巻三十一

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巻三十一第七話 昔の女の霊に会って命を落とした話

巻31第7話 右少弁師家朝臣値女死語 第七 今は昔、右少弁・藤原師家という人がありました。たがいに心を通わせて、行き通う女がありました。 女の心ばえはとてもよく、つらいことも耐え忍び、静かに思いをめぐらす性格でしたから、弁は事にふれ「こ...
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巻三十一第六話 立て札で人を避けた翁の話

巻31第6話 賀茂祭日一条大路立札見物翁語 第六 今は昔、賀茂の祭の日、一条大路と東洞院大路が交わる場所に、早朝より札が立てられました。札にはこう書かれていました。 「ここは翁が祭を見るところである。立ち入ってはならない」 人はその札...
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巻三十一第五話 娘を宮様のように飾った身分の賤しい男の話

巻31第5話 大蔵史生宗岡高助傅娘語 第五 今は昔、大蔵省の最下級の史生(書記)に、宗岡高助という者がありました。出かけるときには垂髪(手入れしてない髪)で、栗毛の貧弱な馬を乗り物にしていました。袴・袙・襪(足袋)なども粗末なものでした。...
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巻三十一第四話 幽閉された絵師が描いた地獄の絵の話

巻31第4話 絵師巨勢広高出家還俗語 第四 今は昔、一条の院の御代に、巨勢広高という絵師がありました。腕は古の人に劣らず、今も肩を並べる者はありません。 もとより広高は道心ある人でしたが、重い病を受けてわずらって、世の中をつまらないもの...
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巻三十一第三話 淫行の罪を犯さないために少女を殺した僧の話

巻31第3話 湛慶阿闍梨還俗為高向公輔語 第三 今は昔、湛慶阿闍梨という僧がありました。慈覚大師(円仁)の弟子です。真言を極め、内外(日本と中国)の文道に通じていました。また、幾多の芸に優れていました。 湛慶は(真言の)行法を修め、公私...
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巻三十一第二話 橋をかけるため寄進を集めた話

巻31第2話 鳥羽郷聖人等造大橋供養語 第二 今は昔、鳥羽の村(京都市南区上鳥羽)に大きな橋がありました。古くから桂川にかかっている橋です。その橋が壊れて、人は渡ることができませんでした。 人がみな河を泳いで渡っていることを歎き、一人の...
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巻三十一第一話 破壊された尼の宮の話

巻31第1話 東山科藤尾寺尼奉遷八幡新宮語 第一 今は昔、天暦(元号。947-957)の御代に、粟田山の東、山科の郷の北の方に寺がありました。藤尾寺といいます。その寺の南に別の堂があり、その堂に一人の年老いた尼が住んでいました。尼はゆたか...
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巻三十一第三十三話 空に去っていった娘の話(かぐや姫の物語)

巻31第33話 竹取翁見付女児養語 第卅三 今は昔、ひとりのおじいさんがおりました。竹を取って籠をつくり、それを売って生活していました。 おじいさんがいつものように籠をつくろうと竹の林に入っていくと、光る竹がありました。竹の節の中には、三寸...
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巻三十一第三十一話 太刀帯の詰め所で魚を売っていた老婆の話(芥川龍之介『羅生門』元話)

巻31第31話 太刀帯陣売魚嫗語 第卅一 今は昔、三条天皇が皇太子でいらっしゃる時に、太刀帯(たちはき・皇太子を護衛する役職)の詰め所にいつも訪れて、魚を売る女がいました。 太刀帯たちが、女の売っていた魚を買って食べると、味が美味し...
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巻三十一第二十二話 讃岐国の満濃池をくずす国司のこと

巻31第22話 讃岐国満農池頽国司語 第廿二 今は昔、讃岐国(さぬきのくに・現在の香川県)郡に満濃(まの)の池という大きな池がありました。高野の大師(弘法大師)がこの国の人のためを思って、大勢の人を集めて築きなされた池であります。池の周り...
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巻三十一第二十一話 能登国の鬼の寝屋島のこと

巻31第21話 能登国鬼寝屋島語 第廿一 今は昔、能登(のと・現在の石川県北部)の国の沖に寝屋(ねや)という島があります。その島では、河原に石がころがっているように無数に鮑(あわび)がとれるというので、この国に光の島という浦がありますが、...
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巻三十一第十四話 馬に変えられた修行者の話

巻31第14話 通四国辺地僧行不知所被打成馬語 第十四 今は昔、仏の道を修行する僧が三人、四国の辺地(伊予・讃岐・阿波・土佐)の海辺を廻ることがありました。僧たちはそこを廻っているうち、思いがけず山に入りました。深山に迷い、ただ海辺に...
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巻三十一第十三話 酒のわき出る隠れ里の話

巻31第13話 通大峰僧行酒泉郷語 第十三 今は昔、仏の道を修行する僧がありました。大峰を通るとき、道を違えて、谷を下っていくと、大きな人郷に出ました。 僧は喜びました。 「人の家に立ち寄って『ここはどこですか』と聞こう」...
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巻三十一第十一話 安倍頼時が北の国にわたった話

巻31第11話 陸奥国安倍頼時行胡国空返語 第十一 今は昔、陸奥国(現在の東北)に安倍頼時(あべのよりとき)という武人がいました。 その国の奥に夷(えびす)というものがいて、朝廷に従い奉ろうとしなかったので、「これを討つべし」という勅命が...
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