巻三

巻三第二話 文殊が人間界に生まれた話

巻3第2話 文殊生給人界語 第二  昔、文殊という方は、中天竺は舎衛国(コーサラ国、祇園精舎がある)の多羅村にいる梵徳婆羅門という人の子でした。母の右脇からお生まれになり、お生まれになったときにはその家も門も蓮華につつまれました。お体の色...
巻二十九

巻二十九第三話 正体不明、謎の女盗賊の話(芥川龍之介『偸盗』元話①)

巻29第3話 不被知人女盗人語 第三 今は昔、いつ頃のことでございましょうか、侍ほどの者で、誰だとは知りませぬが、年は三十くらい、すらりとした背格好の、少し赤ひげの男がいました。 ある夕暮れ時に、␣(欠字)と␣(欠字)との辺りを通っていま...
巻二十六

巻二十六第二話 蕪で自慰した男と妊娠した娘の話

巻26第2話 東方行者娶蕪生子語 第二 今は昔、京から東の国に下る者がありました。 どこの国郡ともわからず、ある郷を通ったとき、婬欲がさかんに起こり、女を抱くことばかり考えておかしくなりそうで、静めることができませんでした。どうしようかと...
巻十一

巻十一第二話② 行基をののしった智光の話

(①より続く) 巻11第2話 行基菩薩学仏法導人語 第二 過去世において、行基菩薩は和泉国大鳥の郡(大阪府堺市)に住む人の娘でした。幼いころ、祖父母にいつくしまれていました。その家に仕えている下童がありました。庭の糞をかたづけ、棄てること...
巻十一

巻十一第二話① 仏教を禁じた朝廷と行基の話

巻11第2話 行基菩薩学仏法導人語 第二 今は昔、大日本国に行基菩薩という聖がありました。和泉の国の大鳥(大阪府堺市)の人です。誕生したとき物につつまれて生れたので、父はこれを忌み、木の枝に乗せておいたのですが、生まれたときから言葉を...
巻六

巻六第九話 不空三蔵が武神を呼び唐の玄宗皇帝を助けた話

巻6第9話 不空三蔵誦仁王呪現験語 第九 今は昔、不空三蔵は南天竺の人です。幼少の折、金剛智に随って、天竺から震旦に渡り、震旦で出家し、金剛智に瑜伽無上秘密の教(密教)を受け、世に弘め、衆生を利益しました。ときの震旦の国王、唐の玄宗皇...
巻二

巻二第十五話 須達の美しい娘が十の卵を産んだ話

巻2第15話 須達長者蘇曼女十卵語 第十五 今は昔、天竺の舎衛城(コーサラ国の首都、祇園精舎がある)の中に(インドでは城の中に街がある)、一人の長者がありました。須達(しゅだつ、スダッタ。祇園精舎をつくった人)といいます。彼のたくさんの子...
巻二十九

巻二十九第二話 多衰丸と調伏丸、二人の盗人の話

巻29第2話 多衰丸調伏丸二人盗人語 第二 今は昔、世に二人の盗人がいました。多衰丸(たすいまろ)調伏丸(ちょうぶくまろ)といいました。多衰丸は世間によく知られた盗人でしたが、土蔵破りを常習としていました。度々捕らえられて獄に繋がれていま...
巻二十九

巻二十九第一話 土蔵内で盗人と判官が密談した話

巻29第1話 西市蔵入盗人語 第一 今は昔、␣(欠字。天皇名)天皇の御代に、西の市の土蔵に盗人が入りました。盗人が土蔵の中に籠っていると聞いて、検非違使(けびいし)※1共が皆で取り囲み、捕らえようとしましたが、その中に、上の判官(うえのほ...
巻二十四

巻二十四第五十五話 大隅の郡司が歌を詠んで許された話

巻24第55話 大隅国郡司読和歌語 第五十五 今は昔、大隅(鹿児島県)の守␣(欠字。「拾遺集」によると桜島忠信が該当。以後忠信とする。)という人がいました。任国に下って政務を執り行っていたが、郡司※1に職務怠慢の行為があったので、「す...
巻二十四

巻二十四第五十二話 大江匡衡、和琴を詠む

巻24第52話 大江匡衡和琴読和歌語 今は昔、式部大夫(しきぶのたいふ・式部省の次官)大江匡衡(おおえのまさひら)という人がいました。 まだ学生(がくしょう)であったころ、風雅の才はあったのですが、のっぽで怒り肩をしており、...
巻二十六

巻二十六第二十話 少女と噛み合って死んだ犬の話

巻26第20話 東小女与狗咋合互死語 第二十 今は昔、␣(欠字)国␣(欠字)郡に住む人がいました。その家に、年は十二か三ばかりの使いの少女がいました。その家の隣では白い犬を飼っていましたが、どうしたことか、この少女を見さえすると、敵の...
巻二十四

巻二十四第五十一話 大江匡衡の妻・赤染衛門、歌を詠む

巻24第51話 大江匡衡妻赤染読和歌語 今は昔、大江匡衡(おおえのまさひら)の妻は、赤染時望(あかぞめのときもち)という人の娘であります。 匡衡はこの妻に挙周(たかちか)を生ませたのです。 その挙周は、成長してから漢詩文の道に達してい...
巻二十四

巻二十四第四十九話 亡き親に歌をそなえた貧しい娘の話

巻24第49話 七月十五日立盆女読和歌語 第四十九 今は昔、七月十五日の盂蘭盆の日※1に、たいそう貧しい女が、亡き親のために食べ物を供えることができないので、着ていたたった一つの薄紫色の綾の衣を盆に載せて、その上を蓮の葉で覆い、それを持っ...
巻二十七

巻二十七第四十五話 山中で歌を詠じて死んだ話

巻27第45話 近衛舎人於常陸国山中詠歌死語 第四十五 今は昔、□□という近衛舎人(このえとねり、*1)がいました。神楽舎人(かぐらとねり、*2)か何かだったのでしょうか、大変素晴らしい歌詠みでした。 相撲の使い(*3)で東国に下って行く...