巻四

巻四第十四話 森で裸の女に出会った話

巻4第14話 天竺国王入山見裸女令着衣語 第十四 今は昔、天竺の国王が多くの従者をひきつれて山に入り、狩をしていたときのことです。長く歩いたためひどく疲れ、空腹でたまらなくなりました。見ると、山中に大きな樹があり、その下に金の床几をおいて...
巻十七

巻十七第三十二話 上総守時重、法華経を読誦して地蔵の助けを受ける

巻17第32話 上総守時重書写法花蒙地蔵助語 第卅二 今は昔、上総守(かずさのかみ・現在の千葉県中央部の国司)藤原時重朝臣(ふじわらのときしげのあそん)という人がいました。かの国の国司(上総国は親王任国なので、臣下の守はないが、介を守と通...
巻五

巻五第三十話 女の甘い声を聞き力を失った仙人の話

巻5第30話 天帝釈夫人舎脂音聞仙人語 第三十 今は昔、帝釈天(インドラ神)には舎脂(しゃし、シャチー)夫人という妻がありました。毗摩質多羅(びましったら)阿修羅王の娘です。釈尊がご誕生される前、ひとりの仙人がありました。名を提...
巻二十七

巻二十七第四話 黄昏時に榎木に登る単衣の話

巻27第4話 冷泉院東洞院僧都殿霊語 第四 今は昔、冷泉院小路の南、東桐院小路の東の隅は僧都殿と言って大変悪い所でした。だから、そう簡単には住む人もありませんでした。 ところで、その冷泉院小路の真北は左大弁の宰相、源扶義という人の家であり...
巻二十八

巻二十八第三十九話 寄生虫の生まれ変わりがとけ失せた話

巻28第39話 寸白任信濃守解失語 第卅九 今は昔、腹の中に寸白(すんぱく・さなだ虫、条虫科の寄生虫)を持った女がいました。□□の□□という人の妻になり、男の子を産みました。その子を□□といいました。しだいに成長し、元服など済んだのち、官...
巻二十七

巻二十七第三話 桃園の柱の穴から幼児の手が出てきて人を呼ぶ話

巻27第3話 桃園柱穴指出児手招人語 第三 今は昔、桃園という所は今の世尊寺でした。元々は寺でもなかった時に、西宮の左大臣(源高明)がお住みになられていました。 その時に寝殿の東北の母屋の柱に、木に節穴が開いていました。夜になると、そ...
巻二十七

巻二十七第二話 宇多院が霊と対話した話

巻27第2話 川原院融左大臣霊宇陀院見給語 第二 今は昔、川原院は、融の左大臣(源融)が造ってお住まいなされた家でした。陸奥国(東北地方)の塩窯の塩水を汲み、池に湛えさせた様子は、様々になんとも言いようのないくらい素晴らしい風流なものを造...
巻二十八

巻二十八第三十一話 藤原清廉、猫を怖れて大金を支払う

巻28第31話 大蔵大夫藤原清廉怖猫語 第卅一 今は昔、大蔵丞(おおくらのじょう・大蔵省の三等官)から従五位下に昇進した藤原清廉(ふじわらのきよかど)という者がいました。大蔵大夫(おおくらのたいふ)と呼ばれていました。この男は前世が鼠でで...
巻十七

巻十七第二十話 父の行いによって救われた僧の話

巻17第20話 播磨国公真依地蔵助得活語 第二十 今は昔、播磨の国印南の郡(兵庫県高砂市)歌見の浦というところに、極楽寺という寺がありました。その寺に公真という僧がありました。公真は三尺(約90センチ)の彩色の地蔵菩薩像をつくり、寺に...
巻三十

巻三十第三話 娘とちぎってしまった高僧の話

巻30第3話 近江守娘通浄蔵大徳語 第三 今は昔、近江(滋賀県琵琶湖周辺)の守□□という人がありました。家は豊かで、子が多くあった中に、娘がひとりありました。 まだ少女のうちから、姿かたちが美しく、髪が長く、有様がすばらしかったので、父母...
巻十七

巻十七第十九話 子供のころ遊びでつくった地蔵が助けてくれた話

巻17第19話 三井寺浄照依地蔵助得活語 第十九 今は昔、三井寺(園城寺、滋賀県大津市)に一人の僧がありました。名を浄照といいます。 十一、二歳ぐらい、まだ出家していない子供のころ、同じぐらいの年齢の子と、戯れに僧形の像を刻んで、こ...
巻五

巻五第二十九話 大魚の肉を食べた五人の山人の話

巻5第29話 五人切大魚肉食語 第廿九 今は昔、天竺の海辺の浜に、大魚が寄りました。 そのとき、山人(木樵など)が五人、通りかかりました。五人はこの大魚を見ると、魚の肉を切取って食べました。それを始めとして、世の人がこのことを聞いて集まり...
巻五

巻五第二十八話 巨大な魚の王に出会った船乗りの話

巻5第28話 天竺五百商人於大海値摩竭大魚語 第廿八 今は昔、天竺で五百人の船乗りが宝を求めるために航海していました。梶取(船長)が楼の上の人に問いました。「なにか見えるか」 楼上の人が答えました。「太陽がふたつ見えます。白い山が見え...
巻四

巻四第十三話 船を海中にひきずりこんだ竜王の話

巻4第13話 天竺人於海中値悪竜人依比丘教免害語 第十三 今は昔、天竺の人は、道を行く時は必ず比丘(僧)をつれていたといいます。仏法の加護があるためです。 昔、ある人が商いのために船に乗り、海に出ました。にわかに悪風が吹いて、船を海の...
巻二十七

巻二十七第一話 雷に打たれて死んだ男と怨霊の話

巻27第1話 三条東洞院鬼殿霊語 第一 今は昔、京の三条大通より北、東洞院大路の東の角は、鬼殿と呼ばれていました。霊が住んでいると伝えられていました。 昔、都が京に移る前(平安遷都の前)、その三条東洞院の鬼殿の跡に、大きな松の木がありまし...