巻二十九(全)

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巻二十九第四十話 蛇に射精した僧の話

巻29第40話 蛇見僧昼寝𨳯呑受媱死語 第四十 今は昔、若い僧が尊いご身分の僧侶にお仕えしていました。すでに妻子のある僧でした。 この僧が主人の僧侶とともに三井寺(滋賀県大津市円城寺)に行きました時、夏の暑い時分で、昼間に眠たくなってし...
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巻二十九第三十九話 蛇が女陰を見て欲情した話

巻29第39話 蛇見女陰発欲出穴当刀死語 第卅九 今は昔、若い女が陽明門から入った近衛の大路を真っ直ぐ西へと向かっていました。小一条は宗像明神のあるところですが、その北側の路を歩いていましたところ、急な尿意におそわれたのか、築垣(土塀)に...
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巻二十九第三十八話 狼を突き刺して朝まで放さなかった牛の話

巻29第38話 母牛突殺狼語 第卅八 今は昔、平城京の西側辺りに身分の低い人がいました。農業を営むために牛を飼っていました。その牛には仔牛が一頭ありました。 秋の稲刈りの済んだ田んぼで毎日放牧し、夕方になると小童部(kこわらべ、少年の使...
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巻二十九第三十七話 蜂が蜘蛛に怨みを晴らし損ねた話

巻29第37話 蜂擬報蜘蛛怨語 第卅七 今は昔、法成寺(藤原道長が京都市上京区に創建した寺)の阿弥陀堂の軒下に蜘蛛が巣を造っていました。その糸は長く、東の池の蓮の葉にまで達していました。この様子を見た人が「この蜘蛛の糸は随分長く引いたもの...
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巻二十九第三十六話 蜂に襲われた盗賊の話

巻29第36話 於鈴香山蜂螫殺盗人語 第卅六 今は昔、都に水銀(みづかね)を商う人がいました。長年に渡って水銀商一筋でやってきて、今は大変な金持ちになり、財産のある豊かな家になっていました。伊勢国(三重県中部)と都の間を長年、百頭以上の馬...
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巻二十九第三十五話 鷲を殺して恩を返した猿の話

巻29第35話 鎮西猿打殺鷲為報恩与女語 第卅五 今は昔、九州の□の国□郡に身分の低い人がいました。海辺に住んでいたので、その妻はいつも沢に出て、磯で貝や海藻を拾っていました。 ある日、隣の女と二人で磯に出て貝類を拾いに行ったとき、二人...
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巻二十九第三十四話 優れた鷹に逃げられた人の話

巻29第34話 民部卿忠文鷹知本主語 第卅四 今は昔、民部卿の藤原忠文という人がいました。京都の宇治に住んでいましたので、世間では、宇治の民の司の守と呼ばれていました。 忠文はとても鷹狩の好きな人でした。ちょうどその頃、式部卿の重明親王...
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巻二十九第三十三話 鷲をのもうとして殺された蛇の話

巻29第33話 肥後国鷲咋殺蛇語 第卅三 今は昔、肥後の国(熊本県)の□郡に住んでいる人がいました。家の前に榎の大木が生えていて、その枝が繁ってかぶさるようになっているところに鷲小屋を作って、そこで鷲を飼っていました。 とこ...
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巻二十九第三十二話 大蛇から主人を救った犬の話

巻29第32話 陸奥国狗山狗咋殺大蛇語 第卅二 今は昔、陸奥の国(青森県、岩手県、宮城県、福島県)の□の郡に住んでいる、身分の低い人がいました。家にたくさんの犬を飼っていて、いつもその犬たちを引き連れて深い山に分け入り、猪や鹿に犬たちをけ...
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巻二十九第三十一話 サメと虎の戦いの話

巻29第31話 鎮西人渡新羅値虎語 第卅一 今は昔、九州の□の国の□の郡に住んでいた人が、商いをする為に一艘の船に多くの人々と乗り合わせて新羅(朝鮮)の国へ渡りました。商いを終えた帰りに、新羅の山裾に沿って船を漕いでいましたが、「きれいな...
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巻二十九第三十話 双六で殺された武士の話

巻29第30話 上総守維時郎等打双六被突殺語 第三十 今は昔、上総(千葉県中央部)の守で平維時朝臣(たいらのこれときのあそん)という人がいました。この人は□□(欠字。平維将のこと)の子で、優れた武将でしたので、朝廷の公務でも私的な用であっ...
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巻二十九第二十九話 犯される恥から逃れるために我が子を見棄てた女の話

女被捕乞丐棄子逃語 第二十九 今は昔、□の国、□の郡にある山道を乞食二人が連れ立って歩いておりますと、前の方に子どもを背負った若い女がいました。 女は乞食どもが後ろに近付いて来るのを見て、脇に寄ってやり過ごそうとしましたが、乞食どもは立...
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巻二十九第二十八話 強盗殺人の謀に使われた女が自ら死んだ話

住清水南辺乞食以女人謀入殺語 第二十八 今は昔、誰とははっきり申せませんが、高い家柄の貴公子で、眉目秀麗な方がおり、近衛府の中将などの役職についておりました。 この方がお忍びで清水寺に参詣いたしましたところ、とても美しい女性が上品に着物...
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巻二十九第二十七話 子が死んでも狩りに出かけ殺生を続けた男の話

主殿頭源章家罪造語 第二十七 今は昔、主殿の頭(とのもりのかみ)、源章家という人がおりました。武家の家柄ではありませんでしたが、とにかく猛々しい性格で、昼にせよ夜にせよ、また朝から晩まで、専ら生き物を殺してばかりおりました。 この章家と...
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巻二十九第二十六話 日向守、書生を殺す

巻29第26話 日向守□□殺書生語 第廿六 今は昔、日向守(ひゅうがのかみ・現在の宮崎県の国司)□□の□□という者がいました。 任国にいるうち、国司の任期が終わったので、新任の国司の着任を待つ間、引き継ぎの書類などをつじつまの合うよ...
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