巻一

巻一第三十八話 目と手足を失った盗賊たちの話

巻1第38話 舎衛国五百群賊語 第卅八 今は昔、天竺の舎衛国(しゃえこく、コーサラ国)に五百人の盗賊がおりました。波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)は盗賊たちをみな捕らえ、重い咎(刑)を課しました。両目をえぐり、手足を切断して、...
巻五

巻五第二十五話 猿と亀のだましあいの話

巻5第25話 亀為猿被謀語 第廿五 今は昔、天竺の海辺に山がありました。一匹の猿が、木の実を食べて暮らしていました。山の近くの海に、亀の夫妻が住んでいました。妻の亀が夫の亀に言いました。「私はあなたの子を妊娠しました。しかし、私は腹に病が...
巻一

巻一第三十七話 子どもを護った執金剛神の話

巻1第37話 財徳長者幼子称仏遁難語 第卅七 今は昔、天竺に財徳長者という人がありました。幼い愛子があり、つねに「南無仏」ととなえるよう教えていました。子は教えにしたがい、常に「南無仏」ととなえていました。寒いときも、暑いときも、心に...
巻二十

巻二十第三十三話 吉志火麿、母を殺そうとして報いを受ける

巻20第33話 吉志火麿擬殺母得現報語 第卅三 今は昔、武蔵国多磨郡鴨郷(むさしのくにたまのこおりかものさと、神奈川県)に、吉志火丸(きしのひまろ)という者がいました。その母は、日下部真屓(くさかべのまとじ)であります。 聖武天皇の御代に...
巻十九

巻十九第十四話 人殺しの悪人が僧になって旅する話(マンガリンクあり)

巻19第14話 讃岐国多度郡五位聞法即出家語 第十四 今は昔、讃岐国多度の郡(香川県善通寺市)に、源大夫という人がありました。名はわかりません。とても猛々しい人で、殺生を生業としていました。日夜朝暮に山野に行っては鹿鳥を狩り、川海に行って...
巻十二

巻十二第三十三話 多武峰の増賀聖人の話

巻12第33話 多武峰増賀聖人語 第卅三 今は昔、多武峰(とうのみね、奈良県桜井市)に増賀聖人(そうがしょうにん)という人がいました。 俗姓は□□氏、京の人であります。 生まれてあまりたたない頃、父母が何かの縁があって関東の方に下ることにな...
巻十四

巻十四第三話 蛇になった女と焼き殺された男の話(安珍と清姫の物語)

巻14第3話 紀伊国道成寺僧写法花救蛇語 第三 今は昔、熊野に向かう二人の僧がありました。一人は老僧、もう一人は若く、容姿端麗でした。牟婁の郡(和歌山県)である家に泊まりました。 家主は若い寡婦(独身女性。未婚または未...
巻十七

巻十七第十五話 夢のお告げで伯耆大山に向かった貧しい僧の話

巻17第15話 依地蔵示従愛宕護移伯耆大山僧語 第十五 今は昔、愛宕護(あたご)の山に一人の僧が住んでいました。名を蔵算といい、仁和寺の池上(地名)の平救阿闍梨(へいきゅうあじゃり、阿闍梨は高位の僧の意)の弟子でした。 蔵算...
巻四

巻四第十一話 打たれた児と南海のコウモリの話

巻4第11話 天竺羅漢比丘値山人打子語 第十一 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の僧がありました。ある日、羅漢はひとりの山人(木こりなどして山で生活する人)と出会いました。山人は幼い童子をつれていて、ムチで打ち、哭(な)かせていました。 羅漢...
巻一

巻一第三十六話 仏をめぐる功徳の話

巻1第36話 舎衛城婆羅門一匝遶仏語 第卅六 今は昔、仏が舎衛城(コーサラ国)で乞食(托鉢)なさっていたときのことです。 ひとりの婆羅門(バラモン、カーストの最上)がやってきて、仏を目にしました。仏は光明を放ち、悠然としていらっしゃいま...
巻五

巻五第二十四話 鶴の忠告を信じず落ちて死んだ亀の話

巻5第24話 亀不信鶴教落地破甲語 第廿四 今は昔、天竺で、旱魃のために水が枯渇し、青い草葉もないときがありました。 池に亀が住んでいました。池の水は失せ、亀は命を失おうとしていました。 ある日、一羽の鶴がこの池に食事のためにやってき...
巻五

巻五第二十三話 鼻のない九百九十九匹の猿の話

巻5第23話 舎衛国鼻欠猿供養帝釈語 第廿三 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国)に山がありました。その山に一本の大樹があり、千匹の猿が住んでいました。みな心をひとつにして、帝釈天を供養していました。 千匹の猿のうち、九百九十...
巻十七

巻十七第十四話 地蔵に臨終の地を聞いた話

今は昔、鎮西肥前(九州佐賀県)の国の背振(せぶり)の山は、書写山の性空聖人が修行されていたところです。深い山で、これ以上に貴いところはありません。仏道を修行する行人は、みなこの山を訪れました。 そう遠くない昔のこと、ひ...
巻五

巻五第二十二話 王子を待ち死んだ姫と二人の子の話

巻5第22話 東城国皇子善生人通阿䫂女語 第廿二 今は昔、東城国に明頸演現王(みょうきょうえんげんおう)という王がありました。王にはひとりの皇子があり、善生人(ぜんしょうにん)といいました。皇子には妻がありませんでした。また、西城国に王が...
巻十九

巻十九第五話 すべてを失った姫君の話(芥川龍之介『六の宮の姫君』元話)

巻19第5話 六宮姫君夫出家語 第五 今は昔、六の宮というところに兵部の大輔(ひょうぶのたゆう、軍の下級役人)がありました。年老いていたので、古い習慣にならって人と交わることがなく、父が遺した宮の、すっかり木が成長して荒れ果ててしまった東...