巻十四

巻十四第五話 男に抱かれて死んだ女狐の話

巻14第5話 為救野干死写法花人語 第五 今は昔、すがた形の美麗な若者がありました。名前のある者ではありません。侍(貴族の使用人)程度の身分です。 二条大路と朱雀大路のあたりを歩いていて、朱雀門の前をとおるとき、どこから来たのでしょうか...
巻六(全)

巻六第四十六話 薬師経の力で治癒した話

巻6第46話 震旦張謝敷依薬師経力除病語 第四十六 今は昔、震旦(中国)の唐の時代に、張謝敷(ちょうしゃやぶ)という人がありました。とつぜん病にかかり、かぎりなく辛苦悩乱しました。 そのとき、妻は思いました。 「この病は人の力で治癒で...
巻三

巻三第十五話 武勇にすぐれた醜い皇子の話

巻3第15話 摩竭提国王燼杭太子語 第(十五) 今は昔、天竺の摩竭提国(マガダ国)に王がおり、五百の太子がありました。それぞれ成長し、めいめい存分に威力を発揮し思うままにふるまっていました。その中の一番目の太子は燼杭(じんこう)太子といい...
巻十四

巻十四第四話 天皇に愛され墓から逃れられなくなった女蛇の話

巻14第4話 女依法花力転蛇身生天語 第四 今は昔、奈良の都のころ、聖武天皇の御代に、都の東に一人の女がありました。姿やありさまが端正でしたので、天皇はこの女を召し、一晩抱きました。かわいいと思ったのか、金千両(両は重さの単位。約38キロ...
巻二十四

巻二十四第四十七話 伊勢が詠んだ恋の歌

巻24第47話 伊勢御息所幼時読和歌語 今は昔、伊勢御息所(いせのみやすどころ)がまだ御息所にもならず、七条后(宇多天皇中宮、藤原温子)のもとにお仕えしていたころ、枇杷左大臣(びわのさだいじん・藤原仲平)はまだ年若く少将でいましたが、たい...
巻十一(全)

巻十一第三十一話 祟りをなす霊木から観音を切り出した話(長谷寺の観音像)

巻11第31話 徳道上人始建長谷寺語 第卅一 今は昔、大水(洪水)が起こったとき、近江の国高島の郡(滋賀県高島市)に大木が流れてきました。郷の人がこの木の端を伐り取ると。その人の家は焼けました。また、その家よりはじまって郷村に病が流行し、...
巻六(全)

巻六第四十五話 死んだ母が鹿となって現れた人の話

巻6第45話 震旦梓州郪県姚待写四部大乗語 第四十五 今は昔、震旦の梓州の郪県(四川省三台県)に姚待(ようたい)という人がありました。長安四年(704年)、丁憂(ていゆう、父母の喪中)のとき、姚待は願を発し、亡くなった父母のために、四部の...
巻十七(全)

巻十七第五十話 祈ればかなう元興寺の夜叉像の話

巻17第50話 元興寺中門夜叉施霊験語 第五十 今は昔、元興寺の中門に二天(持国天と増長天)がいらっしゃました。その使者として夜叉がありました。その夜叉はかぎりない霊験を施しました。それゆえ、その寺の僧はもいろん、里の男女、この夜叉に詣で...
巻二十四

巻二十四第四十六話 荒れ果てた河原院で詠んだ歌

巻24第46話 於河原院歌読共来読和歌語 第四十六 今は昔、河原院(かわらのいん)には、宇多法皇が住んでおられましたが、崩御されたのちには、住む人もなく、院の中は荒れるにまかせていました。 紀貫之(きのつらゆき)が土佐国から上京し、ここ...
巻十七(全)

巻十七第四十九話 光を放つ執金剛神像の話

巻17第49話 金鷲優婆塞修行執金剛神語 第四十九 今は昔、聖武天皇の御代、奈良の都の東の山に、ひとつの山寺がありました。その山寺に一人の優婆塞(うばそく、在家信者または出家してない修行者)がありました。名を金就といいます。この優婆塞が山...
巻六(全)

巻六第四十四話 翼が生えて極楽に飛んだ僧の話

巻6第44話 震旦僧感持観無量寿経阿弥陀経語 第四十四 今は昔、震旦(中国)の并州に僧がありました。名を僧感といいます。 心を発し、観無量寿経と阿弥陀経を読誦することを業として、長い月日を過ごしました。 ある日、夢を見ました。 「わ...
巻二十六

巻二十六第二十話 少女と噛み合って死んだ犬の話

巻26第20話 東小女与狗咋合互死語 第二十 今は昔、␣(欠字)国␣(欠字)郡に住む人がいました。その家に、年は十二か三ばかりの使いの少女がいました。その家の隣では白い犬を飼っていましたが、どうしたことか、この少女を見さえすると、敵の...
巻二十六

巻二十六第十七話 狐を使者にした話(芥川龍之介『芋粥』元話)

巻26第17話 利仁将軍若時従京敦賀将行五位語 第十七 今は昔、利仁の将軍という人がありました。当時もっとも力をもっている人(藤原基経)に仕えていました。越前国の、有仁という勢いもあり徳もある人の家に聟として入りましたから、結婚した後はかの...
巻二十六

巻二十六第十四話 陸奥守に仕えていた男、黄金を見つけて裕福になる

巻26第14話 付陸奥守人見付金得富語 第十四 今は昔、陸奥守(むつのかみ・現在の東北地方の国司)□□という人がいました。 また同じころ、□□という者がいました。 二人が若いころ、守が意外にも自分をひどく憎んでいることがあった...
巻二十六

巻二十六第八話④ 神になった男(生贄になった男④)

(③より続く) 巻26第8話 飛騨国猿神止生贄語 第八 生贄を出した家の家主は、「私が出した生贄に問題があったのだろうか」と冷静ではいられず、怖ろしく思っていました。生贄の男の妻は思いました。 「夫は刀を隠して持っていった。このように...
タイトルとURLをコピーしました