巻一(全)

巻一第二十二話 出家する王子と死後の話

巻1第22話 鞞羅羨王子出家語 第廿二 今は昔、天竺。仏が阿難とともに城に入って、乞食(こつじき、托鉢)しているとき、城中にひとりの王子がおりました。鞞羅羨那(ひらせんな)といいます。多くの美しい侍女とともに高楼で快楽にふけっていましたが...
巻二十七(全)

巻二十七第一話 雷に打たれて死んだ男と怨霊の話

巻27第1話 三条東洞院鬼殿霊語 第一 今は昔、京の三条大通より北、東洞院大路の東の角は、鬼殿と呼ばれていました。霊が住んでいると伝えられていました。 昔、都が京に移る前(平安遷都の前)、その三条東洞院の鬼殿の跡に、大きな松の木がありまし...
巻二十四

巻二十四第九話 蛇と交接した女の話

巻24第9話 嫁蛇女医師治語 第九 今は昔、河内国讚良郡馬甘郷(かわちのくにささらのこおりうまかいのさと)に住んでいる人がいました。 身分は卑しかったのですが、家はたいそう裕福でありました。そこに若い娘が一人ありました。 四月ごろのこ...
巻二十四

巻二十四第八話 好色な典薬頭を出し抜いた女の話

巻24第8話 女行医師家治瘡逃語 第八 今は昔、典薬頭(てんやくのかみ・医薬を司る典薬寮の長官)に□□という優れた医師(くすし)がいました。 当代に並びない者でありましたから、人びとは皆、この人を重んじていました。 ある日、この典薬頭...
巻四(全)

巻四第十八話 凶暴な象が法を聞いた話

巻4第18話 天竺国王以酔象令殺罪人語 第十八 今は昔、天竺に国王がありました。国に王法を犯す不善の輩があれば、一頭の大象を酒に酔わせ、罪人に放ちました。大象は目を赤くして大口を開け、走りかかって罪人を踏み殺しました。この刑の恐ろしさから...
巻十七(全)

巻十七第七話 地蔵を念じて貧困から脱した話

巻17第7話 依地蔵菩薩教始播磨国清水寺語 第七 今は昔、近江国志賀郡に崇福寺という寺がありました。蔵明という僧が住んでいました。慈悲忍辱で、広い施しの心を持っていました。しかし、貯えがまったくなく、とても貧しい暮らしをしていました。深い...
巻二十四

巻二十四第七話 医師の宴に現れた体を腫らした女の話

巻24第7話 行典薬寮治病女語 第七 今は昔、典薬頭(てんやくのかみ・医薬のことをつかさどる典薬寮の長官)□□という人がいました。 医薬の道については、すぐれた医師(くすし)であるので、公私にわたって重んじられていました。 ある年の七...
巻四(全)

巻四第十七話 仏の宝玉をとったスリランカの盗人の話

巻4第17話 天竺仏為盗人低被取眉間玉語 第十七 今は昔、天竺の僧迦羅国(そうからこく、スリランカ)に、小伽藍がありました。その寺に、等身大の仏がありました。寺は前の王の願いで建てられたものです。仏の御頭(みぐし)の眉間には玉(宝玉)が入...
巻一(全)

巻一第二十一話 出家する王族、奴隷がもっとも重んじられた

巻1第21話 阿那律跋提出家語 第廿一 今は昔、釈迦仏の父・浄飯王(じょうぼんおう)の弟で、斛飯王(こくぼんのう、ドローノーダナ)という人がありました。 斛飯王には二人の子がありました。兄を摩訶男(まかなん、マハーナーマン)、弟を阿那律...
巻二十四

巻二十四第六話 碁打ち・寛蓮の話

巻24第6話 碁擲寛蓮値碁擲女語 第六 今は昔、第六十代醍醐天皇の御代に、碁勢(ごせい)と寛蓮(かんれん)という、碁の名人である二人の僧がいました。 寛蓮は家柄も卑しくなく、宇多院の殿上法師であったので、天皇も常に召して碁のお相手になさ...
巻二十四

巻二十四第五話 百済川成が飛弾の工に挑んだ話 

巻24第5話 百済川成飛騨工挑語 第五 今は昔、百済川成(くだらのかわなり)※1と呼ばれる絵師がいました。世に並ぶものが無いほどの名人でした。滝殿(たきどの)※2の石もこの川成が設計したものです。同じ御堂の壁の絵も、この川成が描いたもので...
巻十九

巻十九第一話 妻子を捨てて家を出た少将の話

巻19第1話 頭少将良峯宗貞出家語 第一 今は昔、深草の天皇(仁明天皇。深草は御陵の名)の御代に、蔵人(天皇の秘書)の頭で右近の少将、良峯宗貞という人がありました。大納言康世という人の子です。姿かたちは美麗で、まっすぐな心をもっていました...
巻二十四

巻二十四第四話 袖から何十本も針を抜き出し立ててみせる老婆の話

巻24第4話 於爪上勁刷返男針返女語 第四 今は昔、□天皇の御代に、右近の陣に□の春近という舎人がありました。蹴鞠を得意としていました。 その春近が後の町(后町)の井の井筒によりかって、若い女たちが水汲みにたくさんやってくるのに見せようと...
巻二十四

巻二十四第三話 小野宮の饗宴で九条大臣が素晴らしい衣を授かった話

巻24第3話 小野宮大饗九条大臣得打衣語 第三 今は昔、小野宮大臣が、大宴会を催したとき、九条大臣が主賓としてお越しになりました。 宴の引き出物は、女物の装束ひとそろいでした。それには砧で打った紅色の細長が添えられておりました。前駆が手...
巻二十(全)

巻二十第八話 良源僧正の霊が余慶僧正を伏した話(欠話)

巻20第8話 良源僧正成霊来観音院伏余慶僧正語 第八(欠文) 【解説】草野真一 下の護符は、良源僧正の二態をあらわしている。(クリックすると拡大) 左は元三大師(がんざんだいし)、天台宗最高位の天台座主まで上り詰めた良源の肖像であ...
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