巻二十七(全)

巻二十七第十六話 怪異の棲む堂、狂死した女の話

巻27第16話 正親大夫□□若時値鬼語 第十六 今は昔、正親の大夫という者がおりました。 その人が若かった時に、身分の高い所に宮仕えしていた女を語らって、時々は棲み通ったが、しばらく行かなくなっていたので、仲立ちの女に言伝をしている仲立ち...
巻二十七(全)

巻二十七第十五話 赤子を食らう白髪の老婆の話

巻27第15話 産女行南山科値鬼逃語 第十五 今は昔、ある所に宮仕えしている若い女がおりました。父・母、親類縁者もおらず、少しの知り合いすらいなかったので、立ち寄る所もなくて、ただ局にいて、「もし、病気になった時に、どうしたらいいのだろう...
巻二十七(全)

巻二十七第十四話 東国から上ってきた人が鬼に喰われた話

巻27第14話 従東国上人値鬼語 第十四 今は昔、東の方から上京してきた人が、勢田橋(瀬田の唐橋。滋賀県大津市瀬田川にかかる。東国からの入り口)を渡って来て、日が暮れたので、人家に宿を借りようとした所、その辺に人も住まない大きな家があり、...
巻二十六

巻二十六第二話 蕪で自慰した男と妊娠した娘の話

巻26第2話 東方行者娶蕪生子語 第二 今は昔、京から東の国に下る者がありました。 どこの国郡ともわからず、ある郷を通ったとき、婬欲がさかんに起こり、女を抱くことばかり考えておかしくなりそうで、しずめることができませんでした。どうし...
巻二十(全)

巻二十第十九話 地獄の鬼に賄賂をおくった話

巻20第19話 橘磐島賂使不至冥途語 第十九 今は昔、橘の磐島という者がありました。聖武天皇の御代、奈良の都の人でした。大安寺の西の郷に住んでいました。 大安寺の修多羅供(しゅたらく、寺院運営の基金)の銭四十貫を借り、越前の国(福井県)敦...
巻五(全)

巻五第二十八話 巨大な魚の王に出会った船乗りの話

巻5第28話 天竺五百商人於大海値摩竭大魚語 第廿八 今は昔、天竺で五百人の船乗りが宝を求めるために航海していました。梶取(船長)が楼の上の人に問いました。「なにか見えるか」 楼上の人が答えました。「太陽がふたつ見えます。白い山が見え...
巻三十(全)

巻三十第五話 おちぶれた夫と豊かになった妻が再会する話

巻30第5話 身貧男去妻成摂津守妻語 第五 今は昔、京にとても貧しい人がいました。身分も高くありませんでした。 頼れる知人もなく、父母親類もなく、家もなかったので、人に雇われて身をよせていました。そこでも重用されることはなかったので、「も...
巻二(全)

巻二第五話 嵐の朝に出かけた釈迦の話

巻2第5話 仏人家六日宿給語 第五 今は昔、仏は舎衛国(コーサラ国)にあり、人の家に六日間宿泊し、供養を受けました。 七日めの朝、出かけようとすると、天が陰り風が吹き、川ができるような洪水になりました。家の主人が仏に申し上げました。「今日...
巻二十七(全)

巻二十七第十三話 安義橋の鬼が弟に化けて命を奪った話

巻27第13話 近江国安義橋鬼噉人語 第十三 今は昔、近江(滋賀県)守□□という人が、その国に赴任していた時期に、館の男たちの間に勇猛な者が多数いて、今昔物語りなどをして、碁・双六を打って、遊びほうけては喰って酒を飲んでいると「この国に安...
巻二十七(全)

巻二十七第十二話 朱雀院で餌袋のお菓子がとられた話

巻27第12話 於朱雀院被取餌袋菓子語 第十二 今は昔、六条院の左大臣と申し上げる方がいらっしゃいまして、お名前を重信と申し上げます。 その大臣が方違えに朱雀院へ一夜お泊りになるということで、石見守藤原頼信という、当時瀧口(たきぐち、*1...
巻二十七(全)

巻二十七第十一話 料理人が伴大納言の霊を見た話

巻27第11話 或膳部見善雄伴大納言霊語 第十一 今は昔、□□の頃、天下に咳病が蔓延して、誰もが病み、貴賎を問わず病に倒れておりました。 ある所に料理人をしていた男がおり、仕事を全て終えたので、午前零時頃になって皆が寝静まった頃に家を出た...
巻二(全)

巻二第四話 釈迦が祈った謎の塔の話

巻2第4話 仏拝卒堵婆給語 第四 今は昔、仏が伽頻国(かひんこく、釈迦の出身国)にあったとき、喩山陀羅樹(ゆせんだらじゅ)の下にいらっしゃいました。そこには卒堵婆(そとば、塔)がありました。仏はこれを礼拝なさいました。 阿難・舎利弗・迦葉...
巻三十(全)

巻三十第四話 恋人との再会と同時に死んだ女の話

巻30第4話 中務大輔娘成近江郡司婢語 第四 今は昔、中務の大輔(なかつかさのたいふ、宮中の事務を行う第二等官)□□という人がありました。男の子はおらず、娘がひとりありました。 貧しい家でしたが、兵衛の佐(ひょうえのすけ、内裏の警護...
巻四(全)

巻四第三十二話 薬が人となり皇子を救った話

巻4第32話 震旦国王前阿竭陀薬来語 第卅二 今は昔、震旦(中国)に皇子がありました。容姿が端正で美しい心をもっていました。父王はこの皇子をたいへんに愛していました。 やがて、皇子は重い病を得て床につき、数か月が経ちました。国王はこれを...
巻十七(全)

巻十七第二十一話 六波羅蜜寺の地蔵像の由来

巻17第21話 但馬前司□□国挙依地蔵助得活語 第廿一 今は昔、但馬(兵庫県)の前司(ぜんじ、前任の国司)国挙(くにたか)という人がありました。長く公務をつとめ、私も充実させているうち、身に病を受け、死ぬことになりました。すぐに閻魔の庁に...
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