巻三

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巻三第十六話 王に見そめられ后となった貧しい娘の話

巻3第16話 貧女現身成后語 第(十六)   今は昔、摩竭提国(マガダ国)に一人の貧しい老女がおりました。年は八十余りで、十四歳の一人の娘がありました。娘の母に対する孝心はとても深いものでした。 あるとき国の大王の行幸がありました。国...
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巻三第十五話 武勇にすぐれた醜い皇子の話

巻3第15話 摩竭提国王燼杭太子語 第(十五) 今は昔、天竺の摩竭提国(マガダ国)に王がおり、五百の太子がありました。それぞれ成長し、めいめい存分に威力を発揮し思うままにふるまっていました。その中の一番目の太子は燼杭(じんこう)太子といい...
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巻三第十四話 人前に出せないほど醜い姫の話

巻3第14話 波斯匿王娘金剛醜女語 第(十四) 今は昔、天竺(インド)の舎衛国(コーサラ国、祇園精舎がある)に波斯匿王(プラセーナジット王)という王がいました。妃は末利夫人(マッリカー夫人)といい、その容姿の美しさは、十六の大国(インドの...
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巻三第十三話 妻が不在の間にひとりで亀肉を食べた王子の話

巻3第13話 仏耶説輸多羅宿業給語 第(十三) 今は昔、仏が悉達太子(シッダールタ)と申されていたときに、三人の妻がいらして、その中のお一人に耶輸多羅(やしゅだら、ヤショーダラー)と申される方がおりました。太子はその方を大層大事にされまし...
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巻三第十二話 法を聞くオウムの来世の話

巻3第12話 須達長者家鸚鵡語 第(十二) 今は昔、天竺に須達(スダッタ)長者という長者がいました。仏法を信じ敬い、多くの比丘の檀徒として常に比丘を供養していました。長者の家の中には二羽の鸚鵡がいました。一羽は律提(りつだい)といい、もう...
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巻三第十一話 竜の娘を妻とした釈迦族の男の話

巻3第11話 釈種成竜王聟語 第(十) 今は昔、天竺では四姓のうちの刹帝利(クシャトリヤ)に属するものが国王となりました。この階級以外に国王になる家柄はありません。その中で釈種というのは釈迦如来の御一族のことをいいました。仏の御一族という...
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巻三第十話 金翅鳥が阿修羅から子を守った話

巻3第10話 金翅鳥子免修羅難語 第(十) 今は昔、金翅鳥という鳥がいました。その鳥は須弥山の側面の洞穴に巣を作り、そこで子供達を産み育てていました。須弥山は高さ十六万由旬(ヨージャナ、古代インドの長さの単位)はある山で、水面より上に八万...
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巻三第九話 金翅鳥から竜の子を守った袈裟の話

巻3第9話 竜子免金翅鳥難語 第(九) 今は昔、全ての竜王は大海の底を住処としていましたが、彼らは必ず金翅鳥(こんじちょう)から恐怖を受けていました。無熱池(あらゆる川の源)という池がありましたが、そこだけは金翅鳥の難はありませんでした。...
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巻三第八話 洞窟の主となった竜の話

巻3第8話 瞿婆羅竜語 第(八) 今は昔、天竺に一人の牛飼いがおり、国王に乳酪を献上することを生業としていました。 あるとき、乳酪が全く作れないときがありどうしても献上ができませんでした。国王はこれに対して大変お怒りになり、牛飼いに使い...
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巻三第七話 小僧が悪竜となり古い竜を殺した話

巻3第7話 新竜伏本竜語 第(七) 今は昔、天竺の大雪山(ヒマラヤ山脈)の頂に池があり、その池に一匹の竜が住んでいました。ある頃一人の羅漢がおり、この竜に招かれ、その供養を受けるために縄床に座ったまま空を飛んで毎日竜の住処にでかけました。...
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巻三第六話 牛になった舎利弗の話

巻3第6話 舎利弗慢阿難語 第六 今は昔、天竺にたくさんいらっしゃる仏の御弟子達の中で、舎利弗は智恵が一番の人でした。阿難は有学の位にて智恵が浅い人でした。そのため舎利弗はいつも阿難を侮っておりました。そこで阿難は「どうにかして舎利弗...
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巻三第五話 舎利弗と目連が神通力を競った話

巻3第5話 舎利弗目連競神通語 第五 今は昔、仏が祇園精舎にいらっしゃるときに、多くの弟子達が集まってきましたが、舎利弗(サーリプッタ)がまだ来られませんでした。そこで仏が目連(モッガラーナ)に告げておっしゃるには「汝、速やかに舎利弗のと...
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巻三第四話 閉じこもった舎利弗の話

巻3第4話 舎利弗攀縁暫籠居語 第四 今は昔、天竺にて、仏の御弟子達がそれぞれの場所で安居修行を終えて仏の御前に参集なさったとき、舎利弗(サーリプッタ)と羅睺羅(ラーフラ)が御前に来られてその左右にお座りになりました。仏は羅睺羅に「私の弟...
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巻三第三話 目連が空を飛び多くの世界を訪れた話

巻3第3話 目連為聞仏御音行他世界語 第三 今は昔、仏の御弟子の目連(モッガラーナ)尊者は神通力が一番の御弟子でした。諸々の御弟子や比丘に「我々は仏のお声を所々で聞くが、常に同じ声でただおそばで聞いているようだ。そこで、私は神通力をもって...
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巻三第二話 文殊が人間界に生まれた話

巻3第2話 文殊生給人界語 第二  今は昔、文殊という方は、中天竺は舎衛国(コーサラ国、祇園精舎がある)の多羅村にいる梵徳婆羅門という人の子でした。母の右脇からお生まれになり、お生まれになったときにはその家も門も蓮華につつまれました。お体...
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