巻二十六

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巻二十六第十二話 能登の浜辺に宝が流れ着いた話

巻26第12話 能登国鳳至孫得帯語 第十二 今は昔、能登国鳳至郡(石川県鳳珠郡)に、鳳至(ふげし)の孫だといって、そこに住む者がありました。貧しく、不便しているとき、怪(変異の予兆)があったので、陰陽師にその吉凶を占ってもらいました。 ...
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巻二十六第十一話 白い犬が絹糸をつむいだ話

巻26第11話 参河国始犬頭糸語 第十一 今は昔、参河国(三河国、愛知県東部)に郡司がありました。妻を二人持っていて、それぞれに蚕養(こがひ)をさせて、糸をつくっていました。 ところが、本妻の蚕が、どういうことでしょうか、みな死んでしま...
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巻二十六第十話 無人島で夫婦となった兄妹の話

巻26第10話 土佐国妹兄行住不知島語 第十 今は昔、土佐国幡多郡(高知県幡多郡)に住む下衆(身分の低い者)がありました。自分が住む浦ではなく、他の地の浦に田を作っていました。自分が住む浦には種を蒔き、苗代をつくります。苗が植えられる大き...
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巻二十六第九話 巨大ムカデと大蛇が戦う話

巻26第9話 加賀国諍蛇蜈島行人助蛇住島語 第九 今は昔、加賀国(石川県南部)の下衆(身分の低い者)が七人、徒党を組んで常に海に出ていました。釣りを好んで業として、七人がひとつの船に乗りこんで漁に出て、長いこと過ごしていました。この者たち...
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巻二十六第二十話 少女と噛み合って死んだ犬の話

巻26第20話 東小女与狗咋合互死語 第二十 今は昔、␣(欠字)国␣(欠字)郡に住む人がいました。その家に、年は十二か三ばかりの使いの少女がいました。その家の隣では白い犬を飼っていましたが、どうしたことか、この少女を見さえすると、敵の...
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巻二十六第十七話 狐を使者にした話(芥川龍之介『芋粥』元話)

巻26第17話 利仁将軍若時従京敦賀将行五位語 第十七 今は昔、利仁の将軍という人がありました。当時もっとも力をもっている人(藤原基経)に仕えていました。越前国の、有仁という勢いもあり徳もある人の家に聟として入りましたから、結婚した後はかの...
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巻二十六第十四話 陸奥守に仕えていた男、黄金を見つけて裕福になる

巻26第14話 付陸奥守人見付金得富語 第十四 今は昔、陸奥守(むつのかみ・現在の東北地方の国司)□□という人がいました。 また同じころ、□□という者がいました。 二人が若いころ、守が意外にも自分をひどく憎んでいることがあった...
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巻二十六第八話④ 神になった男(生贄になった男④)

(③より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 生贄を出した家の家主は、「私が出した生贄に問題があったのだろうか」と冷静ではいられず、怖ろしく思っていました。生贄の男の妻は思いました。 「夫は刀を隠して持っていった。このように...
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巻二十六第八話③ 返り討ちにあった猿神(生贄になった男③)

(②より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 祭の七日前になりました。この家は注連(しめなわ)をめぐらせました。男にも精進潔斎させました。村の他の家々も注連を引き、慎しんでいました。妻は、「夫とともにいられるのは、あと何日か」...
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巻二十六第八話② 消沈する美しい妻(生贄になった男②)

(①より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 郡司の家ほどは大きくありませんが、みごとに飾られた家でした。男女の使用人が多くありました。使用人たちは僧の来訪を待ち喜び、走り騒ぎました。浅黄の男は、板敷の上から「はやくあがってく...
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巻二十六第八話① 山の中の隠れ里(生贄になった男①)

巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 今は昔、仏道修行のため旅をする僧がありました。あてもなく歩むうち、飛騨国(岐阜県北部)に入りました。 ある日、山深く入り、道に迷うことがありました。方角もまったくわからないまま、木の葉がうずたかく...
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巻二十六第七話 生贄を食らう猿神の話

巻26第7話 美作国神依猟師謀止生贄語 第七 今は昔、美作国(岡山県)に中参と高野という神がありました。中参は猿、高野は蛇のすがたをしていました。 毎年、これを祭るために、生贄を備えました。その生贄には、国人の娘で、未だ嫁が...
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巻二十六第六話 継母が悪霊が憑いた人の家に娘をつれていく話(欠話)

巻26第6話 継母託悪霊人家将行継娘語 第六(欠文) 【解説】草野真一  『新日本古典文学大系37 今昔物語集5』(岩波書店)によれば、成立時から欠けていたらしい。 『今昔物語集』は似た話を続けて述べる「二話一類」という様式で記述され...
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巻二十六第五話④ 追放された母娘(埋められた児の話④)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (③より続く) 夜が明けるのも待ち遠しく、翌朝になって児に食事をさせたあと、従者たちを呼び集めて、兄のもとへ行きました。着いてみると、家は静かで、人もほとんどありません。「介殿は」と問うと、「国...
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巻二十六第五話③ 児の発見と蘇生(埋められた児の話③)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (②より続く) かの伯父は、急に児の顔を見たくなって、恋しく思いました。従者たちはみな出払っていて、呼ぶことができませんでした。それでも恋しく思ったので、舎人男が一人あったのに命じて、「馬に鞍を...
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