巻二十七巻二十七第十六話 怪異の棲む堂、狂死した女の話 巻27第16話 正親大夫□□若時値鬼語 第十六 今は昔、正親の大夫という者がおりました。 その人が若かった時に、身分の高い所に宮仕えしていた女を語らって、時々は棲み通ったが、しばらく行かなくなっていたので、仲立ちの女に言伝をしている仲立ち...2021.01.30巻二十七
巻二十七巻二十七第十五話 赤子を食らう白髪の老婆の話 巻27第15話 産女行南山科値鬼逃語 第十五 今は昔、ある所に宮仕えしている若い女がおりました。父・母、親類縁者もおらず、少しの知り合いすらいなかったので、立ち寄る所もなくて、ただ局にいて、「もし、病気になった時に、どうしたらいいのだろう...2021.01.26巻二十七
今昔物語集について漱石、芥川、芳賀矢一そして南方熊楠 Twitterで『今昔物語集』に関するたいへん興味ぶかい論議があったのでご紹介いたします。 発端は、牛頭凡俗さん(@GozuBonzoku)による次のツイートがあったことです。 要約しますと、芥川龍之介が作家デビューの前に習作である『鼻...2021.01.25今昔物語集について
巻十七巻十七第二十二話 地獄からよみがえった男の話 巻17第22話 賀茂盛孝依地蔵助得活語 第廿二 今は昔、賀茂の盛孝という人がありました。心がまっすぐで、処世にも長けていました。公私にいそがしく、家は豊かでした。また、慈悲の心があり、生き物を殺すこともありませんでした。道心深く、月ごとの...2021.01.22巻十七
巻五巻五第三十話 女の甘い声を聞き力を失った仙人の話 巻5第30話 天帝釈夫人舎脂音聞仙人語 第三十 今は昔、帝釈天(インドラ神)には舎脂(しゃし、シャチー)夫人という妻がありました。毗摩質多羅(びましったら)阿修羅王の娘です。釈尊がご誕生される前、ひとりの仙人がありました。名を提...2020.11.27巻五
巻三十巻三十第七話 女を追い九州に下った少将が拉致された話 巻30第7話 右近少将□□□□行鎮西語 第七 今は昔、右近の少将□□という人がありました。容姿やありさまが美しく、心持ちのよい人でした。管絃をたしなんでいました。 九月十日のころ(旧暦)、月がとても美しい夜に、少将が人の家をたずねることが...2021.01.20巻三十
巻四巻四第十七話 仏の宝玉をとったスリランカの盗人の話 巻4第17話 天竺仏為盗人低被取眉間玉語 第十七 今は昔、天竺の僧迦羅国(そうからこく、スリランカ)に、小伽藍がありました。その寺に、等身大の仏がありました。寺は前の王の願いで建てられたものです。仏の御頭(みぐし)の眉間には玉(宝玉)が入...2021.01.17巻四
巻二巻二第八話 幸福の理由ははるか昔の生にある 巻2第8話 舎衛国金天比丘語 第八 今は昔、舎衛国(コーサラ国)に一人の長者がありました。家は大きく富み、無量の財宝がありました。男の子がひとりできました。その児の身は金色で、この世に並ぶものがないほど美しい子でした。父母はこれを喜...2021.01.16巻二
巻二十七巻二十七第十四話 東国から上ってきた人が鬼に喰われた話 巻27第14話 従東国上人値鬼語 第十四 今は昔、東の方から上京してきた人が、勢田橋(瀬田の唐橋。滋賀県大津市瀬田川にかかる。東国からの入り口)を渡って来て、日が暮れたので、人家に宿を借りようとした所、その辺に人も住まない大きな家があり、...2021.01.14巻二十七
巻二十七巻二十七第十三話 安義橋の鬼が弟に化けて命を奪った話 巻27第13話 近江国安義橋鬼噉人語 第十三 今は昔、近江(滋賀県)守□□という人が、その国に赴任していた時期に、館の男たちの間に勇猛な者が多数いて、今昔物語りなどをして、碁・双六を打って、遊びほうけては喰って酒を飲んでいると「この国に安...2021.01.11巻二十七
巻二十巻二十第四十四話 下毛野敦行、自邸の門より隣人の死棺を出す 巻20第44話 下毛野敦行従我門出死人語 第四十四 今は昔、右近将監(うこんのしょうげん・右近衛府の三等官)下毛野敦行(しもつけののあつゆき)という近衛舎人がいました。若いころから人望のあった者です。容貌・人品・風采・人柄をはじめ、乗...2020.10.11巻二十
巻四巻四第十六話 二つにわかれたガンダーラの仏画の話 巻4第16話 天竺乾陀羅国絵仏為二人女成半身語 第十六 今は昔、天竺の乾陀羅国(けんだらこく、ガンダーラ)に大王がありました。波斯利迦王(はしりかおう、カニシカ王)といいます。王は七重の宝塔を建てました。その東に一里(約400メートル)行...2021.01.07巻四
巻五巻五第二十九話 大魚の肉を食べた五人の山人の話 巻5第29話 五人切大魚肉食語 第廿九 今は昔、天竺の海辺の浜に、大魚が寄りました。 そのとき、山人(木樵など)が五人、通りかかりました。五人はこの大魚を見ると、魚の肉を切取って食べました。それを始めとして、世の人がこのことを聞いて集まり...2020.11.12巻五
巻二巻二第七話 縛られ監禁された女奴隷が天に生まれた話 巻2第7話 婢依迦旃延教化生天報恩語 第七 今は昔、天竺の阿般提国(あはんだいこく)に長者がありました。大いに富んで、財をたくわえていましたむさぼる心を持っていて、慈悲がありませんでした。 長者の家に、一人の婢(奴隷女)がありました。...2021.01.03巻二
巻二十七巻二十七第十二話 朱雀院で餌袋のお菓子がとられた話 巻27第12話 於朱雀院被取餌袋菓子語 第十二 今は昔、六条院の左大臣と申し上げる方がいらっしゃいまして、お名前を重信と申し上げます。 その大臣が方違えに朱雀院へ一夜お泊りになるということで、石見守藤原頼信という、当時瀧口(たきぐち、*1...2021.01.01巻二十七