巻十九巻十九第三十二話 平維叙、神に恩返しをされる 今は昔、陸奥守(むつのかみ・現在の東北地方の国司)平維叙(たいらのこれのぶ)という者がいました。貞盛朝臣(さだもりのあそん・平将門を誅殺した勲功者)の子であります。任国にはじめて下り、神拝(じんぱい・新任国司の行事)ということをしようと、... 2021.02.19巻十九
巻十九巻十九第二十七話 児よりも母を助けた話 巻19第27話 住河辺僧値洪水棄子助母語 第廿七 今は昔、高潮が上がって、淀川の水かさが増し、河辺の多くの人の家が流れました時に、年のほど五、六歳くらいで、色白く見た目も端正な、気配りもしっかりできる男の子をもって、片時も身も離さず可愛が... 2021.07.26巻十九
巻十九巻十九第二十六話 下野公助、父に打たれても逃げなかった話 巻19第26話 下野公助為父敦行被打不逃語 第廿六 今は昔、右近の馬場で手番(てつがい・射手を左右に分けて二人一組で勝負を競う。五月の節句の宮中行事)が行われたとき、中将・大将たちが馬場で着座していました。その日、下野公助(しもつけの... 2020.10.10巻十九
巻二十六巻二十六第十一話 白い犬が絹糸をつむいだ話 巻26第11話 参河国始犬頭糸語 第十一 今は昔、参河国(三河国、愛知県東部)に郡司がありました。妻を二人持っていて、それぞれに蚕養(こがひ)をさせて、糸をつくっていました。 ところが、本妻の蚕が、どういうことでしょうか、みな死んでしま... 2024.02.14巻二十六
巻二十四巻二十四第五十話 薄幸な妻の最期の歌 巻24第50話 筑前守源道済侍妻最後読和歌死語 第五十 今は昔、筑前守(ちくぜんのかみ・福岡県北西部の国司)源道済(みなもとのみちなり)という人がいました。 和歌を詠むことの名人でありました。 この人が筑前国に下っているとき、その侍の... 2024.02.13巻二十四
巻九巻九第二話 孝養の子の庭にタケノコが生えた話 巻9第2話 震旦孟宗孝老母得冬笋語 第二 今は昔、震旦(中国)の呉の時代、江都(江蘇省)に、孟宗という人がありました。父は亡くなり、母は存命でした。孝養の心が深く、老母を養っておりました。 この母は以前より、笋(たかんな、タケノコ)がな... 2024.02.10巻九
巻二十六巻二十六第十話 無人島で夫婦となった兄妹の話 巻26第10話 土佐国妹兄行住不知島語 第十 今は昔、土佐国幡多郡(高知県幡多郡)に住む下衆(身分の低い者)がありました。自分が住む浦ではなく、他の地の浦に田を作っていました。自分が住む浦には種を蒔き、苗代をつくります。苗が植えられる大き... 2024.02.08巻二十六
巻十九巻十九第二十四話 安倍清明、泰山府君の祭祀を行う 巻19第24話 代師入太山府君祭都状僧語 今は昔、□□という人がいました。 □□の僧であります。 なかなかの名僧なので、皇室・一般から共に尊ばれていましたが、重い病気にかかり、悩み患っているうち、日に日に病が重篤になったので、師のもと... 2019.10.07巻十九
巻三巻三第十六話 王に見そめられ后となった貧しい娘の話 巻3第16話 貧女現身成后語 第(十六) 今は昔、摩竭提国(マガダ国)に一人の貧しい老女がおりました。年は八十余りで、十四歳の一人の娘がありました。娘の母に対する孝心はとても深いものでした。 あるとき国の大王の行幸がありました。国... 2024.02.01巻三
巻十一(全)巻十一第三十四話 法輪寺を建てた話(欠話) 巻11第34話 □建法輪寺語 第卅四(欠文) 【解説】 草野真一 『新日本古典文学大系35 今昔物語集3』の解説によれば、「□建法輪寺語」の□に入るのは道昌の可能性が高いという。道昌は空海の弟子だった人で、驚異の記憶力を得る虚空蔵求聞持法... 2024.02.01巻十一(全)
巻十一(全)巻十一第三十三話 秦河勝が広隆寺をつくった話(欠話) 巻11第33話 秦川勝始建広隆寺語 第卅三(欠文) 【解説】 草野真一 秦河勝(川勝)は日本仏教の祖・聖徳太子の朋輩であった人物として知られ、同時に秦氏の族長であったとされる。国宝第一号となった弥勒菩薩半跏像は広隆寺(京都市右京区)にあり... 2023.01.18巻十一(全)
巻十一(全)巻十一第三十二話② 寺を建てた夫妻(坂上田村麻呂が清水寺を建てた話②) (①より続く) 巻11第32話 田村将軍始建清水寺語 第卅二 大納言の坂上田村麻呂という人が近衛の将監であったときに、居所を新しい京の西に賜りました。仕事が休みのとき、京を出て、東の山に行き、産を控えた妻のために鹿を求めることがありまし... 2024.01.28巻十一(全)
巻二十四巻二十四第五十五話 大隅の郡司が歌を詠んで許された話 巻24第55話 大隅国郡司読和歌語 第五十五 今は昔、大隅(鹿児島県)の守␣(欠字。「拾遺集」によると桜島忠信が該当。以後忠信とする。)という人がいました。任国に下って政務を執り行っていたが、郡司※1に職務怠慢の行為があったので、... 2021.08.15巻二十四
巻十四巻十四第七話 立山の地獄で女に出会った話 巻14第7話 修行僧至越中立山会小女語 第七 今は昔、越中の国(富山県)に、立山という山がありました。昔から「かの山に地獄あり」と言い伝えられています(地獄谷)。 そこは、はるかに広がった高原です。その谷には、百千の湯が、深... 2024.01.21巻十四
巻二十四巻二十四第五十二話 大江匡衡、和琴を詠む 巻24第52話 大江匡衡和琴読和歌語 今は昔、式部大夫(しきぶのたいふ・式部省の次官)大江匡衡(おおえのまさひら)という人がいました。 まだ学生(がくしょう)であったころ、風雅の才はあったのですが、のっぽで怒り肩をしており、... 2020.07.06巻二十四