巻二十第二十八話 兎を捕らえ皮をはぎ殺した男の話

巻二十(全)

巻20第28話 大和国人捕菟感現報語 第廿八

今は昔、大和国(奈良県)□郡に住む人がありました。荒々しい心をもち、あわれみの心はありませんでした。好んで昼夜に生命を殺し、それを仕事にしていました。

あるとき、この人は野で兎をとらえて、生きながらその皮をはぎ、体は野に捨ててしまいました。

それから幾程を経たず、毒の瘡(かさ)が全身に生じて、皮膚が乱れ爛れ、ひどく痛み苦しみました。医師を呼び、薬で療治しようとしましたが、叶うことはなく、何日か後に死にました。

この話を見聞く人は言いました。
「これはかの兎を殺した現報(むくい)を受けたのだ」

生命は遊び戯れで奪うことができます。しかし、動物は人よりずっと命を惜しむものです。自分が命を惜しむように、彼らも命を惜しんでいるのだと知り、殺生をやめるべきだと語り伝えられています。

【原文】

巻20第28話 大和国人捕菟感現報語 第廿八
今昔物語集 巻20第28話 大和国人捕菟感現報語 第廿八 今昔、大和国□□郡に住人有けり。心猛くして、永く哀びの心無かりけり。只好て昼夜に生命を殺す事を業としけり。 而る間、其の人、野に出て菟を捕て、生乍ら菟の皮を剥て、体をば野に放ちけり。

【翻訳】 草野真一

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【協力】ゆかり

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