巻四

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巻四第十七話 仏の宝玉をとったスリランカの盗人の話

巻4第17話 天竺仏為盗人低被取眉間玉語 第十七 今は昔、天竺の僧迦羅国(そうからこく、スリランカ)に、小伽藍がありました。その寺に、等身大の仏がありました。寺は前の王の願いで建てられたものです。仏の御頭(みぐし)の眉間には玉(宝玉)が入...
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巻四第十六話 二つにわかれたガンダーラの仏画の話

巻4第16話 天竺乾陀羅国絵仏為二人女成半身語 第十六 今は昔、天竺の乾陀羅国(けんだらこく、ガンダーラ)に大王がありました。波斯利迦王(はしりかおう、カニシカ王)といいます。王は七重の宝塔を建てました。その東に一里(約400メートル)行...
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巻四第十五話 尽きない桶の飯、貧しい老人が富む話

巻4第15話 天竺舎衛国髪起長者語 第十五 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国)に一人の翁がありました。八十歳にして、とても貧しい人でした。物乞いをして生きていました。この翁に妻がありました。妻はとても髪が長く、彼女より長い髪を持つ者はあり...
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巻四第十四話 森で裸の女に出会った話

巻4第14話 天竺国王入山見裸女令着衣語 第十四 今は昔、天竺の国王が多くの従者をひきつれて山に入り、狩をしていたときのことです。長く歩いたためひどく疲れ、空腹でたまらなくなりました。見ると、山中に大きな樹があり、その下に金の床几をおいて...
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巻四第十三話 船を海中にひきずりこんだ竜王の話

巻4第13話 天竺人於海中値悪竜人依比丘教免害語 第十三 今は昔、天竺の人は、道を行く時は必ず比丘(僧)をつれていたといいます。仏法の加護があるためです。 昔、ある人が商いのために船に乗り、海に出ました。にわかに悪風が吹いて、船を海の...
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巻四第十二話 いつわりの託宣をした神官の話

巻4第12話 羅漢比丘教国王太子死語 第十二 今は昔、天竺に小国がありました。その国では神のみを信じて、仏法を信じませんでした。 国王には、一人の皇子がありました。王は他に子がありませんでしたから、皇子をまるで宝石を愛でるように愛しました...
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巻四第十一話 打たれた児と南海のコウモリの話

巻4第11話 天竺羅漢比丘値山人打子語 第十一 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の僧がありました。ある日、羅漢はひとりの山人(木こりなどして山で生活する人)と出会いました。山人は幼い童子をつれていて、ムチで打ち、哭(な)かせていました。 羅漢...
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巻四第十話 心に仏を宿した僧の話

巻4第10話 天竺比丘僧沢観法性生浄土語 第十 今は昔、中天竺に比丘(僧)がありました。名を僧沢といいます。怠け心がとても強く、愚か者でした。比丘の姿をしていましたが、まともに修行したことがありません。経や真言もまったく知らず、ただ寺に住...
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巻四第九話② 強盗に襲われた僧と狂人を装う僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 (①より続く) 陀楼摩(だるま)和尚は山のふもとの人里に宿をとりました。 夜がふけたころ、叫び声が聞こえました。 「強盗だ! 強盗が私を殺そうとしている。年来貯えていた財宝は、みな奪わ...
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巻四第九話① 碁を打つ老僧の話

巻4第9話 天竺陀楼摩和尚行所々見僧行語 第九 今は昔、陀楼摩(だるま)和尚という聖人がいらっしゃいました。天竺のすべての場所に赴き、あらゆる比丘(僧侶)のおこないを見て、世に伝えました。 ある大きな寺に詣でたときのことです。ある僧房で...
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巻四第八話 ニセの仏を拝み泣いた聖人の話

巻4第8話 優婆崛多降天魔語 第八 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。人を利益すること、仏のようでした。法を説き、多くの人を教化しました。その法を聞くと、皆が利益を得て、罪を滅し...
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巻四第七話 仏を知る老女の話

巻4第7話 優婆崛多会波斯匿王妹語 第七 今は昔、天竺に、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 仏が涅槃に入って(亡くなって)後の人ですから、仏の教えを実際に受けたことはありません。とても恋しく...
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巻四第六話 美女に化けて弟子を誘惑する話

巻4第6話 天竺優婆崛多試弟子語 第六 今は昔、天竺に、仏が涅槃に入ってから百年ほどたって、優婆崛多(うばくった、ウパグプタ)という悟りに至った羅漢(聖者)がありました。 その弟子に一人の比丘(僧)がありました。優婆崛多がどう考えていた...
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巻四第五話 大王が築いた地獄の話

巻4第5話 阿育王造地獄堕罪人語 第五 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という王がありました。王は地獄をつくり、国内の罪人を収容しました。近寄った人は決して戻ることはなく、かならず地獄に入れました。 そのころ、とても尊い...
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巻四第四話 両眼を失い国外追放になった王子の話

巻4第4話 拘拏羅太子抉眼依法力得眼語 第四 今は昔、天竺に阿育王(あそかおう、アショーカ王)という大王がいらっしゃいました。太子が一人あり、名を拘拏羅(くなら)と申しました。形貌は端正であり、心性は正直でした。すべてにおいて人より勝れ、...