巻二十四(全)

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巻二十四第二十七話 死んだ詩人と詩を解する下女の話

巻24第27話 大江朝綱家尼直詩読語 今は昔、村上天皇の御代に、大江朝綱(おおえのあさつな)という文章博士がいました。 たいへん優れた学者であります。 長年、文章道をもって朝廷に仕え、少しも心もとない点がなく、ついに宰相(さいしょう・...
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巻二十四第二十六話 菅原文時、村上天皇から詩の優劣を訊かれ、逃げ出す

巻24第26話 村上天皇与菅原文時作詩給語 第廿六 今は昔、村上天皇は漢詩文をお好みになっておられましたが、あるとき、「宮の鶯、暁に囀(さえず)る」という題で詩をお作りになりました。  露濃緩語花底(つゆこまやかにしてかんごえんかのそこ...
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巻二十四第二十五話 三善清行と紀長谷雄の口論

巻24第25話 三善清行宰相与紀長谷雄口論語 第廿五 今は昔、醍醐天皇の御代に、参議(さんぎ・唐名は宰相。朝議に参加する公卿)三善清行(みよしのきよつら)という人がいました。 その当時、中納言・紀長谷雄(きのはせお)は文章得業生(もんじ...
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巻二十四第二十四話 鬼が弾く音に導かれた名手・源博雅の話

巻24第24話 玄象琵琶為鬼被取語 第廿四 今は昔、村上天皇の御代に、玄象(げんじょう)という琵琶※1がにわかに見当たらなくなってしまいました。これは皇室に代々伝わってきた由緒ある宝物であったのが、このようになくなってしまったので、天皇が...
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巻二十四第二十三話 盲目の琵琶法師・蝉丸に魅せられた源博雅の話

巻24第23話 源博雅朝臣行会坂盲許語 第廿三 今は昔、源博雅朝臣(みなもとのひろまさのあそん)という人がいました。延喜(えんぎ・第六十代醍醐天皇)の御子の兵部卿親王(ひょうぶきょうのみこ)と申す方の子です。いずれの道にも優れたお方であっ...
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巻二十四第二十二話 算術の不思議の話

巻24第22話 俊平入道弟習算術語 第廿二 今は昔、丹後前司(たんごのぜんじ・現在の京都府北部、丹後国の前の国司)高階俊平朝臣(たかしなのとしひらのあそん)という者がいました。 のちには法師になり、丹後入道と称していました。 その弟に...
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巻二十四第二十一話 笛の音に死を聞いた話

巻24第21話 僧登照相倒朱雀門語 第廿一 今は昔、登照(とうじょう)という僧がいました。 すべての人の人相を見、声を聞き、動作を知ることで、命の長短を相し、身の貧富を教え、その官位の高下を知らせてやりました。 このように相して絶対、...
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第二十四巻二十話 悪霊になった元妻の話

巻24第20話 人妻成悪霊除其害陰陽師語 第二十 今は昔、□(姓名欠字)という者がいました。長年夫婦としてくらした妻と離別しました。妻は深く恨み、嘆き悲しみ、その思いのために病気になり、数ヶ月病気に苦しみ、恨み嘆いて死んでしまいました。 ...
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巻二十四第十九話 播磨国の陰陽師・智徳法師のこと

巻24第19話 播磨国陰陽師智徳法師語 今は昔、播磨国(はりまのくに・現在の兵庫県南西部)の□□郡に陰陽師のことをする法師がいました。 名を智徳(ちとく)といいます。 長年、その国に住んで、この道を行っていましたが、この法師は陰陽道に...
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巻二十四第十八話 陰陽の術で人を殺す話

巻24第18話 以陰陽術殺人語 第十八 今は昔、主計頭(かずえのかみ)※1で、小槻糸平(おつきのいとひら)という者がおりました。その子に算の先生(さんのせんじょう)と呼ばれている男がおりました。名を茂助(もちすけ)と言いました。主計頭忠臣...
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巻二十四第十七話 賀茂保憲と安倍清明、覆物を占う(欠話)

巻24第17話 保憲清明共占覆物語 【解説】柳瀬照美 本話は表題のみの本文欠話。初めから欠脱していたか、とも思われる。 陰陽道の天才、賀茂保憲と安倍清明の術くらべ。表題より、覆い隠された物を当てる試合のようであったと推察される。 陰...
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巻二十四第十六話 安倍清明、師に従って道を習う

巻24第16話 安倍清明随忠行習道語 今は昔、天文博士・安倍清明(あべのせいめい)という陰陽師がいました。 昔の大家にも恥じぬほどのすぐれた陰陽師でありました。 幼いときから、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師について...
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巻二十四第十五話 賀茂忠行、息子・保憲の才を知る

巻24第15話 賀茂忠行道伝子保憲語 今は昔、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師(おんみょうじ)がいました。 その道については昔の名陰陽師にも恥じず、当時においても肩を並べる者がいませんでした。 そこで、公私にわたって重く用いられ...
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巻二十四第十四話 夢占いで妻の浮気を知った話

巻24第14話 天文博士弓削是雄占夢語 第十四 今は昔、[伴世継(とものよつぎ)]※1という者がおりました。穀蔵院(こくぞういん・民部省所管の倉庫)の使者として、その封戸(ふこ)の税を徴収する※2ために東国に行き、何日かしてから帰京する途...
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巻二十四第十三話 地神に追われた陰陽師の話

巻24第13話 慈岳川人被追地神語 第十三 今は昔、文徳天皇が崩御されました。陵墓の地を定める勅命を受けて、大納言安陪安仁が従者を連れて御陵の地に赴きました。 その時、慈岳(しげをか)の川人(かわひと)という陰陽師がいました。陰陽道にお...
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