巻六第二十四話 誤りで牛への生まれ変わりを決められた人の話

巻六(全)

巻6第24話 震旦夏侯均造薬師像得活語 第廿四

今は昔、震旦の唐の時代、冀州(河北省冀県)に夏侯均いう人がありました。

顕慶二年(西暦657年)、重病を得て、辛苦悩乱しました。四十余日後、悶絶して死にました。

冥途で裁きを受け、牛に生まれ変わることが決まりました。侯均は訴えました。
「私は昔、師僧に戒を受けました。薬師経を受持し、薬師如来の像をつくりました。私には罪がありません。どうして牛の身となり、苦を受けなければならないのでしょう」

侯均がこうして訴えるうち、二十四日がすぎました。調べてみると、侯均の陳述はみな真実であることがわかりました。

侯均は罪をゆるされました。死んで二十四日後に生き返り、これを語ったと語り伝えられています。

【原文】

巻6第24話 震旦夏侯均造薬師像得活語 第廿四
今昔物語集 巻6第24話 震旦夏侯均造薬師像得活語 第廿四 今昔、震旦の唐の代、勇州に夏の侯均と云ふ人有けり。 顕慶二年と云ふ年、身に重病を受て、辛苦悩乱して、既に四十余日を経たり。遂に悶絶して死ぬ。

【翻訳】 西村由紀子

【校正】 西村由紀子・草野真一

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