巻十一巻十一第三十七話 龍門寺を建てた話(欠話) 巻11第37話 □始建龍門寺語 第卅七(欠文) 【解説】草野真一 吉野の龍門山は古くから神仙境とされ、女の色香に惑って能力を失った久米仙人は龍門寺で修行している(巻11第24話)。 一時は数々の堂宇を備えた大寺として栄えたが、次第に勢力... 2024.03.17巻十一
巻二十四巻二十四第五十三話 大中臣輔親、ほととぎすを詠む 巻24第53話 祭主大中臣輔親郭公読和歌語 第五十三 今は昔、御堂殿(みどうどの・藤原道長)がまだ大納言で一条殿(妻・倫子の父、源雅信邸)に住んでおられたときのこと。 ときは四月初めのころ、日暮れ方になったので男たちを呼び、 「御格子... 2024.03.16巻二十四
巻十四巻十四第八話 地獄に母をさがした三人の子の話 巻14第8話 越中国書生妻死堕立山地獄語 第八 今は昔、越中の国(富山県)に書生(書記官)がありました。三人の男子があり、毎日国府(国司の役所)に出かけて公事を勤めておりました。 あるとき、書生の妻がとつぜん病にかかり、何日かわずらって... 2024.03.08巻十四
巻十一巻十一第三十六話 山の頂に五色の雲を見た話(信貴山縁起) 巻11第36話 修行僧明練始建信貴山語 第卅六 今は昔、仏道を修行する僧がありました。名を明練(命蓮)といいます。常陸の国(茨城県)の人です。心に深く仏の道を願って、故郷の国を捨て、霊験で名高い地を転々として修行するうち、大和国(奈良県)... 2024.03.05巻十一
巻二十六巻二十六第十二話 能登の浜辺に宝が流れ着いた話 巻26第12話 能登国鳳至孫得帯語 第十二 今は昔、能登国鳳至郡(石川県鳳珠郡)に、鳳至(ふげし)の孫だといって、そこに住む者がありました。貧しく、不便しているとき、怪(変異の予兆)があったので、陰陽師にその吉凶を占ってもらいました。 ... 2024.03.01巻二十六
巻九巻九第三話 血を流す母の木像と殺された隣人の話 巻9第3話 震旦丁蘭造木母致孝養語 第三 今は昔、震旦(中国)の漢の時代、河内(河南省)に丁蘭という人がありました。幼少のとき、母をなくしました。 十五歳になるとき、丁蘭は母のすがたを恋い、工人に母の木像をつくらせました。帳(とばり)の... 2024.02.27巻九
巻十一巻十一第三十五話 馬が見つけた毘沙門天(鞍馬寺の由来) 巻11第35話 藤原伊勢人始建鞍馬寺語 第卅五 今は昔、桓武天皇の御代に、従四位の藤原伊勢人という人がありました。心は賢く智恵深い人でした。 そのころ、天皇は東寺を建造されていました。伊勢人はその行事(造営責任者)でしたが、心の中では思... 2024.02.25巻十一
巻十九巻十九第十三話 雪の歌を詠み出家した男の話 巻19第13話 越前守藤原孝忠侍出家語 第十三 今は昔、越前(福井県北部)の守・藤原孝忠という人がありました。任国にあるころ、とても貧しい侍で、昼夜をおかず熱心に勤める者がありました。冬であっても、帷(かたびら、夏の衣服)だけを着ていまし... 2024.02.22巻十九
巻十九巻十九第十二話 余命いくばくもない老人が仏となる話 巻19第12話 於鎮西武蔵寺翁出家語 第十二 今は昔、仏道を修行するため、諸国を旅する僧がありました。鎮西(九州)を流浪しているとき、□国の□坂という所に、道祖神(さいのかみ)がありました。僧はその道祖神の祠のあたりで宿をとりました(野宿... 2024.02.20巻十九
巻十九巻十九第十一話 観音と呼ばれ出家した狩人の話 巻19第11話 信濃国王藤観音出家語 第十一 今は昔、信乃国(信濃国、長野県)に、筑摩の湯という湯がありました。人々はこれを薬湯と呼び、訪れては(治癒のために)浴びていきました。 あるとき、その里の人が夢を見ました。夢に人があらわれ、告... 2024.02.15巻十九
巻二十六巻二十六第十一話 白い犬が絹糸をつむいだ話 巻26第11話 参河国始犬頭糸語 第十一 今は昔、参河国(三河国、愛知県東部)に郡司がありました。妻を二人持っていて、それぞれに蚕養(こがひ)をさせて、糸をつくっていました。 ところが、本妻の蚕が、どういうことでしょうか、みな死んでしま... 2024.02.14巻二十六
巻二十四巻二十四第五十話 薄幸な妻の最期の歌 巻24第50話 筑前守源道済侍妻最後読和歌死語 第五十 今は昔、筑前守(ちくぜんのかみ・福岡県北西部の国司)源道済(みなもとのみちなり)という人がいました。 和歌を詠むことの名人でありました。 この人が筑前国に下っているとき、その侍の... 2024.02.13巻二十四
巻九巻九第二話 孝養の子の庭にタケノコが生えた話 巻9第2話 震旦孟宗孝老母得冬笋語 第二 今は昔、震旦(中国)の呉の時代、江都(江蘇省)に、孟宗という人がありました。父は亡くなり、母は存命でした。孝養の心が深く、老母を養っておりました。 この母は以前より、笋(たかんな、タケノコ)がな... 2024.02.10巻九
巻二十六巻二十六第十話 無人島で夫婦となった兄妹の話 巻26第10話 土佐国妹兄行住不知島語 第十 今は昔、土佐国幡多郡(高知県幡多郡)に住む下衆(身分の低い者)がありました。自分が住む浦ではなく、他の地の浦に田を作っていました。自分が住む浦には種を蒔き、苗代をつくります。苗が植えられる大き... 2024.02.08巻二十六
巻十九巻十九第十話 腐乱した妻の遺体と出家した夫の話 巻19第10話 春宮蔵人宗正出家語 第十 今は昔、□天皇が春宮(とうぐう、皇太子)でいらっしゃるときに、蔵人(くろうど、秘書)として、宗正という者が仕えていました。若く美しく、まっすぐな心を持っていたので、春宮は親愛の情を抱き、なにかにつ... 2024.02.04巻十九