巻十七(全)

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巻十七第五十話 祈ればかなう元興寺の夜叉像の話

巻17第50話 元興寺中門夜叉施霊験語 第五十 今は昔、元興寺の中門に二天(持国天と増長天)がいらっしゃました。その使者として夜叉がありました。その夜叉はかぎりない霊験を施しました。それゆえ、その寺の僧はもいろん、里の男女、この夜叉に詣で...
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巻十七第四十九話 光を放つ執金剛神像の話

巻17第49話 金鷲優婆塞修行執金剛神語 第四十九 今は昔、聖武天皇の御代、奈良の都の東の山に、ひとつの山寺がありました。その山寺に一人の優婆塞(うばそく、在家信者または出家してない修行者)がありました。名を金就といいます。この優婆塞が山...
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巻十七第四十八話 妙見菩薩が盗まれた絹を取り戻した話

巻17第48話 依妙見助得被盗絹語 第四十八 今は昔、紀伊の国の安諦の郡(和歌山県有田川町)に私部寺(さきいべでら)という寺がありました。その寺の前に、富裕な家がありました。その家に盗人が入り、絹十疋を盗まれました。誰が盗んだのかわかりま...
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巻十七第四十七話 吉祥天女に米が尽きない袋をもらった話

巻17第47話 生江世経仕吉祥天女得富語 第四十七 今は昔、越前の国(福井県)に生江世経という人がありました。加賀(石川県)の掾(第三等官)でした。はじめはとても貧しく、食べることさえ難しいほどであったのに、とくに吉祥天女にねんごろに仕え...
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巻十七第四十六話 吉祥天女が食をふるまってくれた話

巻17第46話 王衆女仕吉祥天女得富語 第四十六 今は昔、聖武天皇の御代に、二十三人の王衆(王族)がありました。順に食事をふるまい、宴を催すことが決まりました。 二十三人の中に、一人の女王がありました。とても貧しく、みなに食事をふるまう...
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巻十七第四十五話 吉祥天女を犯してしまった男の話

巻17第45話 吉祥天女𡓳像奉犯蒙罸語 第四十五 今は昔、聖武天皇の御代に、和泉の国和泉国の郡(大阪府和泉市)の血渟上山寺(ちぬかみのやまでら)に、吉祥天女の像(塑像)がありました。同じころ、信濃の国(長野県)から、縁あってその国に来たひ...
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巻十七第四十四話 美少年に化けて僧に近づいた女の話

巻17第44話 僧依毘沙門助令産金得便語 第四十四 今は昔、比叡の山に僧がありました。やんごとなき学生(がくしょう)でしたが、とても貧しい人でした。裕福な檀家なども持たなかったので、比叡山にはいられなくなって、京に下って、雲林院というとこ...
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巻十七第四十三話 鞍馬寺の修行僧が女の鬼に襲われた話

巻17第43話 籠鞍馬寺遁羅刹鬼難僧語 第四十三 今は昔、一人の修行僧が鞍馬寺(京都市左京区)に籠り、修行していました。 ある夜、薪を拾い、火をつけてくべていると、夜がさらに深くなったころ、羅刹鬼が女の姿になって、僧の前に座り、火をくべ...
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巻十七第四十二話 山寺の人喰い鬼を退治した毘沙門天の話

巻17第42話 於但馬国古寺毘沙門伏牛頭鬼助僧語 第四十二 今は昔、但馬の国(兵庫県)に山寺がありました。創立後、百余年が経っていました。やがて、その寺に鬼が住むようになりました。人はまったく寄りつきませんでした。 旅の二人の僧がその寺...
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巻十七第四十一話 白い象と拷問から解放された僧の話

巻17第41話 僧真遠依普賢助遁難語 第四十一 今は昔、比叡の山の西塔に真遠という僧がありました。参河(みかわ、愛知県)の人です。幼いうちに生国を去り、比叡山に登って出家して、受戒した後、師にしたがって法華経を学び、昼夜に読誦するうちに、...
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巻十七第四十話 射られても死ななかった人が姿を消した話

巻17第40話 僧光空依普賢助存命語 第四十 今は昔、近江の国(滋賀県)に金勝寺という山寺がありました。その山寺に、光空という法華経持経者が住んでいました。長くこの山に住み、日夜に法華経を読誦して、おこたる事はありませんでした。その声は妙...
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巻十七第三十九話 普賢の化身と呼ばれた僧の話

巻17第39話 西石蔵仙久知普賢化身語 第卅九 今は昔、京の西山に西石蔵(いわくら)という山寺がありました。その山寺に、仙久という持経者が住んでいました。長くこの山寺に住み、法華経を日夜に読誦して、怠ることがありませんでした。仙久は以前、...
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巻十七第三十八話 中国で友の生まれ変わりに出会った話

巻17第38話 律師清範知文殊化身語 第卅八 今は昔、律師清範と云ふ学生(学僧)がありました。山階寺(興福寺)の僧で清水寺の別当でした。深い智りを持ち、仏のような憐れみの心を持っていました。説経のすばらしさは並ぶ者がありませんでした。さま...
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巻十七第三十七話 母に子を投げ棄てよと命じた行基の話

巻17第37話 行基菩薩教女人悪子給語 第卅七 今は昔、行基菩薩は文殊の化身でいらっしゃいます。 行基菩薩は難波の江に堀(運河)を築き、船着き場で法を説きました。貴賤上下の道俗男女(すべての人。身分の高い者も賤しい者も、出家も在家も、男...
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巻十七第三十六話 女が髪に猪の油をつけていることを見抜いた行基の話

巻17第36話 文殊生行基見女人悪給語 第卅六 今は昔、行基菩薩という聖がありました。五台山に住むといわれる文殊菩薩が、わたしたち衆生を利益するために、行基として生まれなさったのです。 而るに、古京(奈良)の元興寺の村に、法会を開く人があ...
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