巻二十四

巻二十四第二十九話 藤原義忠が藤原資業の詩を非難した話

巻24第29話 藤原資業作詩義忠難語 第廿九 今は昔、藤原資業(ふじわらのすけなり)という文章博士がいました。 鷹司殿(たかつかさどの・源倫子)の御屏風の色紙形に書く詩を、詩文の達人である博士たちにお命じになり、詩をつくらせましたが、こ...
巻二十六

巻二十六第四話 下男の部屋を借り女と会っていて殺されかけた話

巻26第4話 藤原明衡朝臣若時行女許語 第四 今は昔、大学頭(国家公務員養成所の長官)藤原明衡という学者がありました。その人が若いころ、然るべき所に宮仕えしている女房を深い仲になり、こっそり通っていました。 女房の部屋に行って寝るのは都合...
巻二十四

巻二十四第二十八話 菅原道真が夢で詩の読み方を教えてくれた話

巻24第28話 天神御製詩読示人夢給語 第廿八 今は昔、天神(菅原道真)がおつくりになった詩があります。 東行西行雲眇々 (とうこうさいこうくもびょうびょう) 二月三月日遅々 (にがつさんがつひちちたり) この詩を後世の人は、も...
巻二十四

巻二十四第二十七話 死んだ詩人と詩を解する下女の話

巻24第27話 大江朝綱家尼直詩読語 今は昔、村上天皇の御代に、大江朝綱(おおえのあさつな)という文章博士がいました。 たいへん優れた学者であります。 長年、文章道をもって朝廷に仕え、少しも心もとない点がなく、ついに宰相(さいしょう・...
巻二十七(全)

巻二十七第四十五話 山中で歌を詠じて死んだ話

巻27第45話 近衛舎人於常陸国山中詠歌死語 第四十五 今は昔、□□という近衛舎人(このえとねり、*1)がいました。神楽舎人(かぐらとねり、*2)か何かだったのでしょうか、大変素晴らしい歌詠みでした。 相撲の使い(*3)で東国に下って行く...
巻二十四

巻二十四第二十六話 菅原文時、村上天皇から詩の優劣を訊かれ、逃げ出す

巻24第26話 村上天皇与菅原文時作詩給語 第廿六 今は昔、村上天皇は漢詩文をお好みになっておられましたが、あるとき、「宮の鶯、暁に囀(さえず)る」という題で詩をお作りになりました。  露濃緩語花底(つゆこまやかにしてかんごえんかのそこ...
巻二十四

巻二十四第二十五話 三善清行と紀長谷雄の口論

巻24第25話 三善清行宰相与紀長谷雄口論語 第廿五 今は昔、醍醐天皇の御代に、参議(さんぎ・唐名は宰相。朝議に参加する公卿)三善清行(みよしのきよつら)という人がいました。 その当時、中納言・紀長谷雄(きのはせお)は文章得業生(もんじ...
巻十七(全)

巻十七第二十八話 地蔵が京に住む女を助けた話

巻17第28話 京住女人依地蔵助得活語 第廿八 今は昔、京の太刀帯(たちはき)町のあたりに住んでいる女性がありました。もとは東国の人です。縁あって京に上り、住んでいました。 その女人は善心があって、月の二十四日(地蔵の縁日)に六波羅蜜寺の...
巻六(全)

巻六第八話 金剛智三蔵が金剛界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第8話 金剛智三蔵金剛界曼陀羅渡震旦語 第八 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、金剛界の曼陀羅の大法を説き、金剛薩埵に伝えました。金剛薩埵はこれを、数百年ののち、龍猛菩薩に伝えました。龍猛菩薩はやはり数百年後...
巻二(全)

巻二第十四話 大王の娘として生まれた貧しくいやしい女の話

巻2第14話 阿育王女子語 第(十四) 今は昔、天竺で、仏は阿難(アーナンダ、釈尊の身の回りの世話をした弟子)や多くの比丘とともに、王舎城(マガダ国の都、大陸では城門内に町がある)に入って、乞食(托鉢)をしていました。 町に至...
巻二十七(全)

巻二十七第四十四話 死人を背負った男と死人に化けた男の話

巻27第44話 通鈴鹿山三人入宿不知堂語 第四十四 今は昔、伊勢国(ほぼ三重県)から近江国(滋賀県)へ越えようとする男が三人いました。身分は低くとも、三人はいずれも勇猛で思慮がありました。 鈴鹿山(*1)を通る頃、その山中に昔からどんな謂...
巻二十四

巻二十四第二十四話 鬼が弾く音に導かれた名手・源博雅の話

巻24第24話 玄象琵琶為鬼被取語 第廿四 今は昔、村上天皇の御代に、玄象(げんじょう)という琵琶※1がにわかに見当たらなくなってしまいました。これは皇室に代々伝わってきた由緒ある宝物であったのが、このようになくなってしまったので、天皇が...
巻二十四

巻二十四第二十三話 盲目の琵琶法師・蝉丸に魅せられた源博雅の話

巻24第23話 源博雅朝臣行会坂盲許語 第廿三 今は昔、源博雅朝臣(みなもとのひろまさのあそん)という人がいました。延喜(えんぎ・第六十代醍醐天皇)の御子の兵部卿親王(ひょうぶきょうのみこ)と申す方の子です。いずれの道にも優れたお方であっ...
巻十一(全)

巻十一第一話④ 聖徳太子と飢えて死んだ人の話

巻11第1話 聖徳太子於此朝始弘仏法語 第一 (③より続く) 太子の妃は柏手氏の方でした。太子は妃におっしゃいました。 「おまえは私にしたがってきて、年来ひとつも誤ることがなかった。とても幸福なことだ。もし死んだなら、同じ穴に入ろ...
巻六(全)

巻六第七話 善無畏三蔵が胎蔵界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第7話 善無畏三蔵胎蔵界曼陀羅渡震旦語 第七 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、胎蔵界の曼陀羅の大法を説き、金剛手菩薩(金剛薩埵)に伝えました。その後、数百年を経て、金剛手は中天竺の世無厭寺(ナーランダ大学/...
タイトルとURLをコピーしました