巻十七(全)

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巻十七第六話 地蔵が火事を知らせた話

巻17第6話 地蔵菩薩値火難自出堂語 第六 今は昔、土佐の国に室戸津(高知県室戸市)というところがありました。草堂があり、津寺と呼んでいました。その堂の檐(たる、日除け)はすべて焼け焦げていました。堂は人里から遠く離れた海岸にありました。...
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巻十七第五話 夢に地蔵を見た話

巻17第5話 依夢告従泥中掘出地蔵語 第五 今は昔、陸奥(東北地方太平洋岸)の前司(前任の国司)に、平朝臣孝義(たいらのあそんたかよし、朝臣は姓の敬称)という人がありました。その家に仕える人で、字(あざな)を藤二という人がありました。本名は...
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巻十七第四話 地蔵が死刑を止めた話

巻17第4話 依念地蔵菩薩遁主殺難語 第四 今は昔、備中の国(岡山県)に、藤原文時という人がありました。字(あざな)を大藤大夫といいました。先祖代々の良家の血統であり、富豪で、多くの子孫に恵まれていました。家は津の郡(岡山県都窪郡)宮の郷...
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巻十七第三話 背に矢を受けた地蔵の話

巻17第3話 地蔵菩薩変小僧形受箭語 第三 今は昔、近江の国(滋賀県)依智の郡賀野の村に、ふるい寺がありました。本尊は地蔵菩薩です。検非違使左衛門の尉(検察官のような役職、源義経と同じ)平諸道の先祖の氏寺でした。諸道の父は、勇猛な武士とし...
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巻十七第二話 乱暴者を地蔵菩薩と思い込んだ話

巻17第2話 紀用方仕地蔵菩薩蒙利益語 第二 今は昔、尾張に、長く公にとつとめた後、出家して、入道と称した人がありました。その人の家に一人の乱暴者がありました。武蔵介紀用方(むさしのすけきのもちかた)といいました。用方は武勇をもって聞こえ...
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巻十七第一話 地蔵の化身に出会った話

巻17第1話 願値遇地蔵菩薩変化語 第一 今は昔、京の西部に住む僧がありました。たいへん熱心に仏道を歩んでおりました。とくに、地蔵菩薩にたいする思いが強く、「この身のまま、生身の地蔵にお会いして、教えを乞いたい」と考えておりました。 ...
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