巻二十

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巻二十第十七話 施しをせず牡蠣を救った人の死後の話

巻20第17話 讃岐国人行冥途還来語 第十七 今は昔、讃岐国香水(かがわ)の郡坂田の郷(香川県高松市)に、一人の富人がありました。姓は綾の氏です。妻も同姓でした。 その隣に年老たる嫗(おうな、老婆)が二人ありました。ともに寡(やもめ)であ...
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巻二十第三十六話 国司に布施を奪われた郡司の話

巻20第36話 河内守依慳貪感現報語 第卅六 今は昔、河内国讃良郡(かわちのくにささらのこおり・現在の大阪府北河内郡)に郡司の男がいました。心に三宝(さんぽう・仏、法、僧のこと)を信じて、深く後世を恐れていたので、仏像を描き、経を写し奉っ...
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巻二十第十六話 あの世で死んだ妻と父に会った話

巻20第16話 豊前国膳広国行冥途帰来語 第十六 今は昔、文武天皇の御代に、膳広国(かしわでのひろくに)という人がありました。豊前の国宮子の郡(福岡県京都郡)の小領(郡の次官)です。妻が先に亡くなり、慶雲二年(705年)九月十五日(旧暦、...
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巻二十第四十五話 小野篁、右大臣の良相を蘇生させる

巻20第45話 小野篁依情助西三条大臣語 今は昔、小野篁(おののたかむら)という人がいました。 まだ学生の身分だったとき、あることで朝廷が篁を処罰したのですが、当時、西三条大臣(にしさんじょうのおとど)・良相(よしみ、藤原良相・冬嗣の五...
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巻二十第四十四話 下毛野敦行、自邸の門より隣人の死棺を出す

巻20第44話 下毛野敦行従我門出死人語 第四十四 今は昔、右近将監(うこんのしょうげん・右近衛府の三等官)下毛野敦行(しもつけののあつゆき)という近衛舎人がいました。若いころから人望のあった者です。容貌・人品・風采・人柄をはじめ、乗...
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巻二十第三十三話 吉志火麿、母を殺そうとして報いを受ける

巻20第33話 吉志火麿擬殺母得現報語 第卅三 今は昔、武蔵国多磨郡鴨郷(むさしのくにたまのこおりかものさと、神奈川県)に、吉志火丸(きしのひまろ)という者がいました。その母は、日下部真屓(くさかべのまとじ)であります。 聖武天皇の御代に...
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巻二十第十五話 牛を殺し地獄に堕ち蘇生した男の話

巻20第15話 摂津国殺牛人依放生力従冥途還語 第十五 今は昔、摂津国の東生の郡(大阪市東成区)撫凹(なくぼ)の村に住む人がありました。家は大いに富み、財豊かでした。 あるとき、その人は神のたたりを負いました。たたりを避けるため、毎年一...
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巻二十第十四話 野干が人に化けて教えを請うた話(欠話)

巻20第14話 野干変人形請僧為講師語 第十四(欠文) 【解説】草野真一 野干(やかん)とは仏典においてはジャッカルを指すことも多かったようだが、日本では狐とされることが多かった。これは日本の話だから、狐のことと思われる。おもしろそ...
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巻二十第十三話 普賢菩薩を射殺した猟師の話

巻20第13話 愛宕護山聖人被謀野猪語 第十三 今は昔、愛宕護(あたご)の山に久しく祈り続ける持経者の聖人がありました。法華経を受持し、他念なく祈り、坊の外に出ることはありませんでした。智恵を持たず、法文を知りませんでした。 山の西の方...
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巻二十第十二話 仏に導かれ狂死した僧の話

巻20第12話 伊吹山三修禅師得天狗迎語 第十二 今は昔、美濃の国(岐阜県)の伊吹山に、久しく修行する聖人がありました。智恵にめぐまれず、法文を学びませんでした。ただ、弥陀の念仏(南無阿弥陀仏)を唱える以外のことを知りませんでした。名を三...
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巻二十第十一話 閉じ込められた竜の話

巻20第11話 竜王為天狗被取語 第十一 今は昔、讃岐の国(香川県)に、万能の池(満濃池)と呼ばれるとても大きな池がありました。弘法大師(空海)が衆生を哀れんだがために、築いた池です。池の周囲はとても広く、堤を高く築き囲んでありました。池...
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巻二十第十話 性器を消失させる術を習う話

巻20第10話 陽成院御代滝口行金使習外術語 第十 今は昔、陽成天皇の御代(876-884)に、滝口の武士(宮中警護部隊)で、陸奥の国に金(砂金)を得るために遣わされた道範という者がありました。道中、信濃国のとある郡司の家に宿泊しました。...
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巻二十第九話 奇怪な老僧と幻術の話

巻20第9話 祭天狗法師擬男習此術語 第九 今は昔、京にあやしい術をおこなう法師がありました。履いている足駄や草履などを、とつぜん犬の子に変えて這わせたり、懐から狐を出したり、馬や牛の尻から入って、口から出るなどしていました。 いつもこ...
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巻二十第八話 良源僧正の霊が余慶僧正を伏した話(欠話)

巻20第8話 良源僧正成霊来観音院伏余慶僧正語 第八(欠文) 【解説】草野真一 下の護符は、良源僧正の二態をあらわしている。(クリックすると拡大) 左は元三大師(がんざんだいし)、天台宗最高位の天台座主まで上り詰めた良源の肖像であ...
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巻二十第七話 鬼と交わり続けた皇后の話

巻20第7話 染殿后為天狗被嬈乱語 第七 今は昔、染殿后といい、文徳天皇の母(実際には后)であり、藤原良房太政大臣(関白)の娘にあたる人の話です。比するもののない妙なる美しさを備えた方でした。 この后は、常にもののけの病を患...