巻十九巻十九第二十八話 地獄から母を救い出した子の話 巻19第28話 僧蓮円修不軽行救死母苦語 第廿八 今は昔、大和国宇陀郡(奈良県宇陀市)に安日寺という寺がありました。蓮円という僧がおりました。蓮円の母は邪見(よこしまな心)が深く、因果の理を理解しませんでした。 やがて年月が経ち、母は老... 2025.04.07巻十九巻三十一
巻十九巻十九第二十七話 児よりも母を助けた話 巻19第27話 住河辺僧値洪水棄子助母語 第廿七 今は昔、高潮が上がって、淀川の水かさが増し、河辺の多くの人の家が流れました時に、年のほど五、六歳くらいで、色白く見た目も端正な、気配りもしっかりできる男の子をもって、片時も身も離さず可愛が... 2021.07.26巻十九
巻十九巻十九第二十六話 下野公助、父に打たれても逃げなかった話 巻19第26話 下野公助為父敦行被打不逃語 第廿六 今は昔、右近の馬場で手番(てつがい・射手を左右に分けて二人一組で勝負を競う。五月の節句の宮中行事)が行われたとき、中将・大将たちが馬場で着座していました。 その日、下野公助(し... 2020.10.10巻十九
巻十九巻十九第二十五話 親でないと語る親に孝養をつくした話 巻19第25話 滝口藤原忠兼敬実父得任語 第廿五 今は昔、□院の天皇の御代、夏ごろ、多くの殿上人が大極殿に涼みに行くことがありました。多くの滝口所の者(警護の武士)がお供につきました。 帰ろうとして、八省院の北の廊を歩んでいると、にわか... 2025.02.26巻十九
巻十九巻十九第二十四話 安倍清明、泰山府君の祭祀を行う 巻19第24話 代師入太山府君祭都状僧語 今は昔、□□という人がいました。 □□の僧であります。 なかなかの名僧なので、皇室・一般から共に尊ばれていましたが、重い病気にかかり、悩み患っているうち、日に日に病が重篤になったので、師のもと... 2019.10.07巻十九
巻十九巻十九第二十三話 師の遺言を守って死んだ流浪の弟子の話 巻19第23話 般若寺覚縁律師弟子僧信師遺言語 第廿三 今は昔、般若寺という寺に、覚縁律師という人がありました。もとは東大寺の僧であり、千攀僧都という人の弟子として、優れた学生でした。のちに東寺の僧となり、広沢流の寛朝僧正という人の弟子と... 2025.02.11巻十九
巻十九巻十九第二十二話 そうめんが蛇に変わった話 巻19第22話 寺別当許麦縄成蛇語 第廿二 今は昔、□寺の別当に□という僧がありました。僧のすがたをしていましたが。よこしまな心をもち、毎日京中の人を集めて遊び戯れ、酒を呑み、魚類を食べることに明け暮れ、して、いささかも仏事を営むことはあ... 2025.01.15巻十九
巻十九巻十九第二十一話 酒に棲む無数の蛇の話 巻19第21話 以仏物餅造酒見蛇語 第廿一 今は昔、比叡山の僧がありました。山にいてもうだつがあがらないので、山を去り、もとの生土(うぶすな、地元)の摂津の国(大阪府と兵庫県)で、妻をもうけて暮らしていました。里で法事や仏経の供養などがあ... 2024.12.05巻十九
巻十九巻十九第二十話 別当の娘とつきあうのをやめた話 巻19第20話 大安寺別当娘許蔵人通語 第二十 今は昔、大安寺の別当の娘で美麗で姿のうるわしい娘がありました。彼女のもとに、蔵人の□という者が、忍んで毎晩通っておりました。たがいに愛しく、去り難く相思っておりましたから、時には昼もとどまっ... 2024.09.24巻十九
巻十九巻十九第十九話 山中で死んだ僧に出会った話 巻19第19話 東大寺僧於山値死僧語 第十九 今は昔、東大寺に住んでいる僧がありました。(仏にそなえるための)花を摘むため東の奥山に入り、道をあやまって迷ってしまいました。 谷と谷にはさまれた道を、どことも知れず、夢のように思いながら歩... 2024.08.05巻十九
巻十九巻十九第十八話 下ネタ連発で皇后を愚弄した僧侶の話 巻19第18話 三条太皇大后宮出家語 第十八 今は昔、三条の太皇大后宮(藤原遵子、四条が正しい)は、三条の関白太政大臣(藤原頼忠)の娘でした。 円融天皇の后となり、たいへんに時めいていましたが、やがて年月が積もり、老を重ねました。「出家... 2024.07.12巻十九
巻十九巻十九第十七話 みやびな暮らしをなつかしんだ大斎院の話 巻19第17話 村上天皇御子大斎院出家語 第十七 今は昔、大斎院(選子内親王)と申す方は村上天皇の御子であり、円融天皇の御妹でありました。その御代に(賀茂の)斎院となられました。世にもすばらしく趣ぶかい方でしたから、斎院には上達部や殿上人... 2024.06.09巻十九
巻十九巻十九第十六話 譲位せず崩御した天皇(欠話) 巻19第16話 顕基中納言出家受学真言語 第十六(欠文) 【解説】草野真一 源顕基の出家を語る。譲位せず亡くなった後一條天皇の崩御に際しての出家であった。『発心集』『十訓抄』『古今著聞集』などに記された記事と同じ内容と思われる。 ... 2024.05.03巻十九
巻十九巻十九第三十二話 平維叙、神に恩返しをされる 今は昔、陸奥守(むつのかみ・現在の東北地方の国司)平維叙(たいらのこれのぶ)という者がいました。貞盛朝臣(さだもりのあそん・平将門を誅殺した勲功者)の子であります。任国にはじめて下り、神拝(じんぱい・新任国司の行事)ということをしようと、... 2021.02.19巻十九
巻十九巻十九第十五話 公任の大納言、出家して長谷に住む(欠話) 巻19第15話 公任大納言出家籠居長谷語 第十五 【解説】 柳瀬照美 本話は表題だけ留める本文欠話。当初よりの欠脱かと思われる。 藤原公任(ふじわらのきんとう)は、漢詩・管弦・有職に長じた歌人。藤原道長に対して才能を誇示した『三舟の... 2020.01.21巻十九