巻二(全)

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巻二第四十一話 衣服を買わない異様な風体の長者の話

巻2第41話 舎衛城婆提長者語 第四一 今は昔、天竺(インド)の舎衛城(コーサラ国の首都)に一人の長者がありました。名を婆提(ばだい)といいます。家は大いに富み、無量の財宝にあふれていました。飲食・衣服・金銀などの珍しい財宝が倉に積みあげ...
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巻二第四十話 聖者になった奴隷の話

巻2第40話 曇摩美長者奴富那奇語 第(四十) 今は昔、天竺(インド)に放鉢国(ほうはちこく)という国がありました。その国に一人の長者があり、名を曇摩美(どんまみ)といいました。たいへんな富豪で、その国第一の人でした。二人の子があって、兄...
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巻二第三十九話 何をしても食べることができず餓死に追い込まれた僧の話

巻2第39話 天竺利群史比丘語 第(卅九) 今は昔、天竺(インド)に利群史という比丘(僧)がありました。この人は在家(出家する前)のときにも、衣食に乏しく貧しかったのですが、比丘になっても、さらに衣食を得ることができませんでした。 ある...
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巻二第三十八話 盲目の物乞いに生まれ変わった大金持ちの話

巻2第38話 天竺祖子二人長者慳貪語 第(卅八) 今は昔、天竺(インド)に親子の長者がありました。父も子もともに家は大いに富み、ゆたかな財宝をもっていました。しかし、たいへんな慳貪(吝嗇)で、施の心は全くありませんでした。たまに物乞いが家...
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巻二第三十七話 全身から炎を出し咆哮する餓鬼の話

巻2第37話 満足尊者至餓鬼界語 第(卅七) 今は昔、仏の御弟子である満足尊者が神通をもって、餓鬼界に行き、ひとりの餓鬼を見ました。たいへんに恐怖(おそろ)しい形をしていて。身の毛が竪(よだ)ち、心迷(まど)うものでした。身から火を出し、...
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巻二第三十六話 糞尿を食べる奇怪な子の話

巻2第36話 天竺遮羅長者子閻婆羅語 第(卅六) 今は昔、天竺の毗舎離城(びしゃりじょう、バイシャリ)に長者がありました。名を遮羅(しやら)といいます。その妻は、懐任した後、身が臭く穢れて、すべての人が近づかなくなりました。月が満ちて、男...
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巻二第三十五話 猪の頭をもつ異形の天人の話

巻2第35話 天竺異形天人降語 第(卅五) 今は昔、天竺に一人の天人が降りたちました。全身は金色に輝いていましたが、頭は猪の頭でした。不浄の所から生ずるさまざまな生物を求めて食していました。 人々はこの天人を見て、奇異に思い、仏にたずね...
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巻二第三十四話 牛・馬・猪・羊・犬などの頭を備えた不気味な魚の話

巻2第34話 畜生具百頭魚語 第(卅四) 今は昔、天竺で、仏が諸の比丘(僧、弟子)とともに、梨越河(カシミール地方にある川)のほとりを行くことがありました。 その河に人が集まって、魚を捕っていました。網に魚を得たのです。そのは魚は、駝・...
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巻二第三十三話 目も耳も舌もなく生まれた子が財を得た話

巻2第33話 天竺女子不伝父財宝国語 第(卅三) 今は昔、天竺(インド)に国がありました。その国の習いとして、女子は家の財宝を得る権利を持っていませんでした。相続の権利を持っていたのは男子だけでした。もし、その家に男子がなければ(死んでし...
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巻二第三十二話 妻子と財産を捨て出家して臂を失った大臣の話

巻2第32話 舎衛国大臣師質語 第(卅二) 今は昔、舎利弗(サーリプッタ)尊者は、常に智恵の眼をもって衆生(人々)を見て、得度すべき者(出家して修行すべき者)を見きわめ、得度させていました。 そのころ、舎衛国(コーサラ国)に波斯匿王(プ...
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巻二第三十一話 死んでもすぐに生まれ子を失う不幸な女の話

巻2第31話 微妙比丘尼語 第(卅一) 今は昔、天竺に羅漢(聖者)の比丘尼(尼僧)がありました。名を微妙(みみょう)といいます。 多くの尼に向けて、自分が前世に犯した善悪の業を語りました。 「過去の世に、一人の長者がありました。家は大...
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巻二第三十話 三十二人の子を殺した王の話

巻2第30話 波斯匿王殺毗舎離卅二子語 第(三十) 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国、祇園精舎がある)に長者がありました。名を梨耆弥(りきみ)といいます。七人の子がありました。それぞれが成長し、夫・妻を持つほどになりました。第七の女子を毗...
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巻二第二十九話 淫奔な女に殺された仏弟子の話

巻2第29話 舎衛国群賊殺迦留陀夷語 第(廿九) 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国)に婆羅門(バラモン=カーストの最上位、僧侶階級)がありました。深い道心があり、常に迦留陀夷(かるだい、カールダーイー)羅漢(高僧)を供養していました。この...
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巻二第二十八話② 釈迦族の滅亡(武者小路実篤『わしも知らない』元話)

巻2第28話 流離王殺釈種語 第(廿八) (①より続く) しばらく経って、好苦は流離王に進言しました。 「やはり、あの釈種は罸つべきです」 王はこれを聞き、ふたたび兵を集め、迦毗羅城に軍を進めました。 そのとき、目連が、仏の御許に...
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巻二第二十八話① 身分をいつわって后とされた奴隷女の話(武者小路実篤『わしも知らない』元話)

巻2第28話 流離王殺釈種語 第(廿八) 今は昔、天竺の迦毗羅衛国(かぴらえこく、カピラヴァストゥ)は仏(釈迦)が生まれた国です。仏の親類は、みなその国にありました。釈種と呼ばれ、その国においてもっとも位の高い家柄でした。天竺では迦毗羅衛...
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