巻二十六

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巻二十六第五話③ 児の発見と蘇生(埋められた児の話③)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (②より続く) かの伯父は、急に児の顔を見たくなって、恋しく思いました。従者たちはみな出払っていて、呼ぶことができませんでした。それでも恋しく思ったので、舎人男が一人あったのに命じて、「馬に鞍を...
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巻二十六第五話② 継母の陰謀(埋められた児の話②)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (①より続く) 夫はこれを聞くと、鼻で笑って言いました。 「おまえは、さも難しいところであり、大事なことであるように言うなあ。私にまかせておけ。御前(継母)さえ許していただければ、誰がした...
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巻二十六第五話① 陸奥国の兄弟(埋められた児の話①)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 今は昔、陸奥の国(東北地方太平洋岸)に、権勢も財力もある兄弟がありました。兄は弟よりどんなことでも勝っていました。国の介(長)をつとめ、政務をおこなっていたので、国の庁(国府)に常にあらねばならず...
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巻二十六第四話 下男の部屋を借り女と会っていて殺されかけた話

巻26第4話 藤原明衡朝臣若時行女許語 第四 今は昔、大学頭(国家公務員養成所の長官)藤原明衡という学者がありました。その人が若いころ、然るべき所に宮仕えしている女房を深い仲になり、こっそり通っていました。 女房の部屋に行って寝るのは都合...
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巻二十六第三話 洪水にあい火災にあい高木につるされ、それでも生きた童子の話

巻26第3話 美濃国因幡河出水流人語 第三 今は昔、美濃国(岐阜県)に因幡河(長良川)という大河がありました。雨が降って水が出た時には、量り無い洪水になりました。河辺に住む人は、洪水のときに登るために、家の天井を強くつくり、板敷の様に固め...
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巻二十六第二話 蕪で自慰した男と妊娠した娘の話

巻26第2話 東方行者娶蕪生子語 第二 今は昔、京から東の国に下る者がありました。 どこの国郡ともわからず、ある郷を通ったとき、婬欲がさかんに起こり、女を抱くことばかり考えておかしくなりそうで、しずめることができませんでした。どうし...
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巻二十六第一話 子を鷲に奪われた父親の話

巻26第1話 於但馬国鷲爴取若子語 第一 今は昔、但馬国七美郡(兵庫県美方郡)川山の郷(存在しない)に住む者がありました。その家に一人の赤子があり、庭を這いまわっていました。空を飛びゆく鷲が、赤子を見て、とつぜん降下してこれをつかみと...
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