巻二巻二第三十七話 全身から炎を出し咆哮する餓鬼の話 巻2第37話 満足尊者至餓鬼界語 第(卅七) 今は昔、仏の御弟子である満足尊者が神通をもって、餓鬼界に行き、ひとりの餓鬼を見ました。たいへんに恐怖(おそろ)しい形をしていて。身の毛が竪(よだ)ち、心迷(まど)うものでした。身から火を出し、... 2023.05.30巻二
巻十一巻十一第二十三話 夜の海に光り音を奏でる霊木の話 巻11第23話 建現光寺安置霊仏語 第廿三 今は昔、敏達天皇の御代に、河内国和泉の郡(大阪府和泉市)の前の海の沖(大阪湾)に、楽器の音がきこえました。箏・笛・琴・箜篌(くご)などの音のようでした。雷のとどろきのようでした。また、光がありま... 2023.05.26巻十一
巻二巻二第三十六話 糞尿を食べる奇怪な子の話 巻2第36話 天竺遮羅長者子閻婆羅語 第(卅六) 今は昔、天竺の毗舎離城(びしゃりじょう、バイシャリ)に長者がありました。名を遮羅(しやら)といいます。その妻は、懐任した後、身が臭く穢れて、すべての人が近づかなくなりました。月が満ちて、男... 2023.05.22巻二
巻二十巻二十第四十三話 若い甥のために祈祷しなかった左大将の話 巻20第43話 依勘文左右大将可慎枇杷大臣不慎語 第四十三 今は昔、朱雀院(朱雀天皇)の御代、天慶(938-947)のころ、天文博士が「月が大将の星を犯す」という勘文を奉ったことがありました。このことによって、左右の近衛大将は、重く慎しむ... 2023.05.13巻二十
巻六巻六第三十七話 今は死ぬ時期ではないと伝えられた僧の話 巻6第37話 震旦并州道如書写方等生浄土語 第卅七 今は昔、震旦(中国)の并州(山西省太原市)に一人の僧がありました。名を道如といいます。この州の人の慣習として、七歳以後はみな念仏を修していました。しかし道如は念仏を修せず、戒をたもたず、... 2023.05.12巻六
巻二十四巻二十四第二十九話 藤原義忠が藤原資業の詩を非難した話 巻24第29話 藤原資業作詩義忠難語 第廿九 今は昔、藤原資業(ふじわらのすけなり)という文章博士がいました。 鷹司殿(たかつかさどの・源倫子)の御屏風の色紙形に書く詩を、詩文の達人である博士たちにお命じになり、詩をつくらせましたが、こ... 2023.05.09巻二十四
巻十七巻十七第四十五話 吉祥天女を犯してしまった男の話 巻17第45話 吉祥天女𡓳像奉犯蒙罸語 第四十五 今は昔、聖武天皇の御代に、和泉の国和泉国の郡(大阪府和泉市)の血渟上山寺(ちぬかみのやまでら)に、吉祥天女の像(塑像)がありました。同じころ、信濃の国(長野県)から、縁あってその国に来たひ... 2023.05.09巻十七
巻十一巻十一第二十二話 伐ろうとすると人が死ぬ古木の話 巻11第22話 推古天皇造元元興寺語 第廿二 今は昔、推古天皇という女帝の御代に、この朝に仏法がさかんになり、堂塔を造る人も世に多くありました。天皇も、銅製の丈六(一丈六尺、約4.85メートル。仏像にもっとも適当とされる大きさ)の釈迦の像... 2023.05.03巻十一
巻三巻三第十二話 法を聞くオウムの来世の話 巻3第12話 須達長者家鸚鵡語 第(十二) 今は昔、天竺に須達(スダッタ)長者という長者がいました。仏法を信じ敬い、多くの比丘の檀徒として常に比丘を供養していました。長者の家の中には二羽の鸚鵡がいました。一羽は律提(りつだい)といい、もう... 2023.05.01巻三
巻二巻二第三十五話 猪の頭をもつ異形の天人の話 巻2第35話 天竺異形天人降語 第(卅五) 今は昔、天竺に一人の天人が降りたちました。全身は金色に輝いていましたが、頭は猪の頭でした。不浄の所から生ずるさまざまな生物を求めて食していました。 人々はこの天人を見て、奇異に思い、仏にたずね... 2023.04.30巻二
巻二巻二第三十四話 牛・馬・猪・羊・犬などの頭を備えた不気味な魚の話 巻2第34話 畜生具百頭魚語 第(卅四) 今は昔、天竺で、仏が諸の比丘(僧、弟子)とともに、梨越河(カシミール地方にある川)のほとりを行くことがありました。 その河に人が集まって、魚を捕っていました。網に魚を得たのです。そのは魚は、駝・... 2023.04.25巻二
巻六巻六第三十六話 阿含経を軽んじた新羅の僧の話 巻6第36話 新羅僧愈受持阿含経語 第卅六 今は昔、新羅国(朝鮮半島)に僧がありました。名を僧愈といいます。幼少時にて出家してから、戒めを犯すところはなく、常に浄土のありさまを観相していました。大乗を貴び、小乗を崇めませんでした。阿含の経... 2023.04.24巻六
巻二巻二第三十三話 目も耳も舌もなく生まれた子が財を得た話 巻2第33話 天竺女子不伝父財宝国語 第(卅三) 今は昔、天竺(インド)に国がありました。その国の習いとして、女子は家の財宝を得る権利を持っていませんでした。相続の権利を持っていたのは男子だけでした。もし、その家に男子がなければ(死んでし... 2023.04.14巻二
巻二十四巻二十四第二十八話 菅原道真が夢で詩の読み方を教えてくれた話 巻24第28話 天神御製詩読示人夢給語 第廿八 今は昔、天神(菅原道真)がおつくりになった詩があります。 東行西行雲眇々 (とうこうさいこうくもびょうびょう) 二月三月日遅々 (にがつさんがつひちちたり) この詩を後世の人は、も... 2023.04.10巻二十四
巻十七巻十七第四十四話 美少年に化けて僧に近づいた女の話 巻17第44話 僧依毘沙門助令産金得便語 第四十四 今は昔、比叡の山に僧がありました。やんごとなき学生(がくしょう)でしたが、とても貧しい人でした。裕福な檀家なども持たなかったので、比叡山にはいられなくなって、京に下って、雲林院というとこ... 2023.04.07巻十七