巻二十七

巻二十七

巻二十七第十五話 赤子を食らう白髪の老婆の話

巻27第15話 産女行南山科値鬼逃語 第十五 今は昔、ある所に宮仕えしている若い女がおりました。父・母、親類縁者もおらず、少しの知り合いすらいなかったので、立ち寄る所もなくて、ただ局にいて、「もし、病気になった時に、どうしたらいいのだろう...
巻二十七

巻二十七第十四話 東国から上ってきた人が鬼に喰われた話

巻27第14話 従東国上人値鬼語 第十四 今は昔、東の方から上京してきた人が、勢田橋(瀬田の唐橋。滋賀県大津市瀬田川にかかる。東国からの入り口)を渡って来て、日が暮れたので、人家に宿を借りようとした所、その辺に人も住まない大きな家があり、...
巻二十七

巻二十七第十三話 安義橋の鬼が弟に化けて命を奪った話

巻27第13話 近江国安義橋鬼噉人語 第十三 今は昔、近江(滋賀県)守□□という人が、その国に赴任していた時期に、館の男たちの間に勇猛な者が多数いて、今昔物語りなどをして、碁・双六を打って、遊びほうけては喰って酒を飲んでいると「この国に安...
巻二十七

巻二十七第十二話 朱雀院で餌袋のお菓子がとられた話

巻27第12話 於朱雀院被取餌袋菓子語 第十二 今は昔、六条院の左大臣と申し上げる方がいらっしゃいまして、お名前を重信と申し上げます。 その大臣が方違えに朱雀院へ一夜お泊りになるということで、石見守藤原頼信という、当時瀧口(たきぐち、*1...
巻二十七

巻二十七第十一話 料理人が伴大納言の霊を見た話

巻27第11話 或膳部見善雄伴大納言霊語 第十一 今は昔、□□の頃、天下に咳病が蔓延して、誰もが病み、貴賎を問わず病に倒れておりました。 ある所に料理人をしていた男がおり、仕事を全て終えたので、午前零時頃になって皆が寝静まった頃に家を出た...
巻二十七

巻二十七第十話 油を盗む怪異の話

巻27第10話 仁寿殿台代御灯油取物来語 第十 今は昔、延喜(醍醐天皇)の御世に、物が仁寿殿の対代(たいしろ、建て増しの部屋)の灯用油を夜半くらいに取りに来て、紫宸殿(ししんでん、*1)の方に去っていくということが毎夜ありました。 天皇...
巻二十七

巻二十七第九話 未明の役所で消えた役人の話

巻27第9話 参官朝庁弁為鬼被噉語 第九 今は昔、太政官(だいじょうかん、中央官庁)が朝庁という事を行っていました。未明に人が参るものでした。 その時、史(さかん、三等官)□□の□□という者が遅刻し、弁(史の上司)は早出して席に座って...
巻二十七

巻二十七第八話 内裏で起こったバラバラ殺人、手足だけが見つかった話

巻27第8話 於内裏松原鬼成人形噉女語 第八 今は昔、小松(光孝)天皇の御世に、武徳殿の松原を若い女三人が連れ立って内裏へ向かって歩いていました。八月十七日の夜だったので、大変明るい月夜でございました。 すると、松の木のもとに男が一...
巻二十七

巻二十七第七話 在原業平の女が鬼に食われた話

巻27第7話 在原業平中将女被噉鬼語 第七 今は昔、右近の中将在原業平という人がおりました。大変な女好きで、世に美人がいると聞けば、官人でも人の娘でも見逃さず、全て恋人にしたいと思っている所に、ある人の娘の容姿といい心映えといい、この世の...
巻二十七

巻二十七第六話 銅の精が人の形になって掘り出された話

巻27第6話 東三条銅精成人形被掘出 第六 今は昔、東三条殿に式部卿宮(重明親王)と申し上げる人がお住まいになられていた時に、南の山に三尺(約90cm)くらいの太った五位が時々歩いていたのを、式部卿宮がご覧になられて不審に思われていました...
巻二十七

巻二十七第五話 水の精が人になって捕らえられた話

巻27第5話 冷泉院水精成人形被捕語 第五 今は昔、陽成院がおいでになられた所は、二条大路の西桐院大路の西、大炊御門大路の南、油小路の東にある二町でした。院がおかくれになられた後は、その冷泉小路を開いて、北の町は人家になって、南の町に池が...
巻二十七

巻二十七第四話 黄昏時に榎木に登る単衣の話

巻27第4話 冷泉院東洞院僧都殿霊語 第四 今は昔、冷泉院小路の南、東桐院小路の東の隅は僧都殿と言って大変悪い所でした。だから、そう簡単には住む人もありませんでした。 ところで、その冷泉院小路の真北は左大弁の宰相、源扶義という人の家であり...
巻二十七

巻二十七第三話 桃園の柱の穴から幼児の手が出てきて人を呼ぶ話

巻27第3話 桃園柱穴指出児手招人語 第三 今は昔、桃園という所は今の世尊寺でした。元々は寺でもなかった時に、西宮の左大臣(源高明)がお住みになられていました。 その時に寝殿の東北の母屋の柱に、木に節穴が開いていました。夜になると、そ...
巻二十七

巻二十七第二話 宇多院が霊と対話した話

巻27第2話 川原院融左大臣霊宇陀院見給語 第二 今は昔、川原院は、融の左大臣(源融)が造ってお住まいなされた家でした。陸奥国(東北地方)の塩窯の塩水を汲み、池に湛えさせた様子は、様々になんとも言いようのないくらい素晴らしい風流なものを造...
巻二十七

巻二十七第一話 雷に打たれて死んだ男と怨霊の話

巻27第1話 三条東洞院鬼殿霊語 第一 今は昔、京の三条大通より北、東洞院大路の東の角は、鬼殿と呼ばれていました。霊が住んでいると伝えられていました。 昔、都が京に移る前(平安遷都の前)、その三条東洞院の鬼殿の跡に、大きな松の木がありまし...