巻六(全)

巻六第四十三話 浄土教の祖・曇鸞大師の話

巻6第43話 震旦曇鸞焼仙経生浄土語 第四十三 今は昔、震旦(中国)の斉の代に僧がありました。名を曇鸞といいます。震旦の仙経(不老不死を説いた道教の経典)十巻を伝え得て、これを見て、「長生不死の法はこれに勝るものはない」と深く思い、閑かな...
巻十四

巻十四第三話 蛇になった女と焼き殺された男の話(安珍と清姫の物語)

巻14第3話 紀伊国道成寺僧写法花救蛇語 第三 今は昔、熊野に向かう二人の僧がありました。一人は老僧、もう一人は若く、容姿端麗でした。牟婁の郡(和歌山県)である家に泊まりました。 家主は若い寡婦(独身女性...
巻十七(全)

巻十七第四十八話 妙見菩薩が盗まれた絹を取り戻した話

巻17第48話 依妙見助得被盗絹語 第四十八 今は昔、紀伊の国の安諦の郡(和歌山県有田川町)に私部寺(さきいべでら)という寺がありました。その寺の前に、富裕な家がありました。その家に盗人が入り、絹十疋を盗まれました。誰が盗んだのかわかりま...
巻六(全)

巻六第四十二話 義浄三蔵と武則天の話

巻6第42話 義浄三蔵訳最勝王経語 第四十二 今は昔、震旦(中国)に則天皇后(武則天・則天武后)という女帝がいらっしゃいました。仏記を受け、深く仏法を信じ、広く衆生(民)をあわれみました。 そのころ、義浄三蔵という聖人があり...
巻二十六

巻二十六第八話③ 返り討ちにあった猿神(生贄になった男③)

(②より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 祭の七日前になりました。この家は注連(しめなわ)をめぐらせました。男にも精進潔斎させました。村の他の家々も注連を引き、慎しんでいました。妻は、「夫とともにいられるのは、あと何日か」...
巻十一(全)

巻十一第二十九話 天智天皇が供養のために指を切り落とした話

巻11第29話 天智天皇建志賀寺語 第廿九 今は昔、天智天皇が近江の国志賀郡(滋賀県大津市)粟津の宮(近江大津宮)にいらっしゃったとき、寺を建てる願を立てました。「建てるべき地をお示しください」と祈り願った夜の夢に、僧があらわれて告げまし...
このプロジェクトについて

意訳と直訳――読みやすいのがいちばんです

お仕事なさってくれている方から、翻訳は直訳すべきなのか、意訳をするべきなのかとよく問われます。言い換えれば、原文を重視すべきかストーリーを重んじるべきかということです。 意訳/ストーリー重視でやってください、とお願いしています。 研究者...
巻二(全)

巻二第四十一話 衣服を買わない異様な風体の長者の話

巻2第41話 舎衛城婆提長者語 第四一 今は昔、天竺(インド)の舎衛城(コーサラ国の首都)に一人の長者がありました。名を婆提(ばだい)といいます。家は大いに富み、無量の財宝にあふれていました。飲食・衣服・金銀などの珍しい財宝が倉に積みあげ...
巻二十六

巻二十六第八話② 消沈する美しい妻(生贄になった男②)

(①より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 郡司の家ほどは大きくありませんが、みごとに飾られた家でした。男女の使用人が多くありました。使用人たちは僧の来訪を待ち喜び、走り騒ぎました。浅黄の男は、板敷の上から「はやくあがってく...
巻六(全)

巻六第四十一話 命を奪った畜生を供養するために生き返った男の話

巻6第41話 張居道書写四巻経得活語 第四十一 今は昔、震旦(中国)は温州の治中に、張居道という人がありました。妻子を喜ばせるために、猪・羊・鵝(雁)・鴨などを殺しました。 その後、十日もたたないうちに、居道は病を得て死にました。三夜を...
巻二十六

巻二十六第八話① 山の中の隠れ里(生贄になった男①)

巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 今は昔、仏道修行のため旅をする僧がありました。あてもなく歩むうち、飛騨国(岐阜県北部)に入りました。 ある日、山深く入り、道に迷うことがありました。方角もまったくわからないまま、木の葉がうずたかく...
巻二十六

巻二十六第七話 生贄を食らう猿神の話

巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七 今は昔、美作国(岡山県)に中参と高野という神がありました。中参は猿、高野は蛇のすがたをしていました。 毎年、これを祭るために、生贄を備えました。その生贄には、国人の娘で、未だ嫁が...
巻二十六

巻二十六第六話 継母が悪霊が憑いた人の家に娘をつれていく話(欠話)

巻26第6話 継母託悪霊人家将行継娘語 第六(欠文) 【解説】草野真一  『新日本古典文学大系37 今昔物語集5』(岩波書店)によれば、成立時から欠けていたらしい。 『今昔物語集』は似た話を続けて述べる「二話一類」という様式で記述され...
巻二十六

巻二十六第五話④ 追放された母娘(埋められた児の話④)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (③より続く) 夜が明けるのも待ち遠しく、翌朝になって児に食事をさせたあと、従者たちを呼び集めて、兄のもとへ行きました。着いてみると、家は静かで、人もほとんどありません。「介殿は」と問うと、「国...
巻十一(全)

巻十一第二十八話 智証大師円珍が三井寺を再興し新しい宗派を開いた話

巻11第28話 智証大師初門徒立三井寺語 第廿八 今は昔、智証大師(円珍)は、比叡山の僧として、千光院というところに住んでいました。天台座主としてかの院にいらっしゃったのです。天皇をはじめ、世をあげて大師をかぎりなく貴びました。 大師は...
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