巻二十四

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巻二十四第十話 唐人の名医・長秀の話

巻24第10話 震旦僧長秀来此朝被仕医師語 第十 今は昔、天暦(てんりゃく・村上天皇)の御代に、震旦(しんたん)から渡来した僧がいました。 名を長秀(ちょうじゅう)といいます。 もとは医師でありましたが、九州に住みついて帰国するつもり...
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巻二十四第九話 蛇と交接した女の話

巻24第9話 嫁蛇女医師治語 第九 今は昔、河内国讚良郡馬甘郷(かわちのくにささらのこおりうまかいのさと)に住んでいる人がいました。 身分は卑しかったのですが、家はたいそう裕福でありました。そこに若い娘が一人ありました。 四月ごろのこ...
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巻二十四第八話 好色な典薬頭を出し抜いた女の話

巻24第8話 女行医師家治瘡逃語 第八 今は昔、典薬頭(てんやくのかみ・医薬を司る典薬寮の長官)に□□という優れた医師(くすし)がいました。 当代に並びない者でありましたから、人びとは皆、この人を重んじていました。 ある日、この典薬頭...
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巻二十四第七話 医師の宴に現れた体を腫らした女の話

巻24第7話 行典薬寮治病女語 第七 今は昔、典薬頭(てんやくのかみ・医薬のことをつかさどる典薬寮の長官)□□という人がいました。 医薬の道については、すぐれた医師(くすし)であるので、公私にわたって重んじられていました。 ある年の七...
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巻二十四第六話 碁打ち・寛蓮の話

巻24第6話 碁擲寛蓮値碁擲女語 第六 今は昔、第六十代醍醐天皇の御代に、碁勢(ごせい)と寛蓮(かんれん)という、碁の名人である二人の僧がいました。 寛蓮は家柄も卑しくなく、宇多院の殿上法師であったので、天皇も常に召して碁のお相手になさ...
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巻二十四第五話 百済川成が飛弾の工に挑んだ話 

巻24第5話 百済川成飛騨工挑語 第五 今は昔、百済川成(くだらのかわなり)※1と呼ばれる絵師がいました。世に並ぶものが無いほどの名人でした。滝殿(たきどの)※2の石もこの川成が設計したものです。同じ御堂の壁の絵も、この川成が描いたもので...
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巻二十四第四話 袖から何十本も針を抜き出し立ててみせる老婆の話

巻24第4話 於爪上勁刷返男針返女語 第四 今は昔、□天皇の御代に、右近の陣に□の春近という舎人がありました。蹴鞠を得意としていました。 その春近が後の町(后町)の井の井筒によりかって、若い女たちが水汲みにたくさんやってくるのに見せようと...
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巻二十四第三話 小野宮の饗宴で九条大臣が素晴らしい衣を授かった話

巻24第3話 小野宮大饗九条大臣得打衣語 第三 今は昔、小野宮大臣が、大宴会を催したとき、九条大臣が主賓としてお越しになりました。 宴の引き出物は、女物の装束ひとそろいでした。それには砧で打った紅色の細長が添えられておりました。前駆が手...
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巻二十四第二話 高陽親王が作ったからくり人形の話

巻24第2話 高陽親王造人形立田中語 第二 今は昔。高陽親王(かやしんのう)という方がいらっしゃいました。桓武天皇の皇子で、とても優れた工芸家として有名な方でした。京都に京極寺という寺院がありますが、これはこの高陽親王が建立したお寺です。...
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巻二十四第一話 優れた人たちが不思議なものを目撃する話

巻24第1話 北辺大臣長谷雄中納言語 第一 今は昔、北辺の左大臣という方がいらっしゃいました。嵯峨天皇の皇子で、信(まこと)という名前でした。 一条の北のあたりに住んでいらっしゃったので、北辺の大臣と呼ばれていました。 いろいろなこと...
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