巻二十(全)

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巻二十第四十六話 能登守の善政の話

巻20第46話 能登守依直心息国得財語 第四十六 今は昔、能登(石川県北部)の守(かみ、国司)□という人がありました。心がまっすぐで、よく国を治めていました。また、国内の仏神を崇め、ねんごろに仕えていました。国内は平穏で、雨風も時節にした...
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巻二十第四十五話 小野篁、右大臣の良相を蘇生させる

巻20第45話 小野篁依情助西三条大臣語 今は昔、小野篁(おののたかむら)という人がいました。 まだ学生の身分だったとき、あることで朝廷が篁を処罰したのですが、当時、西三条大臣(にしさんじょうのおとど)・良相(よしみ、藤原良相・冬嗣の五...
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巻二十第四十四話 下毛野敦行、自邸の門より隣人の死棺を出す

巻20第44話 下毛野敦行従我門出死人語 第四十四 今は昔、右近将監(うこんのしょうげん・右近衛府の三等官)下毛野敦行(しもつけののあつゆき)という近衛舎人がいました。若いころから人望のあった者です。容貌・人品・風采・人柄をはじめ、乗...
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巻二十第四十三話 若い甥のために祈祷しなかった左大将の話

巻20第43話 依勘文左右大将可慎枇杷大臣不慎語 第四十三 今は昔、朱雀院(朱雀天皇)の御代、天慶(938-947)のころ、天文博士が「月が大将の星を犯す」という勘文を奉ったことがありました。このことによって、左右の近衛大将は、重く慎しむ...
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巻二十第四十二話 仙人となって空を飛べるようになった女の話

巻20第42話 女人依心風流得感応成仙語 第四十二 今は昔、大和国宇陀郡(奈良県宇陀市)に住む女人がありました。常に心に風流を宿し、清廉で高潔な心を持っていました。七人の子の親となりましたが、貧しく、食物がありませんでした。そのため、子ど...
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巻二十第四十一話 民を思い行幸を中止した中納言の話

巻20第41話 高市中納言依正直感神語 第四十一 今は昔、持統天皇という女帝の御代に、中納言大神の高市麿(三輪高市麻呂)という人がありました。まっすぐな心をもち、智恵を備えていました。漢籍をまなび、すべての道に明らかでした。天皇はこの人に...
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巻二十第四十話 軽蔑し馬から下りずに施しをした話

巻20第40話 義紹院不知化人被返施悔語 第四十 今は昔、義紹院という僧がありました。元興寺(奈良県奈良市)のやんごとなき学生(がくしょう)でした。 あるとき、京から元興寺に行くことがありました。冬だったのでとても寒く、泉川原(泉川、奈...
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巻二十第三十九話 川辺の聖人にやりこめられた話

巻20第39話 清滝河奥聖人成慢悔語 第卅九 今は昔、清滝河(清滝川)の奥に庵をつくり、長く修行をした僧がありました。「水瓶に水を入れたい」と思うときは、水瓶を飛ばして、川水をくませていました。 「これほどの行人はないだろう」と、思うと...
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巻二十第三十八話 生きながら地獄の炎に焼かれた男の話

巻20第38話 石川沙弥造悪業得現報語 第卅八 今は昔、石川沙弥(しゃみ)という人がありました。幼くして頭を剃りましたが、受戒せず、僧の名を得ませんでした。ただ、石川の沙弥と呼ばれました。妻が河内の国石川の郡(大阪府南河内郡)の人であり、...
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巻二十第三十七話 朝になると首だけが残されていた初夜の娘の話

巻20第37話 耽財娘為鬼被?悔語 第卅七 今は昔、大和国十市の郡庵知の村(奈良県天理市庵治)の東の方に住む人がありました。家は大いに富んでいました。姓は鏡造、一人の娘がありました。娘はたいへん端正で美しく、田舎娘とは思えませんでした。 ...
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巻二十第三十六話 国司に布施を奪われた郡司の話

巻20第36話 河内守依慳貪感現報語 第卅六 今は昔、河内国讃良郡(かわちのくにささらのこおり・現在の大阪府北河内郡)に郡司の男がいました。 心に三宝(さんぽう・仏、法、僧のこと)を信じて、深く後世を恐れていたので、仏像を描き、経を...
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巻二十第三十五話 嫉妬のために不幸な末路を迎えた僧の話

巻20第35話 比叡山僧心懐依嫉妬感現報語 第卅五 今は昔、比叡の山の東塔に、心懐という僧がありました。法を学ぶために山にありましたが、年が若く学問しても学ぶことがすくなかったので、山にも住みがたくなりました。ちょうど美濃(岐阜県)の守□...
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巻二十第三十四話 鯰になった父を食って死んだ男の話

巻20第34話 出雲寺別当浄覚父成鯰肉得現報忽死語 第卅四 今は昔、上津出雲寺という寺がありました。造立から久しく経って、堂が倒れ傾いてきましたが、修理をしようという人がありませんでした。かつて伝教大師(最澄)が震旦(中国)にいて達磨宗(...
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巻二十第三十三話 吉志火麿、母を殺そうとして報いを受ける

巻20第33話 吉志火麿擬殺母得現報語 第卅三 今は昔、武蔵国多磨郡(東京都多摩市)鴨郷に、吉志火丸(きしのひまろ)という者がいました。 その母は、日下部真屓(くさかべのまとじ)であります。 聖武天皇の御代に、火丸は筑前守□□とい...
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巻二十第三十二話 飢えた母と報いを受けて死んだ娘の話

巻20第32話 古京女為母依不孝感現報語 第卅二 今は昔、古京の時(都が奈良にあったころ)、一人の女がありました。孝養の心をもたず、母を養いませんでした。 母は寡婦で貧しく食がなく、飯を炊くことができなかったとき、思いました。 「娘の...
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