巻三十一巻三十一第三十一話 太刀帯の詰め所で魚を売っていた老婆の話 巻31第31話 太刀帯陣売魚嫗語 第卅一 今は昔、三条天皇が皇太子でいらっしゃる時に、太刀帯(たちはき・皇太子を護衛する役職)の詰め所にいつも訪れて、魚を売る女がいました。 太刀帯たちが、女の売っていた魚を買って食べると、味が美味し... 2020.10.27巻三十一
巻二(全)巻二第一話 父の死に接した釈迦の話 巻2第1話 仏御父浄飯王死給時語 第一 今は昔、仏の父である迦毗羅国(かぴらこく。釈迦族の王国)の浄飯王(じょうぼんおう、スッドーダナ王)は年老いて病にかかり、日ごとに重くなって悩み乱れていました。痛みはまるで木の実から油をしぼるように身... 2020.10.26巻二(全)
巻二十九巻二十九第三話 正体不明、謎の女盗賊の話(芥川龍之介『偸盗』元話①) 巻29第3話 不被知人女盗人語 第三 今は昔、いつ頃のことでございましょうか、侍ほどの者で、誰だとは知りませぬが、年は三十くらい、すらりとした背格好の、少し赤ひげの男がいました。 ある夕暮れ時に、␣(欠字)と␣(欠字)との辺りを通っていま... 2021.08.30巻二十九
巻三十一巻三十一第二十二話 讃岐国の満濃池をくずす国司のこと 巻31第22話 讃岐国満農池頽国司語 第廿二 今は昔、讃岐国(さぬきのくに・現在の香川県)郡に満濃(まの)の池という大きな池がありました。高野の大師(弘法大師)がこの国の人のためを思って、大勢の人を集めて築きなされた池であります。池の周り... 2020.10.24巻三十一
巻五(全)巻五第二十三話 鼻のない九百九十九匹の猿の話 巻5第23話 舎衛国鼻欠猿供養帝釈語 第廿三 今は昔、天竺の舎衛国(コーサラ国)に山がありました。その山に一本の大樹があり、千匹の猿が住んでいました。みな心をひとつにして、帝釈天を供養していました。 千匹の猿のうち、九百九十... 2020.08.19巻五(全)
巻三十一巻三十一第二十一話 能登国の鬼の寝屋島のこと 巻31第21話 能登国鬼寝屋島語 第廿一 今は昔、能登(のと・現在の石川県北部)の国の沖に寝屋(ねや)という島があります。その島では、河原に石がころがっているように無数に鮑(あわび)がとれるというので、この国に光の島という浦がありますが、... 2020.10.18巻三十一
巻十七(全)巻十七第十六話 流刑の島で地蔵をあがめた聖人の話 巻17第16話 伊豆国大島郡建地蔵寺語 第十六 今は昔、伊豆の国大島の郡(東京都大島町)に、鳥獣もおとずれることのない絶海の孤島がありました。これ以上の悪所はないといえる辺地です。その島の西南に、たいへん霊験に満ちた土地がありました。... 2020.10.17巻十七(全)
English4-25 Priest Aryadeva visits Master Nagarjuna Once upon a time, there lived a Buddhist philosopher called Nagarjuna in western India. He had infinite wisdom and bene... 2020.10.16English
巻二十(全)巻二十第十八話 別人の身体に宿って生き返った女の話 巻20第18話 讃岐国女行冥途其魂還付他身語 第十八 今は昔、讃岐の国山田の郡(香川県高松市)に女がいました。姓は布敷の氏です。この女は身に重い病を得ました。多くのめずらしい食物を門の左右に祭り、疫神(疫病神、災いをもたらす)を饗応しまし... 2021.02.24巻二十(全)
巻十九巻十九第六話 死んだ鴨の雄を慕って追ってきた雌鴨の話 巻19第6話 鴨雌見雄死所来出家語 第六 今は昔、京に一人の生侍(身分の低い若い侍)がありました。いつごろのことかはわかりません。家はとても貧しく、生きていくことすら苦しいありさまでした。 あるとき、妻がお産して、肉食をして体力をつけるこ... 2022.03.05巻十九
巻二十八巻二十八第五話 越前守為盛の六衛府の官人への言いわけ 巻28第5話 越前守為盛付六衛府官人語 第五 今は昔、藤原為盛朝臣(ふじわらのためもりのあそん)という人がいました。越前守(えちぜんのかみ・現在の福井県東部の国司)であったとき、六衛府の下級役人に支給すべき大粮米(だいろうのよね・官給の米... 2020.10.09巻二十八
巻一(全)巻一第三十八話 目と手足を失った盗賊たちの話 巻1第38話 舎衛国五百群賊語 第卅八 今は昔、天竺の舎衛国(しゃえこく、コーサラ国)に五百人の盗賊がおりました。波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)は盗賊たちをみな捕らえ、重い咎(刑)を課しました。両目をえぐり、手足を切断して、... 2020.09.25巻一(全)
巻五(全)巻五第二十二話 王子を待ち死んだ姫と二人の子の話 巻5第22話 東城国皇子善生人通阿䫂女語 第廿二 今は昔、東城国に明頸演現王(みょうきょうえんげんおう)という王がありました。王にはひとりの皇子があり、善生人(ぜんしょうにん)といいました。皇子には妻がありませんでした。また、西城国に王が... 2020.08.07巻五(全)
巻一(全)巻一第三十七話 子どもを護った執金剛神の話 巻1第37話 財徳長者幼子称仏遁難語 第卅七 今は昔、天竺に財徳長者という人がありました。幼い愛子があり、つねに「南無仏」ととなえるよう教えていました。子は教えにしたがい、常に「南無仏」ととなえていました。寒いときも、暑いときも、心に... 2020.09.20巻一(全)
巻二十(全)巻二十第十七話 施しをせず牡蠣を救った人の死後の話 巻20第17話 讃岐国人行冥途還来語 第十七 今は昔、讃岐国香水(かがわ)の郡坂田の郷(香川県高松市)に、一人の富人がありました。姓は綾の氏です。妻も同姓でした。 その隣に年老たる嫗(おうな、老婆)が二人ありました。ともに寡(やもめ)であ... 2021.01.08巻二十(全)