巻四

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巻四第十話 心に仏を宿した僧の話

巻4第10話 天竺比丘僧沢観法性生浄土語 第十 今は昔、中天竺に比丘(僧)がありました。名を僧沢といいます。怠け心がとても強く、愚か者でした。比丘の姿をしていましたが、まともに修行したことがありません。経や真言もまったく知らず、ただ寺に住...
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巻四第九話② 強盗に襲われた僧と狂人を装う僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 (①より続く) 陀楼摩(だるま)和尚は山のふもとの人里に宿をとりました。 夜がふけたころ、叫び声が聞こえました。 「強盗だ! 強盗が私を殺そうとしている。年来貯えていた財宝は、みな奪わ...
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巻四第九話① 碁を打つ老僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 今は昔、陀楼摩(だるま)和尚という聖人がいらっしゃいました。天竺のすべての場所に赴き、あらゆる比丘(僧侶)のおこないを見て、世に伝えました。 ある大きな寺に詣でたときのことです。ある僧房で...
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巻四第八話 ニセの仏を拝み泣いた聖人の話

巻4第8話 優婆崛多降天魔語 第八 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。人を利益すること、仏のようでした。法を説き、多くの人を教化しました。その法を聞くと、皆が利益を得て、罪を滅し...
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巻四第七話 仏を知る老女の話

巻4第7話 優婆崛多会波斯匿王妹語 第七 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 仏が涅槃に入って(亡くなって)後の人ですから、仏の教えを実際に受けたことはありません。とても恋しく...
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巻四第六話 美女に化けて弟子を誘惑する話

巻4第6話 天竺優婆崛多試弟子語 第六 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入ってから百年ほどたって、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 その弟子に一人の比丘(僧)がありました。優婆崛多がどう考えていた...
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巻四第五話 大王が築いた地獄の話

巻4第5話 阿育王造地獄堕罪人語 第五 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という王がありました。王は地獄をつくり、国内の罪人を収容しました。近寄った人は決して戻ることはなく、かならず地獄に入れました。 そのころ、とても尊い...
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巻四第四話 両眼を失い国外追放になった王子の話

巻4第4話 拘拏羅太子抉眼依法力得眼語 第四 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という大王がいらっしゃいました。太子が一人あり、名を拘拏羅(くなら)と申しました。形貌は端正であり、心性は正直でした。すべてにおいて人より勝れ、...
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巻四第三話 大王が八万四千の后を殺した話

巻4第3話 阿育王殺后立八万四千塔語 第三 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入って(入滅して)百年後、鉄輪聖王(てつりんじょうおう、解説参照)が生まれました。阿育王(あそかおう、アショーカ王)です。八万四千の后を持っていました。しかし、子はあり...
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巻四第二話 失われた美味の話

巻4第2話 波斯匿王請羅睺羅語 第二 今は昔、天竺。仏が涅槃に入った後のことです。波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)は羅睺羅(らごら、ラーフラ。釈尊の息子にして弟子)を招き、百味の飲食で歓待しました。大王と后は、自ら手に取って食...
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巻四第一話 はじめての結集、阿難が批判された話

巻4第1話 阿難入法集堂語 第一 昔、天竺で、仏が涅槃に入った後、迦葉(大迦葉、だいかしょう、マハーカッサパ)尊者を上座として、千人の羅漢(聖者)が集まり大小乗の経の結集をおこないました。 阿難(あなん、アーナンダ。釈迦の身...
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巻四第四十一話 子を失った父親があの世に行った話

巻4第41話 恋子至閻魔王宮人語 第四十一 今は昔、天竺に比丘(僧)がありました。「羅漢(聖人)になろう」と思い修行していましたが、六十歳になっても羅漢になることができませんでした。とても歎き悲しみましたが、ついに力がおよびませんでした。...
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巻四第四十話 貧しく美しい娘と話さない太子の話

巻4第40話 天竺貧女書写法花経語 第四十 今は昔、天竺に女がありました。家が貧しく、財がないうえに、子もありませんでした。女は仏神に祈りました。 「せめて子をつくり、生きるたよりとしたい」 女はたちまち懐妊し、一人の女の子を産みまし...
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巻四第三十九話 弥勒像をつくった人の話

巻4第39話 末田地阿羅漢造弥勒語 第卅九 今は昔、北天竺の烏仗那国(うじょうなこく)の達麗羅川(だりらせん)に、寺がありました。金色に輝く十丈(30メートル)ほどの弥勒菩薩の木像がありました。仏が涅槃に入った(亡くなった)後に、末田地大...
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巻四第三十八話 貧しい人が大金持ちになった話

巻4第38話 天竺貧人得富貴語 第卅八 今は昔、天竺に一人の人がありました。身分の高い人でしたが、とても貧しく、生きていくことさえ困難でした。物乞いをして命をつないでいましたが、人はみな門を閉じ、彼を寄せつけませんでした。彼はとても歎き悲...