巻六(全)

巻六第三十三話 華厳経の偈をとなえて蘇生した男の話

巻6第33話 震旦王氏誦華厳経偈得活語 第卅三 今は昔、震旦(中国)の京師(けいし、都)に人がありました。姓は王氏、戒律を守らず、善を修することもありませんでした。 文明元年(684年)王氏は病にかかり死にました。しかし、左右の脇は暖か...
巻二十(全)

巻二十第三十九話 川辺の聖人にやりこめられた話

巻20第39話 清滝河奥聖人成慢悔語 第卅九 今は昔、清滝河(清滝川)の奥に庵をつくり、長く修行をした僧がありました。「水瓶に水を入れたい」と思うときは、水瓶を飛ばして、川水をくませていました。 「これほどの行人はないだろう」と、思うと...
巻十一(全)

巻十一第二十一話 聖徳太子が四天王寺を建てた話

巻11第21話 聖徳太子建天王寺語 第廿一 今は昔、聖徳太子はこの国に生まれ、「仏法を弘めて、この国の人を利益しよう」と考え、伯父である敏達天皇の御代にそれを進言して、国の内に仏法を崇めて、堂塔を造り、他国より来た僧に帰依するようになりま...
巻二十四

巻二十四第三十九話 藤原義孝、死んだ後に歌を詠む

巻24第39話 藤原義孝朝臣死後読和歌語 今は昔、右近少将・藤原義孝(ふじわのよしたか)という人がいました。 この人は、一条の摂政殿(藤原伊尹)の御子であります。 容貌・人柄をはじめ、気立ても才能もすべて人にすぐれていました。 また...
巻二十四

巻二十四第三十八話 並はずれた歌人・藤原道信

巻24第38話 藤原道信朝臣送父読和歌語 第卅八 今は昔、左近の中将・藤原道信(ふじわらのみちのぶ)という人がいました。 法住寺(ほうじゅうじ)の為光(ためみつ)の大臣(おとど)の子で、一条天皇の御代の殿上人であります。 容貌・人品を...
巻六(全)

巻六第三十二話 天に生まれることより蓮華蔵世界への転生を望んだ僧の話

巻6第32話 震旦僧霊幹講花厳経語 第卅二 今は昔、震旦(中国)の隋の時代、一人の僧がありました。名を霊幹といいます。常に華厳経を講じていました。遠方の人も近在の人も、多くの人がやってきて、霊幹の講義を聞いていました。 開皇十七年(59...
巻十一(全)

巻十一第二十話 聖徳太子が法隆寺を築いた話(欠話)

巻11第20話 聖徳太子建法隆寺語 第二十(欠文) 【解説】草野真一 『今昔物語集』は聖徳太子を日本仏教の祖として描いている。聖徳太子が築いたとされる寺院はいくつもあるが、法隆寺をその代表とすることに異論がある者はないだろう。飛鳥の聖徳太...
巻十一(全)

巻十一第十九話 光明皇后が法華寺を尼寺とした話(欠話)

巻11第19話 光明皇后建法華寺為尼寺語 第十九(欠文) 【解説】 草野真一 光明皇后はさまざまな芸能・映画・ドラマ・マンガなどに描かれた人物である。もっとも有名なものは千人の病者の垢を洗い落とすことを発願した話だろう。最後の千人目に重症...
巻二(全)

巻二第三十一話 死んでもすぐに生まれ子を失う不幸な女の話

巻2第31話 微妙比丘尼語 第(卅一) 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の比丘尼(尼僧)がありました。名を微妙(みみょう)といいます。 多くの尼に向けて、自分が前世に犯した善悪の業を語りました。 「過去の世に、一人の長者がありました。家は大...
巻三

巻三第十話 金翅鳥が阿修羅から子を守った話

巻3第10話 金翅鳥子免修羅難語 第(十) 今は昔、金翅鳥という鳥がいました。その鳥は須弥山の側面の洞穴に巣を作り、そこで子供達を産み育てていました。須弥山は高さ十六万由旬(ヨージャナ、古代インドの長さの単位)はある山で、水面より上に八万...
巻二十(全)

巻二十第三十八話 生きながら地獄の炎に焼かれた男の話

巻20第38話 石川沙弥造悪業得現報語 第卅八 今は昔、石川沙弥(しゃみ)という人がありました。幼くして頭を剃りましたが、受戒せず、僧の名を得ませんでした。ただ、石川の沙弥と呼ばれました。妻が河内の国石川の郡(大阪府南河内郡)の人であり、...
巻十七(全)

巻十七第四十三話 鞍馬寺の修行僧が女の鬼に襲われた話

巻17第43話 籠鞍馬寺遁羅刹鬼難僧語 第四十三 今は昔、一人の修行僧が鞍馬寺(京都市左京区)に籠り、修行していました。 ある夜、薪を拾い、火をつけてくべていると、夜がさらに深くなったころ、羅刹鬼が女の姿になって、僧の前に座り、火をくべ...
巻二十四

巻二十四第三十七話 藤原実方、陸奥国で歌を詠む

巻24第37話 藤原実方朝臣於陸奥国読和歌語 第卅七 今は昔、藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたのあそん)という人がいました。 小一条(こいちじょう)の大将・済時(なりとき)の大納言という人の子であります。 一条天皇の御代に...
巻六(全)

巻六第三十一話 手洗い水を受けた虫が天人に生まれ変わった話(華厳経の不思議)

巻6第31話 天竺迦弥多羅花厳経伝震旦語 第卅一 今は昔、天竺の執師子国(スリランカ)に一人の比丘(僧)がありました。名を迦弥多羅(かみたら)といいます。第三果(聖者の四つの階梯の第三)を得た人です。震旦(中国)では能支と呼ばれました。 ...
巻二十四

巻二十四第三十六話 在原業平の歌にまつわる話

巻24第35話 在原業平中将行東方読和歌語 第卅五 今は昔、右近衛の馬場で五月六日に騎射が行われましたが、在原業平(ありわらのなりひら)という人は中将でありましたので、大臣屋(おとどや・次将の着座する場所)に着席していると、その大臣屋の近...
タイトルとURLをコピーしました