巻二十四第十七話 賀茂保憲と安倍清明、覆物を占う(欠話)

巻二十四(全)

巻24第17話 保憲清明共占覆物語

【解説】柳瀬照美

本話は表題のみの本文欠話。初めから欠脱していたか、とも思われる。
陰陽道の天才、賀茂保憲と安倍清明の術くらべ。表題より、覆い隠された物を当てる試合のようであったと推察される。
陰陽道では、賀茂家は勘解由小路(かげゆこうじ)流、安倍家は土御門流として存在し、ふたりは、その始祖的存在である。

安倍晴明像(安倍晴明神社・大阪市)

類似の話では、安倍清明と蘆屋道満(あしやどうまん)の術くらべがあり、こちらは両者互いに譲らず、最後に清明が呪力で櫃の中身を別の物に変えて勝利する。
清明の好敵手として、さまざまな文芸作品に現れることの多い道満だが、『今昔物語集』では、その説話は無い。
承久の乱(1221)の後、鎌倉時代前期に成立した『宇治拾遺物語』巻第十四の十話『御堂関白の御犬清明等奇特の事』で、甥の顕光(あきみつ)に頼まれて太政大臣・藤原道長を「道摩(どうま)法師が呪った」というのが初出かもしれない。

巻二十四第十五話 賀茂忠行、息子・保憲の才を知る
巻24第15話 賀茂忠行道伝子保憲語 今は昔、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師(おんみょうじ)がいました。 その道については昔の名陰陽師にも恥じず、当時においても肩を並べる者がいませんでした。 そこで、公私にわたって重く用いられ...
巻二十四第十六話 安倍清明、師に従って道を習う
巻24第16話 安倍清明随忠行習道語 今は昔、天文博士・安倍清明(あべのせいめい)という陰陽師がいました。 昔の大家にも恥じぬほどのすぐれた陰陽師でありました。 幼いときから、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師について...
巻二十四第十七話 賀茂保憲と安倍清明、覆物を占う(欠話)
巻24第17話 保憲清明共占覆物語 【解説】柳瀬照美 本話は表題のみの本文欠話。初めから欠脱していたか、とも思われる。 陰陽道の天才、賀茂保憲と安倍清明の術くらべ。表題より、覆い隠された物を当てる試合のようであったと推察される。 陰...
巻二十四第十九話 播磨国の陰陽師・智徳法師のこと
巻24第19話 播磨国陰陽師智徳法師語 今は昔、播磨国(はりまのくに・現在の兵庫県南西部)の□□郡に陰陽師のことをする法師がいました。 名を智徳(ちとく)といいます。 長年、その国に住んで、この道を行っていましたが、この法師は陰陽道に...

【参考文献】
小学館 日本古典文学全集23『今昔物語集三』
小学館 日本古典文学全集28『宇治拾遺物語』

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