巻十二

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巻十二第八話 薬師寺の万灯会の話

巻12第8話 於薬師寺行万灯会語 第八 今は昔、薬師寺の万灯会は、その寺の僧、恵達がはじめて行いました。昼は本願薬師経を講じて法会を行います。そのとき、僧は法服を調え、それぞれの役をつとめます。音楽が鳴り響き、間断なく歌舞がおこなわれます...
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巻十二第七話 鯖をかついだ不思議な老人が現れた話

巻12第7話 於東大寺行花厳会語 第七 今は昔、聖武天皇が東大寺を造り、開眼供養するとき、行基菩薩は婆羅門僧正という人が天竺(インド)より来るのを予知していて、その人を講師として供養することを勧めました。 「読師は誰にすべきだろう」 ...
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巻十二第六話 熱田の神が興福寺を訪れた話

巻12第6話 於山階寺行涅槃会語 第六 今は昔、山階寺(興福寺)に涅槃会という法会(法要)があります。二月の十五日は、釈迦如来が涅槃に入り給うた日です。僧たちは言いました。 「昔の沙羅林(沙羅双樹の林)の様子を思えば、心を持たない草木す...
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巻十二第五話 薬師寺で最勝会がおこなわれた話

巻12第5話 於薬師寺行最勝会語 第五 今は昔、天智天皇が薬師寺を建て、仏法がさかんになりました。 淳和天皇の御代に、中納言従三位兼行中務卿直世王という人がありました。才があり、心に悟りあり、内外の道(仏典と俗典)に通じていました。天長...
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巻十二第四話 孝謙天皇が御斎会をはじめた話

巻12第4話 於大極殿被行御斎会語 第四 今は昔、高野姫の天皇(孝謙天皇)と申す帝がいらっしゃいました。聖武天皇の御娘です。女性ではありますが、才たけて、文の道を極めていらっしゃいました。 その御時に、 大極殿で御斎会をはじめられました...
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巻十二第三話 維摩会が藤原氏に伝えられた話

巻12第3話 於山階寺行維摩会語 第三 今は昔、山階寺(興福寺の前身)で維摩会を行っていました。大織冠内大臣(藤原鎌足)の御忌日(命日)です。かの大織冠は、 もとの姓を中臣といい、天智天皇の御代に、藤原の姓を給わり、内大臣となりました。命...
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巻十二第二話 老いた妻が手を開けない娘を産んだ話

巻12第2話 遠江国丹生茅上起塔語 第二 今は昔、聖武天皇の御代に、遠江の国磐田の郡(静岡県磐田市)に、丹生の直茅上(にふのあたいちかみ)という人がありました。心を発し、塔を造る願を立てました。しかし、公私ともに忙しく、長くその願をとげる...
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巻十二第一話 塔を壊す雷神を罰した話

巻12第1話 越後国神融聖人縛雷起塔語 第一 今は昔、越後国(新潟県)に聖人がありました。名を神融といいます。世に古志(越、越前・越中・越後のこと)の小大徳(高僧)といわれました。幼少のときから法華経を受持し、昼夜に読み奉っていました。熱...
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巻十二第三十三話 多武峰の増賀聖人の話

巻12第33話 多武峰増賀聖人語 第卅三 今は昔、多武峰(とうのみね、奈良県桜井市)に増賀聖人(そうがしょうにん)という人がいました。 俗姓は□□氏、京の人であります。 生まれてあまりたたない頃、父母が何かの縁があって関東の方に下ること...
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