巻一(全)

巻一第十話 提婆達多が仏をあやめる話

巻1第10話 提婆達多奉諍仏語 第十 今は昔、提婆達多(だいばだった、デーヴァダッタ)という人がありました。釈尊の父方のいとこに当たります。提婆達多は釈尊の父・浄飯王の弟、黒飯王の子です。 提婆達多がいまだ太子だったころ、雁を射ました。...
巻十七(全)

巻十七第二話 乱暴者を地蔵菩薩と思い込んだ話

巻17第2話 紀用方仕地蔵菩薩蒙利益語 第二 今は昔、尾張に、長く公にとつとめた後、出家して、入道と称した人がありました。その人の家に一人の乱暴者がありました。武蔵介紀用方(むさしのすけきのもちかた)といいました。用方は武勇をもって聞こえ...
巻一(全)

巻一第九話 舎利弗の超能力合戦

巻1第9話 舎利弗与外道術競語 第九 今は昔、釈迦如来の弟子・舎利弗(しゃりほつ/シャーリプトラ/サーリプッタ)尊者は、外道(仏教以外の教えを奉ずる者)の子でした。母の胎内にあるうちから智恵があり、母の腹を破って出てこようとしました。母は...
巻二十二(全)

巻二十二第四話 内麿の大臣、あばれ馬を乗りこなす

巻22第4話 内麿大臣乗悪馬語第四 今は昔、内麿(うちまろ)の右大臣と申し上げる方は、房前(ふささき)の大臣のお孫に当たり、大納言・藤原真楯(ふじわらのまたて)と申した方の御子であります。生まれつきすぐれた才能をお持ちで、殿上人(てんじょう...
巻一(全)

巻一第八話 サールナート(鹿の園)で説いた(釈迦伝15)

巻1第8話 釈迦為五人比丘説法語 第八 今は昔、釈迦如来は波羅奈国(ばらなこく、ヴァラナシ=ベナレス)に赴き、憍陳如(きょうちんにょ)など、5人の比丘が修行しているところに行きました。 5人は如来がやってくるのを見て、語りあ...
巻一(全)

巻一第七話 そして彼はブッダとなった(釈迦伝14)

巻1第7話 菩薩於樹下成道語 第七 今は昔、天魔は種々の方法によって、菩薩の成道(悟りを開くこと)を妨げようとしました。しかし、菩薩は芥子ほども動かされることはありませんでした。端正な天女の形も刀で刺し殺される恐怖も慈悲の力で追いやり、二...
巻二十(全)

巻二十第二話 中国の天狗が痛めつけられる話

巻20第2話 震旦天狗智羅永寿渡此朝語 第二 今は昔、震旦(中国)に智羅永寿(ちらようじゅ)というとても法力の強い天狗がおり、日本に渡ってきました。 日本の天狗に語ります。 「わが国には、身分の高い得行の僧が多くあるが、われわれの思う...
巻二十八

巻二十八第一話 誤って妻に声をかけ平手打ちされた女好きの話

巻28第1話 近衛舎人共稲荷詣重方値女語 第一 今は昔、二月の初午の日は、昔から都中の身分の上中下問わずみんなが稲荷詣といって伏見にお参りに集まる日でした。 それについて、いつもより人が多く参詣した年がありました。その日近衛府の舎人たち...
巻一(全)

巻一第六話 魔がおそいかかる(釈迦伝13)

巻1第6話 天魔擬妨菩薩成道語 第六 今は昔、菩薩(やがて悟りを開く人、この場合は釈迦)が菩提樹の下で瞑想しているとき、「過去の諸仏が無上道(悟り)を達成したとき、何に座っていたのだろうか」と考えました。そして、「草の上に座るべきだ」と結...
巻二十二(全)

巻二十二第三話 房前の大臣が北家の祖となる話

巻22第3話 房前大臣始北家語 第三 今は昔、房前大臣(ふささきのおとど、藤原房前)と申し上げる方がおいでになりました。この方は淡海公(たんかいこう・藤原不比等)の次男であります。生まれつき非常にすぐれた才能を持っておられたので、淡海公が...
巻一(全)

巻一第五話③ 死んじまったらおしまいだ(釈迦伝12)

巻1第5話 悉達太子於山苦行語 第五 (巻一第五話②より続く) 太子は迦蘭仙の苦行所に入りました。?陳如(きょうちんにょ、釈尊の最初の弟子となる)ら、5人が修行していた場所です。 太子は尼連禅河(にれんぜんが、ネーランジャラー川)の河...
巻二十二(全)

巻二十二第二話 藤原不比等と子供たち

巻22第2話 淡海公継四家語第二 今は昔、淡海公(たんかいこう)と申し上げる大臣がおいでになりました。実名は不比等(ふひと)と申し上げます。大織冠(だいしょくかん・藤原鎌足)のご長男で、母は天智天皇のお后であります。 さ...
巻一(全)

巻一第五話② リクツだけじゃダメなんだ(釈迦伝11)

巻1第5話 悉達太子於山苦行語 第五 (巻一第五話①より続く) 太子は阿羅邏(あらら)仙人のもとに参りました。 天人たちが仙人に告げました。 「悉達(しっだ)国の王子が、国を捨て、父王と別れて、無上正真の道を求め、一切衆生の苦を救う...
巻一(全)

巻一第五話① 苦行の理由(釈迦伝10)

巻1第5話 悉達太子於山苦行語 第五 今は昔、悉達太子は出家して、跋伽(ばか)仙人の苦行林に入りました。仙人は太子を迎え、深く敬って言いました。 「多くの仙人には威光というものがありません。だからこそあなたをお迎えしたいと思ったのです」...
巻五(全)

巻五第七話 生きている息子の肉を食べて生き残る王の話

巻5第7話 波羅奈国羅睺大臣擬罸国王語 第七 今は昔、天竺の波羅奈国(ヴァーラーナシー)に大王がおりました。寝ている間に王宮の守護神がやってきて、「羅睺(らご)大臣が王位を奪う為に大王を殺させようとしている。すぐに国の外へ出てお逃げなさい...
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