巻二十九

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巻二十九第二十六話 日向守、書生を殺す

巻29第26話 日向守□□殺書生語 第廿六 今は昔、日向守(ひゅうがのかみ・現在の宮崎県の国司)□□の□□という者がいました。 任国にいるうち、国司の任期が終わったので、新任の国司の着任を待つ間、引き継ぎの書類などをつじつまの合うよ...
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巻二十九第二十五話 平貞盛、胎児の肝を採る

巻29第25話 丹波守平貞盛取児干語 第廿五 丹波守(たんばのかみ・現在の京都府中部と兵庫県北東部の国司)に在任中、任国で悪性の瘡(かさ・皮膚疾患)をわずらい、□□という名医を京から迎えて診察させたところ、医師(くすし)は、「命に係わるよ...
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巻二十九第二十四話 人買いに売られて餓えて死んだ女の話

巻29第24話 近江国主女将行美濃国売男語 第廿四 今は昔、近江の国(滋賀県)□郡に住んでいる人がいました。 未だそれほどの年でもないうちに亡くなり、その妻はまだ四十歳ぐらいで一人残されました。 子も一人も産んでいません。 生れは京の人で...
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巻二十九第二十三話 妻を目の前で犯された男の話(芥川龍之介『藪の中』元話)

巻29第23話 具妻行丹波国男於大江山被縛語 第廿三 今は昔、京に住む人が、妻の実家である丹波の国に向かって歩いていました。妻を馬に乗せ、夫は矢を十本ほど差した竹蚕簿(えびら)を負い、弓を持っていました。大江山(丹波の有名な山。酒呑童子伝説...
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巻二十九第二十二話 鳥部寺に詣でた女が従僕に犯された話

巻29第22話 詣鳥部寺女値盗人語 第廿二 今は昔、物詣(ものもうで:神社に参拝すること)のたいそう好きな人妻がいました。誰の妻だとは、あえて言わないことにいたしましょう。年齢は三十歳ばかりで、姿形も美しかったのでございます。そのお方が、...
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巻二十九第二十一話 貴人に扮した盗賊に捕らえられた話

巻29第21話 紀伊国晴澄値盗人語 第廿一 今は昔、紀伊の国の伊都郡(和歌山県橋本市)に坂上晴澄(さかのうえのはるずみ)という者がいました。武の道にかけては極めて隙のない男でありました。前司(前任の国司)平惟時朝臣(たいらのこれときのあそ...
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巻二十九第二十話 盗賊にメッタ刺しにされた博士の話

巻二十九第二十話 盗賊にメッタ刺しにされた博士の話 巻29第20話 明法博士善澄被殺強盗語 第二十 今は昔、明法博士(みょうほうはかせ)※1で助教(じょきょう)※2の清原善澄(きよはらのよしみず)という人がいました。学才は並ぶ者がなく...
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巻二十九第十九話 大盗・袴垂、死んだふりをして人を殺す

巻29第19話 袴垂於関山虚死殺人語 第十九 今は昔、袴垂(はかまだれ)という盗人がいました。盗みを仕事としていたので、捕えられて牢獄につながれましたが、大赦(たいしゃ・ほとんどの罪人を赦免すること)に浴して出獄したものの、頼って行く所も...
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巻二十九第十八話 羅城門の老婆の話(芥川龍之介『羅生門』元話)

巻29第18話 羅城門登上層見死人盗人語 第十八 今は昔、摂津の国(大阪府)から、盗みをするために京に入ってきた男がありました。 羅城門に至りましたが、日が暮れる前だったので、まだ朱雀大路(京のメインストリート)の方に向かっていく人が多くあ...
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巻二十九第十七話 大がかりな計略で鐘を盗み出した窃盗団の話

巻29第17話 摂津国来小屋寺盗鐘語 第十七 今は昔、摂津の国(大阪府・兵庫県)□の郡に小屋寺(こやでら)という寺がありました。その寺に年が八十歳ほどはあろうかと見える法師がやって来て、その寺の住職に会って言いました。「私は西国から京の方...
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巻二十九第十六話 女房の正体が盗賊団の首領だった話(欠話)

巻29第16話 或所女房以盗為業被見顕語 第十六(欠文) 【解説】 松元智宏 標題のみにとどまっており、本文欠話。 『古今著聞集』十二巻第四百三十三話に上臈女房が盗賊団の首領であったことが露見して逮捕された話があり、本話と同筋と考えられて...
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巻二十九第十五話 糸を盗んだ検非違使(警察官)の話

巻29第15話 検非違使盗糸被見顕語 第十五 今は昔、ある夏の頃であります。検非違使が大勢下京(京都市下京区)辺りに行って、盗人の逮捕に当たっておりました折に、盗人を捕らえて縛りつけましたので、もはや帰るべきであるのに、□□(欠字)という...
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巻二十九第十四話 闇に響く女の泣き声の話

巻29第14話 九条堀河住女殺夫哭語 第十四 今は昔、延喜(えんぎ:醍醐天皇)の御代のこと、天皇が夜、清涼殿※1の御寝所においでになられました時のことでございます。にわかに蔵人※2をお召しになられたので、蔵人が一人参上したところ、天皇が、...
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巻二十九第十三話 妻による夫殺害が露見した話

巻29第13話 民部大夫則助家来盗人告殺害人語 第十三 今は昔、民部の大夫(みんぶのだいふ)※1□□(欠字。姓不明)の則助という者がいました。ある日、終日外出していて夕方に家に帰ってきたところ、車宿(くるまやどり)※2の片隅から一人の男が...
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巻二十九第十二話 盗賊の密談を聞き家財道具を預けた話

巻29第12話 筑後前司源忠理家入盗人語 第十二 今は昔、大和の守(やまとのかみ)藤原親任(ふじわらのちかとう)という人がいました。その人の舅に筑後の前司(ちくごのぜんじ)源忠理(みなもとのただまさ)という人がいました。賢くて万事に通じ、...
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