巻二十七(全)

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巻二十七第四十五話 山中で歌を詠じて死んだ話

巻27第45話 近衛舎人於常陸国山中詠歌死語 第四十五 今は昔、□□という近衛舎人(このえとねり、*1)がいました。神楽舎人(かぐらとねり、*2)か何かだったのでしょうか、大変素晴らしい歌詠みでした。 相撲の使い(*3)で東国に下って行く...
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巻二十七第四十四話 死人を背負った男と死人に化けた男の話

巻27第44話 通鈴鹿山三人入宿不知堂語 第四十四 今は昔、伊勢国(ほぼ三重県)から近江国(滋賀県)へ越えようとする男が三人いました。身分は低くとも、三人はいずれも勇猛で思慮がありました。 鈴鹿山(*1)を通る頃、その山中に昔からどんな謂...
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巻二十七第四十三話 源頼光と平季武が産女(うぶめ)に出会った話

巻27第43話 頼光郎等平季武値産女語 第四十三 今は昔、源朝臣頼光が美濃(岐阜県)守だった頃に、□□郡に出向していた時、夜に侍所に何人も武士達が集まっていて、様々な物語をしていました。「ここの国の渡(わたり、*1)という所に、産女(うぶ...
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巻二十七第四十二話 惑わし神に会い、同じところを巡った話

巻27第42話 左京属邦利延値迷神語 第四十二 今は昔、三条院の御世に、岩清水(石清水八幡宮、*1)に行幸があり、左京の属(さかん、*2)であった邦利延という者を供奉して仕えさせ、九条大路で止まる所を、どう思ったのか長岳の寺戸と言う所まで...
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巻二十七第四十一話 少女に化けた狐を後ろに乗せて走った話

巻27第41話 高陽川狐変女乗馬尻語 第四十一 今は昔、仁和寺(にんなじ、*1)の東に高陽川(こうやがわ、*2)という川がありました。その川原には夕方になると、若くて見目麗しい女童(めのわらは、*3)が立っていて、馬に乗って京の方へ行く人...
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巻二十七第四十話 狐が守り神となった話

巻27第40話 狐託人被取玉乞返報恩語 第四十 今は昔、もののけがとりつく病にかかった人がありました。もののけは巫女の口を借りて言いました。 「おれは狐だ。たたりのために来たのではない。ただ、『こういうところにはおいしい食べ物がたくさんある...
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巻二十七第三十九話 狐が人妻に化けて家に来た話

巻27第39話 狐変人妻形来家語 第卅九 今は昔、今日にいた雑色(ぞうしき)の男の妻が、夕暮れ時の暗くなって来た頃に、用事があって大路を出た所、大分長いこと帰ってこなかったので、夫は、「どうしてこんな遅くになってるのに帰ってこないんだ」と...
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巻二十七第三十八話 女に化けて誘惑した狐の話

巻27第38話 狐変女形値播磨安高語 第卅八 今は昔、播磨国(兵庫県)に安高という近衛舎人(このえとねり、*1)がいました。右近の将監(*2)であった貞正の子です。法建院の御随人(みずいじん、*3)を務めていて、安高がまだ若かった頃に、殿...
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巻二十七第三十七話 狐が大きな杉の木に変身して射殺された話

巻27第37話 狐変大椙木被射殺語 第卅七 今は昔、□□の頃、春日神社の宮司であった中臣□□という者がいました。彼の甥に中大夫□という者がいました。彼の馬が、草を食んでいる間に見えなくなったので、馬を探して中大夫は従者を一人連れて、自らは...
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巻二十七第三十六話 山中の無人の小屋で葬列を見た話

巻27第36話 於播磨国印南野殺野猪語 第卅六 今は昔、西国から飛脚として上京してきた男がいました。昼夜をとおしてたった一人で京に向かって走り続けていましたが、播磨国(兵庫県)の印南野(いなみの)を通りかかった時に日が暮れました。一夜の宿...
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巻二十七第三十五話 死人を訪れる怪異を退治した兄弟の話

巻27第35話 有光来死人傍野猪被殺語 第卅五 今は昔、□□国の□□郡に二人兄弟が住んでいました。二人とも勇ましい心の持ち主で、思慮分別がありました。 そうする間、兄弟の親が亡くなったので、棺に入れて蓋を閉め、離れた一間に置きました。野辺...
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巻二十七第三十四話 暗闇で名を呼ぶものの話

巻27第34話 被呼姓名射顕野猪語 第卅四 今は昔、□□国の□□郡に兄弟が二人で住んでいました。兄は故郷で狩りを生業にしていて、弟は上京して宮仕えをして時々は故郷に帰ってきました。 兄が九月の下旬で闇が深い夜に、燈(ともし、*1)というこ...
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巻二十七第三十三話 闇夜に光るものが見えた話

巻27第33話 西京人見応天門上光物語 第卅三 今は昔、西の京(荒廃した地域)に住む家族がありました。父をなくし、年老いた母だけがありました。兄は侍として人につかえていました。弟は比叡山の僧でした。 母親が長く重病をわずらっていたため、二人...
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巻二十七第三十二話 謎の家に勤めた女の話

巻27第32話 民部大夫頼清家女子語 第卅二 今は昔、民部大夫(戸籍などを扱う民部省の役人)で、□□頼清という人がありました。斎院を勘当になった(賀茂神社の職を解かれた)ので木幡(宇治市木幡)の別邸にうつりました。 ...
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巻二十七第三十一話 「出る」家に住む話

巻27第31話 三善清行宰相家渡語 第卅一 今は昔、宰相(参議。政治をおこなう役職)三善清行(みよしのきよつら)という人がありました。世に善宰相と呼ばれる方です。浄蔵大徳(徳ある僧)の父であります。すべてにおいて貴い人で、陰陽道もきわめて...
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