巻五

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巻五第二十六話 盲目の母象の子が捕らえられた話

巻5第26話 天竺林中盲象為母致孝語 第廿六 今は昔、天竺の林に、目の見えない母象と子象が住んでいました。子象は木の実や果物などを集めたり、清水をくんできたりして、盲目の母象を養っていました。 ある日、ひとりの人が林の中で道を見失い、出る...
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巻五第二十五話 猿と亀のだましあいの話

巻5第25話 亀為猿被謀語 第廿五 今は昔、天竺の海辺に山がありました。一匹の猿が、木の実を食べて暮らしていました。山の近くの海に、亀の夫妻が住んでいました。妻の亀が夫の亀に言いました。「私はあなたの子を妊娠しました。しかし、私は腹に病が...
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巻五第二十四話 鶴の忠告を信じず落ちて死んだ亀の話

巻5第24話 亀不信鶴教落地破甲語 第廿四 今は昔、天竺で、旱魃のために水が枯渇し、青い草葉もないときがありました。 池に亀が住んでいました。池の水は失せ、亀は命を失おうとしていました。 ある日、一羽の鶴がこの池に食事のためにやってき...
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巻五第二十三話 鼻のない九百九十九匹の猿の話

巻5第23話 舎衛国鼻欠猿供養帝釈語 第廿三 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国)に山がありました。その山に一本の大樹があり、千匹の猿が住んでいました。みな心をひとつにして、帝釈天を供養していました。 千匹の猿のうち、九百九十...
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巻五第二十二話 王子を待ち死んだ姫と二人の子の話

巻5第22話 東城国皇子善生人通阿䫂女語 第廿二 今は昔、東城国に明頸演現王(みょうきょうえんげんおう)という王がありました。王にはひとりの皇子があり、善生人(ぜんしょうにん)といいました。皇子には妻がありませんでした。また、西城国に王が...
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巻五第二十一話 虎の威を借る狐の話

巻5第21話 天竺狐借虎威被責発菩提心語 第廿一 今は昔、天竺に山がありました。その山に、狐と虎がそれぞれ住んでいました。 狐は虎の威を借りて、ほかの獣たちをおどしていました。虎はこれを聞いて、狐のところに行きました。 「おまえはなぜ...
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巻五第二十話 獣の王を自称した狐と獅子の話

巻5第20話 天竺狐自称獣王乗師子死語 第二十 今は昔、天竺に古寺がありました。僧房に比丘(僧)があって、常に経を読んでいました。ある狐がこの経を聞きました。 「人も獣も心を高く持てば、王となることができる」 狐は思いました。 「私...
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巻五第十九話 亀と洪水と嘘つきの話

巻5第19話 天竺亀報人恩語 第十九 今は昔、天竺に、釣り上げた亀を持って歩いている人がありました。道心ある人がこれを見て、亀をゆずってくれるよう頼み、買い取って放してやりました。 その後何年か経って、亀を放してやった人の寝枕で、ごそご...
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巻五第十八話 九色の美しい鹿を裏切った話

巻5第18話 身色九色鹿住山出河辺助人語 第十八 今は昔、天竺に山がありました。その山の中に、身の色は九色で、角の色は白い鹿が住んでいました。人は、山にそんな鹿がいるということを語りませんでした。その山のふもとに、大河がありました。一羽の...
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巻五第十七話 神ネズミに導かれた国王の話

巻5第17話 天竺国王依鼠護勝合戦語 第十七 今は昔、天竺に啒遮那国(くっしゃなこく)という小さな国がありました。小国ですが、大いに富み、多くの財を持っていました。天竺はもとより大いに広いですが、食物が乏しく、木の根・草の根を以て食とし、...
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巻五第十六話 果物を好む王が仏法を探し求めた話

巻5第16話 天竺国王好美菓又与美菓語 第十六 今は昔、天竺に国王がありました。常に美菓(美味な果物)を好み、楽しんでいました。 ある日、王宮を守る者(宮守)が池のほとりでおいしそうな果物を見つけました。 「国王が好むものだ」 彼は...
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巻五第十五話 火事を喜んだ僧の話

巻5第15話 天竺王宮焼不歎比丘語 第十五 今は昔、天竺の国王の王宮に火事が起こりました。片っ端から焼けていったので、大王をはじめ、后・皇子・大臣・百官など、みなあわて騒いで、財宝を運び出しました。 そのとき、一人の比丘(僧)がありまし...
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巻五第十四話 約束を守るため自分の肉を差し出した獅子の話

巻5第14話 師子哀猿子割肉与鷲語 第十四 今は昔、天竺の深山の洞穴に、一匹の獅子が住んでいました。獅子は思っていました。 「私は百獣の王である。すべての獣を護り、哀れまねばならぬ」 同じ山に、夫婦の猿がありました...
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巻五第十三話 焼身した兎 月の兎が生まれた話

今昔物語集 巻5第13話 三獣行菩薩道兎焼身語 第十三 今は昔、天竺に兎・狐・猿、三匹の獣がいました。彼らは誠の心を起こして菩薩の修行をしていました。 「わたしたちは前世に深く重い罪を負い、賤しい獣として生を受けた。これは前世に生きとし...
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巻五第十二話 五百人の皇子、国王の行幸中に皆そろって出家してしまう話

巻5第12話 五百皇子国王御行皆忽出家語 第十二 今は昔、天竺に国王がありました。五百人の皇子を持っていました。 あるときの行幸のことです。国王は五百人の皇子を前に立たせて進んでいくと、たまたま一人の比丘(僧侶)が、琴を弾きながら皇子たちの...