巻五(全)

巻五第二十二話 王子を待ち死んだ姫と二人の子の話

巻5第22話 東城国皇子善生人通阿䫂女語 第廿二 今は昔、東城国に明頸演現王(みょうきょうえんげんおう)という王がありました。王にはひとりの皇子があり、善生人(ぜんしょうにん)といいました。皇子には妻がありませんでした。また、西城国に王が...
巻一(全)

巻一第三十七話 子どもを護った執金剛神の話

巻1第37話 財徳長者幼子称仏遁難語 第卅七 今は昔、天竺に財徳長者という人がありました。幼い愛子があり、つねに「南無仏」ととなえるよう教えていました。子は教えにしたがい、常に「南無仏」ととなえていました。寒いときも、暑いときも、心に...
巻二十(全)

巻二十第十七話 施しをせず牡蠣を救った人の死後の話

巻20第17話 讃岐国人行冥途還来語 第十七 今は昔、讃岐国香水(かがわ)の郡坂田の郷(香川県高松市)に、一人の富人がありました。姓は綾の氏です。妻も同姓でした。 その隣に年老たる嫗(おうな、老婆)が二人ありました。ともに寡(やもめ)であ...
巻十九

巻十九第五話 すべてを失った姫君の話(芥川龍之介『六の宮の姫君』元話)

巻19第5話 六宮姫君夫出家語 第五 今は昔、六の宮というところに兵部の大輔(ひょうぶのたゆう、軍の下級役人)がありました。年老いていたので、古い習慣にならって人と交わることがなく、父が遺した宮の、すっかり木が伸びきって荒れ果ててしまった東...
巻十二

巻十二第三十三話 多武峰の増賀聖人の話

巻12第33話 多武峰増賀聖人語 第卅三 今は昔、多武峰(とうのみね、奈良県桜井市)に増賀聖人(そうがしょうにん)という人がいました。 俗姓は□□氏、京の人であります。 生まれてあまりたたない頃、父母が何かの縁があって関東の方に下ることにな...
巻十四

巻十四第一話 誰も知らない蓄えがあったため蛇になった律師の話

巻14第1話 為救無空律師枇杷大臣写法花語 第一 今は昔、比叡の山に無空律師という人がありました。幼くして山に入り、出家して後は、戒を破ることはありませんでした。心は正直であり、道心が深かったので、僧綱の位にまでなりましたが、ついに現世の...
巻十七(全)

巻十七第十五話 夢のお告げで伯耆大山に向かった貧しい僧の話

巻17第15話 依地蔵示従愛宕護移伯耆大山僧語 第十五 今は昔、愛宕護(あたご)の山に一人の僧が住んでいました。名を蔵算といい、仁和寺の池上(地名)の平救阿闍梨(へいきゅうあじゃり、阿闍梨は高位の僧の意)の弟子でした。 蔵算...
巻四(全)

巻四第二十九話 何万年も生きた修行僧が山中で発見された話

巻4第29話 天竺山人見入定人語 第廿九 今は昔、天竺に山がありました。かぎりなく峻厳でした。 釈尊が入滅したのちのある日のことです。その山が落雷によって崩れました。崩れた山に入ると、ひとりの比丘(僧侶)がおりました。身体は枯れ乾き、目をつ...
巻一(全)

巻一第三十六話 仏をめぐる功徳の話

巻1第36話 舎衛城婆羅門一匝遶仏語 第卅六 今は昔、仏が舎衛城(コーサラ国)で乞食(托鉢)なさっていたときのことです。 ひとりの婆羅門(バラモン、カーストの最上)がやってきて、仏を目にしました。仏は光明を放ち、悠然としていらっしゃいま...
巻五(全)

巻五第二十一話 虎の威を借る狐の話

巻5第21話 天竺狐借虎威被責発菩提心語 第廿一 今は昔、天竺に山がありました。その山に、狐と虎がそれぞれ住んでいました。 狐は虎の威を借りて、ほかの獣たちをおどしていました。虎はこれを聞いて、狐のところに行きました。 「おまえはなぜ私の威...
巻五(全)

巻五第二十話 獣の王を自称した狐と獅子の話

巻5第20話 天竺狐自称獣王乗師子死語 第二十 今は昔、天竺に古寺がありました。僧房に比丘(僧)があって、常に経を読んでいました。ある狐がこの経を聞きました。 「人も獣も心を高く持てば、王となることができる」 狐は思いました。 「私...
巻十七(全)

巻十七第十四話 地蔵に臨終の地を聞いた話

巻17第14話 依地蔵示従鎮西移愛宕護僧語 第十四 今は昔、鎮西肥前(九州佐賀県)の国の背振(せぶり)の山は、書写山の性空聖人が修行されていたところです。深い山で、これ以上に貴いところはありません。仏道を修行する行人は、みなこの山を訪れまし...
巻五(全)

巻五第十九話 亀と洪水と嘘つきの話

巻5第19話 天竺亀報人恩語 第十九 今は昔、天竺に、釣り上げた亀を持って歩いている人がありました。道心ある人がこれを見て、亀をゆずってくれるよう頼み、買い取って放してやりました。 その後何年か経って、亀を放してやった人の寝枕で、ごそご...
巻十九

巻十九第四話 源満仲の出家(その2)

巻19第4話 摂津守源満仲出家語 第四 (その1より続く) その後、郎等たちは各自、弓矢を背負い、甲冑をつけ、四、五百人ばかりの者が館の周りを三重四重に取り囲んで、一晩じゅう篝火をたき、大勢の者を出して巡察させなどして、油断なく警護しまし...
巻四(全)

巻四第二十八話 観音菩薩像が生身になって願いをかなえる話

巻4第28話 天竺白檀観音現身語 第廿八 今は昔、釈迦が涅槃に入った後のことです。摩訶陀(まがだ)国に伽藍がありました。名を□□寺といいます。その寺の堂に、白檀(びゃくだん)の観音菩薩の像がありました。 たいへん霊験あらたかで、常に数十人...
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