巻三十

巻三十第六話 死んだ妻と稲荷で出会った男女の話

巻30第6話 大和国人得人娘語 第六 今は昔、国守の□□という人がありました。とてもよい家柄の人でしたが、どういうわけか受領(地方の行政官、裕福になることが多い)で、たいへん豊かですべてがかなうような暮らしをしていました。 その人の妻が懐...
巻二

巻二第六話 病んだ老母が腐った米汁を布施して天に生まれた話

巻2第6話 老母依迦葉教化生天報恩語 第六 今は昔、天竺で迦葉(大迦葉、マハーカーシヤパ)尊者が里に出て乞食(こつじき)していました。尊者は思いました。「私は富貴の家にはしばらく行かない。貧窮の人のところに行って、その施しを受けよう」まず...
巻二十七

巻二十七第十話 油を盗む怪異の話

巻27第10話 仁寿殿台代御灯油取物来語 第十 今は昔、延喜(醍醐天皇)の御世に、物が仁寿殿の対代(たいしろ、建て増しの部屋)の灯用油を夜半くらいに取りに来て、紫宸殿(ししんでん、*1)の方に去っていくということが毎夜ありました。 天皇...
巻二十七

巻二十七第九話 未明の役所で消えた役人の話

巻27第9話 参官朝庁弁為鬼被噉語 第九 今は昔、太政官(だいじょうかん、中央官庁)が朝庁という事を行っていました。未明に人が参るものでした。 その時、史(さかん、三等官)□□の□□という者が遅刻し、弁(史の上司)は早出して席に座って...
巻二十七

巻二十七第八話 内裏で起こったバラバラ殺人、手足だけが見つかった話

巻27第8話 於内裏松原鬼成人形噉女語 第八 今は昔、小松(光孝)天皇の御世に、武徳殿の松原を若い女三人が連れ立って内裏へ向かって歩いていました。八月十七日の夜だったので、大変明るい月夜でございました。 すると、松の木のもとに男が一...
巻二十六

巻二十六第十四話 陸奥守に仕えていた男、黄金を見つけて裕福になる

巻26第14話 付陸奥守人見付金得富語 第十四 今は昔、陸奥守(むつのかみ・現在の東北地方の国司)□□という人がいました。また同じころ、□□という者がいました。二人が若いころ、守が意外にも自分をひどく憎んでいることがあったとも知らず、...
巻二十

巻二十第十六話 あの世で死んだ妻と父に会った話

巻20第16話 豊前国膳広国行冥途帰来語 第十六 今は昔、文武天皇の御代に、膳広国(かしわでのひろくに)という人がありました。豊前の国宮子の郡(福岡県京都郡)の小領(郡の次官)です。妻が先に亡くなり、慶雲二年(705年)九月十五日(旧暦、...
巻五

巻五第三十一話 穴の奥の不思議な世界、石になった男の話

巻5第31話 天竺牧牛人入穴不出成石語 第卅一 今は昔、天竺に仏が未だ出られていないころ、ひとりの牛飼いがありました。数百頭の牛を飼っていました。林の中に至ると、いつも一頭の牛が群れを離れ、ゆくえをくらましていました。どこに行ったのかわか...
巻三十

巻三十第五話 おちぶれた夫と豊かになった妻が再会する話

巻30第5話 身貧男去妻成摂津守妻語 第五 今は昔、京にとても貧しい人がいました。身分も高くありませんでした。 頼れる知人もなく、父母親類もなく、家もなかったので、人に雇われて身をよせていました。そこでも重用されることはなかったので、「も...
巻二

巻二第五話 嵐の朝に出かけた釈迦の話

巻2第5話 仏人家六日宿給語 第五 今は昔、仏は舎衛国(コーサラ国)にあり、人の家に六日間宿泊し、供養を受けました。 七日めの朝、出かけようとすると、天が陰り風が吹き、川ができるような洪水になりました。家の主人が仏に申し上げました。「今日...
巻二十七

巻二十七第七話 在原業平の女が鬼に食われた話

巻27第7話 在原業平中将女被噉鬼語 第七 今は昔、右近の中将在原業平という人がおりました。大変な女好きで、世に美人がいると聞けば、官人でも人の娘でも見逃さず、全て恋人にしたいと思っている所に、ある人の娘の容姿といい心映えといい、この世の...
巻二十七

巻二十七第六話 銅の精が人の形になって掘り出された話

巻27第6話 東三条銅精成人形被掘出 第六 今は昔、東三条殿に式部卿宮(重明親王)と申し上げる人がお住まいになられていた時に、南の山に三尺(約90cm)くらいの太った五位が時々歩いていたのを、式部卿宮がご覧になられて不審に思われていました...
巻二十七

巻二十七第五話 水の精が人になって捕らえられた話

巻27第5話 冷泉院水精成人形被捕語 第五 今は昔、陽成院がおいでになられた所は、二条大路の西桐院大路の西、大炊御門大路の南、油小路の東にある二町でした。院がおかくれになられた後は、その冷泉小路を開いて、北の町は人家になって、南の町に池が...
巻二

巻二第四話 釈迦が祈った謎の塔の話

巻2第4話 仏拝卒堵婆給語 第四 今は昔、仏が伽頻国(かひんこく、釈迦の出身国)にあったとき、喩山陀羅樹(ゆせんだらじゅ)の下にいらっしゃいました。そこには卒堵婆(そとば、塔)がありました。仏はこれを礼拝なさいました。 阿難・舎利弗・迦葉...
巻三十

巻三十第四話 恋人との再会と同時に死んだ女の話

巻30第4話 中務大輔娘成近江郡司婢語 第四 今は昔、中務の大輔(なかつかさのたいふ、宮中の事務を行う第二等官)□□という人がありました。男の子はおらず、娘がひとりありました。 貧しい家でしたが、兵衛の佐(ひょうえのすけ、内裏の警護を行う...