巻二十四

巻二十四第二十七話 死んだ詩人と詩を解する下女の話

巻24第27話 大江朝綱家尼直詩読語 今は昔、村上天皇の御代に、大江朝綱(おおえのあさつな)という文章博士がいました。 たいへん優れた学者であります。 長年、文章道をもって朝廷に仕え、少しも心もとない点がなく、ついに宰相(さいしょう・...
巻二十

巻二十第四十二話 仙人となって空を飛べるようになった女の話

巻20第42話 女人依心風流得感応成仙語 第四十二 今は昔、大和国宇陀郡(奈良県宇陀市)に住む女人がありました。常に心に風流を宿し、清廉で高潔な心を持っていました。七人の子の親となりましたが、貧しく、食物がありませんでした。そのため、子ど...
巻二十

巻二十第四十一話 民を思い行幸を中止した中納言の話

巻20第41話 高市中納言依正直感神語 第四十一 今は昔、持統天皇という女帝の御代に、中納言大神の高市麿(三輪高市麻呂)という人がありました。まっすぐな心をもち、智恵を備えていました。漢籍をまなび、すべての道に明らかでした。天皇はこの人に...
巻二十

巻二十第四十話 軽蔑し馬から下りずに施しをした話

巻20第40話 義紹院不知化人被返施悔語 第四十 今は昔、義紹院という僧がありました。元興寺(奈良県奈良市)のやんごとなき学生(がくしょう)でした。 あるとき、京から元興寺に行くことがありました。冬だったのでとても寒く、泉川原(泉川、奈...
巻二十四

巻二十四第二十五話 三善清行と紀長谷雄の口論

巻24第25話 三善清行宰相与紀長谷雄口論語 第廿五 今は昔、醍醐天皇の御代に、参議(さんぎ・唐名は宰相。朝議に参加する公卿)三善清行(みよしのきよつら)という人がいました。 その当時、中納言・紀長谷雄(きのはせお)は文章得業生(もんじ...
巻三

巻三第十一話 竜の娘を妻とした釈迦族の男の話

巻3第11話 釈種成竜王聟語 第(十) 今は昔、天竺では四姓のうちの刹帝利(クシャトリヤ)に属するものが国王となりました。この階級以外に国王になる家柄はありません。その中で釈種というのは釈迦如来の御一族のことをいいました。仏の御一族という...
巻六

巻六第三十四話 地獄で蓮華蔵世界に生まれた男の話

巻六第三十四話 地獄で蓮華蔵世界に生まれた男の話 巻6第34話 震旦空観寺沙弥観花蔵世界得活語 第卅四 今は昔、震旦(中国)の空観寺という寺に、一人の沙弥(小僧)がありました。名を定生といいます。沙弥でありながら、僧法を犯していましたし...
巻二十

巻二十第三十九話 川辺の聖人にやりこめられた話

巻20第39話 清滝河奥聖人成慢悔語 第卅九 今は昔、清滝河(清滝川)の奥に庵をつくり、長く修行をした僧がありました。「水瓶に水を入れたい」と思うときは、水瓶を飛ばして、川水をくませていました。 「これほどの行人はないだろう」と、思うと...
巻二十四

巻二十四第二十二話 算術の不思議の話

巻24第22話 俊平入道弟習算術語 第廿二 今は昔、丹後前司(たんごのぜんじ・現在の京都府北部、丹後国の前の国司)高階俊平朝臣(たかしなのとしひらのあそん)という者がいました。 のちには法師になり、丹後入道と称していました。 その弟に...
巻二十

巻二十第三十八話 生きながら地獄の炎に焼かれた男の話

巻20第38話 石川沙弥造悪業得現報語 第卅八 今は昔、石川沙弥(しゃみ)という人がありました。幼くして頭を剃りましたが、受戒せず、僧の名を得ませんでした。ただ、石川の沙弥と呼ばれました。妻が河内の国石川の郡(大阪府南河内郡)の人であり、...
巻六

巻六第三十三話 華厳経の偈をとなえて蘇生した男の話

巻6第33話 震旦王氏誦華厳経偈得活語 第卅三 今は昔、震旦(中国)の京師(けいし、都)に人がありました。姓は王氏、戒律を守らず、善を修することもありませんでした。 文明元年(684年)王氏は病にかかり死にました。しかし、左右の脇は暖か...
巻二十

巻二十第三十七話 朝になると首だけが残されていた初夜の娘の話

巻20第37話 耽財娘為鬼被?悔語 第卅七 今は昔、大和国十市の郡庵知の村(奈良県天理市庵治)の東の方に住む人がありました。家は大いに富んでいました。姓は鏡造、一人の娘がありました。娘はたいへん端正で美しく、田舎娘とは思えませんでした。 ...
巻十一

巻十一第二十話 聖徳太子が法隆寺を築いた話(欠話)

巻11第20話 聖徳太子建法隆寺語 第二十(欠文) 【解説】草野真一 『今昔物語集』は聖徳太子を日本仏教の祖として描いている。聖徳太子が築いたとされる寺院はいくつもあるが、法隆寺をその代表とすることに異論がある者はないだろう。飛鳥の聖徳太...
巻二十四

巻二十四第二十一話 笛の音に死を聞いた話

巻24第21話 僧登照相倒朱雀門語 第廿一 今は昔、登照(とうじょう)という僧がいました。 すべての人の人相を見、声を聞き、動作を知ることで、命の長短を相し、身の貧富を教え、その官位の高下を知らせてやりました。 このように相して絶対、...
巻二十四

巻二十四第十二話 医師・雅忠、家の様子を見て、瘡病の人がいることを言い当てる (欠話)

巻24第12話 雅忠見人家指有瘡病語 第十二(欠文) 【解説】柳瀬照美 表題より内容を察するに、忠明の子・雅忠が外部から家の様子をうかがい見ただけで、家の内に瘡(かさ・皮膚病)の病を患う人がいることを言い当てたという話。 前話に登場した...
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