巻十六

巻十六第一話 老翁となった観音が川を渡してくれた話

巻16第1話 僧行善依観音助従震旦帰来語 第一 今は昔、推古天皇の御代に行善という僧がありました。俗姓は堅部氏、仏法を習い伝えるために高麗国(高句麗)に派遣されました。 行善が高麗国に入ったときは、他国に敗れるときでした。国の民はみな王...
第十

巻十第一話 始皇帝の死と秦の滅亡(始皇帝と秦②)

(①より続く) 巻10第1話 秦始皇在咸陽宮政世語 第一 始皇帝は喜んで帰りましたが、天の責めをこうむったのでしょうか。途中、重い病を受けました。始皇帝は二世(胡亥)と大臣の趙高という人を呼び寄せて、ひそかに語りました。 「私は重病に...
第十

巻十第一話 偉大なる帝(始皇帝と秦①)

巻10第1話 秦始皇在咸陽宮政世語 第一 今は昔、震旦(中国)の秦の時代、始という皇帝がありました。賢い智恵と勇猛な心をもって政治をおこない、国内に随わぬ者はありませんでした。少しでも意見が異なる者があった場合には、その首を切り、手足を落...
巻十三

巻十三第一話 深山で聖人と異形を見た話

巻13第1話 修行僧義睿値大峰持経仙語 第一 今は昔、仏の道を修行する僧がありました。名を義睿(ぎえい)といいます。多くの山を廻り、海を渡り、さまざまな国々に行き、所々の霊験に参りました。 熊野に詣で、大峰山を通って、金峰山に出ましたが...
巻九

巻九第一話 子を埋めようとして黄金の釜を掘り当てた話

巻9第1話 震旦郭巨孝老母得黄金釜語 第一 今は昔、震旦の後漢の時代、河内(河南省沁陽)というところに、郭巨という人がありました。父はすでに亡くなっていましたが、母は生きて在りました。 郭巨は母をとても大切に養っていましたが、貧しく、常...
巻十四

巻十四第六話 経の書写を願った二匹の猿の話

巻14第6話 越後国乙寺僧為猿写法花語 第六 今は昔、越後の国三島の郡(新潟県長岡市)に、乙寺という寺がありました。その寺にひとりの其の寺に一人の僧が住み、昼夜に法華経を読誦することを仕事とし、ほかのことはしませんでした。 あるとき、同...
巻二十六

巻二十六第九話 巨大ムカデと大蛇が戦う話

巻26第9話 加賀国諍蛇蜈島行人助蛇住島語 第九 今は昔、加賀国(石川県南部)の下衆(身分の低い者)が七人、徒党を組んで常に海に出ていました。釣りを好んで業として、七人がひとつの船に乗りこんで漁に出て、長いこと過ごしていました。この者たち...
巻二十四

巻二十四第五十一話 大江匡衡の妻・赤染衛門、歌を詠む

巻24第51話 大江匡衡妻赤染読和歌語 今は昔、大江匡衡(おおえのまさひら)の妻は、赤染時望(あかぞめのときもち)という人の娘であります。 匡衡はこの妻に挙周(たかちか)を生ませたのです。 その挙周は、成長してから漢詩文の道に達してい...
巻六(全)

巻六第四十八話 経を聞き長命を得た少年の話

巻6第48話 震旦童児聞寿命経延命語 第四十八 今は昔、震旦(中国)の唐の玄宗の代、開元の末(開元は713~741)に、ひとりの相師(占い師)がありました。まるで掌を指すように、人の命の長短を言い当てました。 ある日、相師は資聖寺(浙江...
巻二十四

巻二十四第四十九話 亡き親に歌をそなえた貧しい娘の話

巻24第49話 七月十五日立盆女読和歌語 第四十九 今は昔、七月十五日の盂蘭盆の日※1に、たいそう貧しい女が、亡き親のために食べ物を供えることができないので、着ていたたった一つの薄紫色の綾の衣を盆に載せて、その上を蓮の葉で覆い、それを持っ...
巻六(全)

巻六第四十七話 君はそのうち死ぬだろうと言われた人の話

巻6第47話 震旦張李通書写薬師経延命語 第四十七 今は昔、震旦(中国)の唐の時代、張李通という人がありました。二十七歳になったとき、相師(占い師)にいわれました。 「君の命はとても短い。三十一を越すことはない」 李通はこれを聞いて、...
巻十九

巻十九第十五話 公任の大納言、出家して長谷に住む(欠話)

巻19第15話 公任大納言出家籠居長谷語 第十五 【解説】 柳瀬照美 本話は表題だけ留める本文欠話。当初よりの欠脱かと思われる。 藤原公任(ふじわらのきんとう)は、漢詩・管弦・有職に長じた歌人。藤原道長に対して才能を誇示した『三舟の...
巻十九

巻十九第十四話 人殺しの悪人が僧になって旅する話(マンガリンクあり)

巻19第14話 讃岐国多度郡五位聞法即出家語 第十四 今は昔、讃岐国多度の郡(香川県善通寺市)に、源大夫という人がありました。名はわかりません。とても猛々しい人で、殺生を生業としていました。日夜朝暮に山野に行っては鹿鳥を狩り、川海に行って...
巻十一(全)

巻十一第三十二話① 山中で出会った聖人が消えた話(坂上田村麻呂が清水寺を建てた話①)

巻11第32話 田村将軍始建清水寺語 第卅二 今は昔、大和国高市の郡八多の郷(奈良県高市郡高鳥町)に、小島山寺(子嶋寺)という寺がありました。その寺に賢心という僧がありました。報恩大師という人の弟子です。ひたすら聖の道を求め、苦行を怠るこ...
巻二十四

巻二十四第四十八話 大江定基、飢えたる女の和歌に感動する

巻24第48話 参河守大江定基送来読和歌語 第四十八 今は昔、大江定基朝臣(おおえのさだもとのあそん)が三河守(みかわのかみ・現在の愛知県東部の国司)だったころ、世の中が大飢饉に見舞われ、食べ物がまったく無い時期があり、その五月の長雨のと...
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