巻六第二十八話 木の葉に仏を見た話

巻六(全)

巻6第28話 震旦興善寺含照礼千仏語 第廿八

今は昔、震旦の唐の代に大興善寺という寺がありました。その寺に一人の僧が住んでいました。名を含照といいました。願を発し、千仏の像を図絵しようと考えました。わずかに七仏の像を図絵しましたが、残り九百九十三仏の威儀・手印(姿や手の印の形。「儀軌」にこまかな決まりがある)を知りませんでした。

含照は涙を流し、罪を懺悔して、誠の心を至して祈請しました。
「九百九十三仏の威儀・手印を知らせてください」
その夜、含照は夢を見ました。木の葉に九百九十三仏が現れています。すべてを見た後に、夢から覚めました。

その後、含照は歓喜礼拝し、千仏の像を図絵し奉り、世に流布し伝えたと語り伝えられています。

大興善寺山門

【原文】

巻6第28話 震旦興善寺含照礼千仏語 第廿八
今昔物語集 巻6第28話 震旦興善寺含照礼千仏語 第廿八 今昔、震旦の唐の代に興善寺と云ふ寺有り。其の寺に一人の僧住ぬ。名をば含照と云ふ。願を発して、千仏の像を図絵し奉らむと為るに、纔に七仏の像許を図絵し奉て、今九百九十三仏の威儀・手印を知らず。

【翻訳】 西村由紀子

【校正】 西村由紀子・草野真一

巻十一第九話② 弘法大師空海が大日如来となった話
(①より続く) 巻11第9話 弘法大師渡唐伝真言教帰来語 第九 ちょうどそのとき、遣唐大使として、越前の守正三位藤原朝臣葛野麻呂(かどのまろ)という人が唐にわたることになりました。ともに海の道三千里を行くことになりました。 まず蘇...

【協力】ゆかり・草野真一

にっぽん ってどんな国? | What is japan like?
What is japan like?

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました