巻六

巻六第五話 仏教を中国に伝えた鳩摩羅什とその父の話

巻6第5話 鳩摩羅焔奉盗仏伝震旦語 第五 今は昔、仏が摩耶夫人(まやぶにん、釈尊の実母)を教化するため忉利天(とうりてん)に昇り、九十日間滞在することがありました。天竺の優填王(うでんおう、ウダヤナ)は仏の不在をかなしみ、仏を恋い、赤栴檀...
巻二十三

巻二十三第十六話 橘季通の逃走

巻23第16話 駿河前司橘季通構逃語 第(十六) 今は昔、駿河前司(するがのぜんじ・現在の静岡県中央部の前の国司)橘季通(たちばなのすえみち)という人がいました。この人が若いとき、自分の仕えている家ではない、さる高貴な家の女房と深い仲にな...
巻二十三

巻二十三第十五話 橘則光、かたり男に功を譲る

巻23第15話 陸奥前司橘則光切殺人語 第(十五) 今は昔、陸奥前司(むつのぜんじ・東北地方の前の国司)橘則光(たちばなののりみつ)という人がいました。武人の家の出身ではないですが、きわめて豪胆で思慮深く、腕力などが非常に強いのでした。容...
巻二十七

巻二十七第三十五話 死人を訪れる怪異を退治した兄弟の話

巻27第35話 有光来死人傍野猪被殺語 第卅五 今は昔、□□国の□□郡に二人兄弟が住んでいました。二人とも勇ましい心の持ち主で、思慮分別がありました。 そうする間、兄弟の親が亡くなったので、棺に入れて蓋を閉め、離れた一間に置きました。野辺...
巻二十七

巻二十七第三十四話 暗闇で名を呼ぶものの話

巻27第34話 被呼姓名射顕野猪語 第卅四 今は昔、□□国の□□郡に兄弟が二人で住んでいました。兄は故郷で狩りを生業にしていて、弟は上京して宮仕えをして時々は故郷に帰ってきました。 兄が九月の下旬で闇が深い夜に、燈(ともし、*1)というこ...
巻二十

巻二十第二十話 牛となって生前の借りをかえした話

巻20第20話 延興寺僧恵勝依悪業受牛身語 第二十 今は昔、延興寺という寺がありました。その寺に、恵勝という僧がおりました。長く寺に住む間に、寺の風呂に使う薪一束を人に与えたことがありました。その後、恵勝はこれを償うことなく亡くなりました...
巻三十

巻三十第十三話 夫をなくし再婚を拒んだ女の話

巻30第13話 夫死女人後不嫁他夫語 第十三 今は昔、□の国□の郡に住む親が、娘に夫を持たせました。ほどなくして夫が亡くなったので、親は他の男と結婚させようとしました。娘はこれを知って、母に言いました。 「私に夫とともにいる宿世(運命)が...
巻二

巻二第十二話 富み、貧窮にあえぎ、ふたたび富んだ指が光る男の話

巻2第12話 王舎城灯指比丘語 第(十二) 今は昔、天竺の王舎城(マガダ国の都)に、一人の長者がありました。家は大いに富み、無量の財宝がありました。一人の男子が生まれました。世に並ぶものがない端正な子でした。 その子は生まれたときから、指...
巻六

巻六第四話 呉王孫権と光を放つ仏舎利の話

巻6第4話 康僧会三蔵至胡国行出仏舎利語 第四 今は昔、天竺に康僧会三蔵という聖人がいらっしゃいました。仏法を伝えるため、震旦に渡る中途、胡(呉の誤りとされる)という国に入りました。 その国の王は未だ三宝(仏法僧)を知らなかったので、三...
巻三十

巻三十第十二話 鹿の声で恋の歌を詠んだ女の話

巻30第12話 住丹波国者妻読和歌語 第十二 今は昔、丹波の国(京都府中部、兵庫県北東部、大阪府北部)□郡に住む人がありました。田舎者ですが、心に情ある人でした。二人の妻を持ち、家を並べて住ませていました。 本妻はその国の人でした。その妻...
巻四

巻四第二十三話 父を殺し母を妻とした話

巻4第23話 天竺大天事語 第廿三 今は昔、仏が涅槃に入って四百年たったころ、天竺の末度羅国(まとらこく、マトゥラー)に、大天(摩訶提婆、マハーデーヴァ)という人がありました。その父は商いのために大海に出て、他国へ行きました。 大天は思...
巻十七

巻十七第二十五話 つくりかけの地蔵菩薩像の話

巻17第25話 養造地蔵仏師得活人語 第廿五 今は昔、因幡の国高草の郡(鳥取市)野坂の郷に寺がありました。名を国隆寺といいます。かの国の前の次官、□□千包(ちかね)という人が建立した寺です。この寺の別当である僧が、仏師を呼び、宿願にしたが...
巻二十七

巻二十七第二十八話 花を見て歌を詠じる霊の話

巻27第28話 於京極殿有詠古歌音語 第廿八 今は昔、上東門院(藤原彰子)が京極殿にお住まいになっていた時に、三月二十日の頃、花が盛りで、南面の桜がなんとも言えないくらい綺麗に咲き乱れていたのを、院が寝殿でお聞きになられたので、南面の階(...
巻二十七

巻二十七第二十七話 銀の椀が霊に取り返された話

巻27第27話 白井君銀提入井被取語 第廿七 今は昔、世間で白井の君と呼ばれる僧がいました。最近亡くなったということです。その人は、元は高辻の東桐院に住んでいましたが、後に烏丸小路よりも東、六角小路よりは北の烏丸小路に面して、六角堂の真後...
巻二十五

巻二十五第五話 平維茂と藤原諸任の死闘(その2)

巻25第5話 平維茂罸藤原諸任語 第五 さて一方、余五はかの家で、夜が明けるまで走り回って下知しながら奮戦し、敵を多く射殺して、もはや矢も尽き、味方も残り少なくなったので、「この上、戦っても無駄だ」と思い、着ていた衣を脱ぎ捨て、女が着て...