の才はあったのですが、のっぽで怒り肩をしており、...
巻十九

巻十九第八話 キジになって鷹と犬に追われた男の話

巻19第8話 西京鷹仕者見夢出家語 第八 今は昔、西京に鷹狩りを仕事にしている者がありました。息子が何人もいて、その子たちにも鷹狩りを仕事にするように伝え教えていました。 常に心にかけ、夜となく昼となく好んだことでしたから、寝ても覚めて...
巻六

巻六第三十話 胎蔵界の曼荼羅を念じて海難から救われた話

巻6第30話 震旦沙弥念胎蔵界遁難語 第三十 今は昔、震旦(中国)の大興善寺の灌頂の阿闍梨(僧の資格を与える高僧)に恵応という人がありました。その弟子に沙弥(小僧)がひとりありました。七歳のときから師の阿闍梨に仕え、昼夜奉仕していました。...
巻二十四

巻二十四第五十一話 大江匡衡の妻・赤染衛門、歌を詠む

巻24第51話 大江匡衡妻赤染読和歌語 今は昔、大江匡衡(おおえのまさひら)の妻は、赤染時望(あかぞめのときもち)という人の娘であります。 匡衡はこの妻に挙周(たかちか)を生ませたのです。 その挙周は、成長してから漢詩文の道に達してい...
巻二

巻二第三十話 三十二人の子を殺した王の話

巻2第30話 波斯匿王殺毗舎離卅二子語 第(三十) 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国、祇園精舎がある)に長者がありました。名を梨耆弥(りきみ)といいます。七人の子がありました。それぞれが成長し、夫・妻を持つほどになりました。第七の女子を毗...
巻二十四

巻二十四第四十九話 亡き親に歌をそなえた貧しい娘の話

巻24第49話 七月十五日立盆女読和歌語 第四十九 今は昔、七月十五日の盂蘭盆の日※1に、たいそう貧しい女が、亡き親のために食べ物を供えることができないので、着ていたたった一つの薄紫色の綾の衣を盆に載せて、その上を蓮の葉で覆い、それを持っ...
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