巻四

巻四第六話 美女に化けて弟子を誘惑する話

巻4第6話 天竺優婆崛多試弟子語 第六 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入ってから百年ほどたって、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 その弟子に一人の比丘(僧)がありました。優婆崛多がどう考えていた...
巻一

巻一第三十話 蟻を救うため命を捨てた帝釈天の話

巻1第30話 帝釈与修羅合戦語 第三十 今は昔、帝釈天(インドラ)の妻は、舎脂夫人(しゃしふじん、シャチー)といい、羅睺阿修羅王(らごあしゅらおう)の娘でした。父の阿修羅王は舎脂夫人を取り戻すため、常に帝釈と戦っていました。 ...
巻一

巻一第二十九話 戦争と王になった富豪の話

巻1第29話 波斯匿王阿闍世王合戦語 第廿九 今は昔、天竺に二つの国がありました。舎衛国(しゃえこく、コーサラ国)と摩竭提国(まかたこく、マガダ国)です。舎衛国の王を波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)といい、摩竭提国の王を阿闍世...
巻一

巻一第二十八話 その気がないのに出家した酔っぱらいの話

巻1第28話 婆羅門依酔不意出家語 第廿八 今は昔、天竺に一人の婆羅門(バラモン、最上カーストである僧侶階級)がありました。酒に酔い、仏のいらっしゃる祇園精舎に行きました。酔っているため、本心を忘れ、思ってもいないことをしてしまいました。...
巻五

巻五第十八話 九色の美しい鹿を裏切った話

巻5第18話 身色九色鹿住山出河辺助人語 第十八 今は昔、天竺に山がありました。その山の中に、身の色は九色で、角の色は白い鹿が住んでいました。人は、山にそんな鹿がいるということを語りませんでした。その山のふもとに、大河がありました。一羽の...
巻二十

巻二十第十一話 閉じ込められた竜の話

巻20第11話 竜王為天狗被取語 第十一 今は昔、讃岐の国(香川県)に、万能の池(満濃池)と呼ばれるとても大きな池がありました。弘法大師(空海)が衆生を哀れんだがために、築いた池です。池の周囲はとても広く、堤を高く築き囲んでありました。池...
巻四

巻四第五話 大王が築いた地獄の話

巻4第5話 阿育王造地獄堕罪人語 第五 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という王がありました。王は地獄をつくり、国内の罪人を収容しました。近寄った人は決して戻ることはなく、かならず地獄に入れました。 そのころ、とても尊い...
巻一

巻一第二十七話 行くところのない老人の話

巻1第27話 翁詣仏所出家語 第廿七 今は昔、天竺に老人がありました。半生を貧しく過ごし、塵ほどの貯えもありませんでした。妻子や親族は彼を見捨て、残された人生をともに送ろうという者はありませんでした。 老人は歎き悲しみ、考えました。 ...
巻二十四

巻二十四第四十話 円融天皇の葬送の歌

巻24第40話 円融院御葬送夜朝光卿読和歌語 今は昔、円融法皇が崩御なさって、紫野にご葬送申し上げましたが、先年、この地に子(ね)の日の行幸があったことなど思い出して、人びとが深い悲しみに打たれているとき、閑院左大将(かんいんのさだいしょ...
巻二十四

巻二十四第三十九話 藤原義孝、死んだ後に歌を詠む

巻24第39話 藤原義孝朝臣死後読和歌語 今は昔、右近少将・藤原義孝(ふじわのよしたか)という人がいました。 この人は、一条の摂政殿(藤原伊尹)の御子であります。 容貌・人柄をはじめ、気立ても才能もすべて人にすぐれていました。 また...
巻十五

巻十五第四十二話 義孝の少将の往生

巻15第42話 義孝小将往生語 今は昔、一条の摂政殿(藤原伊尹)と申す人がおいでになりました。 その御子に、兄は右近少将(うこんのしょうしょう)・挙賢(たかかた)といい、弟は左近少将(さこんのしょうしょう)・義孝(よしたか)という兄弟が...
巻十七

巻十七第十話 夢のお告げで伝染病を忌避した話

巻17第10話 僧仁康祈念地蔵遁疫癘難語 第十 今は昔、京に祇陀林寺という寺がありました。その寺に仁康という僧が住んでいました。横川の慈恵大僧正(良源)の弟子です。因果を信じて、三宝を敬い、戒行をたもち、仏のように人々をあわれみました。 ...
巻十七

巻十七第九話 地蔵菩薩が飢えた老母を救った話

巻17第9話 僧浄源祈地蔵衣与老母語 第九 今は昔、比叡山の横川に僧がありました。名を浄源といいます。俗姓は紀氏(きのうじ)、慶祐阿闍梨(きょうゆうあじゃり)という方から瓶の水をうつすように(入室写瓶)教えを授かりました。長く山上に住み、...
巻五

巻五第十七話 神ネズミに導かれた国王の話

巻5第17話 天竺国王依鼠護勝合戦語 第十七 今は昔、天竺に啒遮那国(くっしゃなこく)という小さな国がありました。小国ですが、大いに富み、多くの財を持っていました。天竺はもとより大いに広いですが、食物が乏しく、木の根・草の根を以て食とし、...
巻二十七

巻二十七第三十一話 「出る」家に住む話

巻27第31話 三善清行宰相家渡語 第卅一 今は昔、宰相(参議。政治をおこなう役職)三善清行(みよしのきよつら)という人がありました。世に善宰相と呼ばれる方です。浄蔵大徳(徳ある僧)の父であります。すべてにおいて貴い人で、陰陽道もきわめて...