巻六(全)

巻六第三十五話 さとりを求めて旅する善財童子に救われた男の話

巻6第35話 孫宣徳書写花厳経語 第卅五 今は昔、震旦(中国)の唐の時代、朝散大夫(名誉職の役人)孫宣徳という人がありました。永安県の人です。 因縁があったのでしょう、宣徳は願を発して華厳経を書写しようとしました。しかし、不信ゆえにこの...
巻十一(全)

巻十一第二十二話 伐ろうとすると人が死ぬ古木の話

巻11第22話 推古天皇造元元興寺語 第廿二 今は昔、推古天皇という女帝の御代に、この朝に仏法がさかんになり、堂塔を造る人も世に多くありました。天皇も、銅製の丈六(一丈六尺、約4.85メートル。仏像にもっとも適当とされる大きさ)の釈迦の像...
巻二(全)

巻二第三十二話 妻子と財産を捨て出家して臂を失った大臣の話

巻2第32話 舎衛国大臣師質語 第(卅二) 今は昔、舎利弗(サーリプッタ)尊者は、常に智恵の眼をもって衆生(人々)を見て、得度すべき者(出家して修行すべき者)を見きわめ、得度させていました。 そのころ、舎衛国(コーサラ国)に波斯匿王(プ...
巻二十四

巻二十四第四十二話 美しい貝に思いを託した話

巻24第42話 朱雀院女御失給後女房読和歌語 第四十二 今は昔、朱雀院の女御(慶子)と申し上げる方は、小野宮太政大臣(藤原実頼)の御娘であります。 この女御は、はかなくお亡くなりになってしまいました。 ところで、この女御のお側にお仕え...
巻二十(全)

巻二十第四十四話 下毛野敦行、自邸の門より隣人の死棺を出す

巻20第44話 下毛野敦行従我門出死人語 第四十四 今は昔、右近将監(うこんのしょうげん・右近衛府の三等官)下毛野敦行(しもつけののあつゆき)という近衛舎人がいました。若いころから人望のあった者です。容貌・人品・風采・人柄をはじめ、乗...
巻二十(全)

巻二十第四十三話 若い甥のために祈祷しなかった左大将の話

巻20第43話 依勘文左右大将可慎枇杷大臣不慎語 第四十三 今は昔、朱雀院(朱雀天皇)の御代、天慶(938-947)のころ、天文博士が「月が大将の星を犯す」という勘文を奉ったことがありました。このことによって、左右の近衛大将は、重く慎しむ...
巻二十(全)

巻二十第四十二話 仙人となって空を飛べるようになった女の話

巻20第42話 女人依心風流得感応成仙語 第四十二 今は昔、大和国宇陀郡(奈良県宇陀市)に住む女人がありました。常に心に風流を宿し、清廉で高潔な心を持っていました。七人の子の親となりましたが、貧しく、食物がありませんでした。そのため、子ど...
巻二十四

巻二十四第四十一話 皇を慕う后の恋の歌

巻24第41話 一条院失給後上東門院読和歌語 今は昔、一条院が崩御されたのち、後一条院がまだ幼少でおわしたとき、かたわらにあった撫子の花を無心に摘み取られたのを母后・上東門院(じょうとうもんいん・藤原彰子)がご覧になって、こうお詠みになら...
巻三

巻三第十一話 竜の娘を妻とした釈迦族の男の話

巻3第11話 釈種成竜王聟語 第(十) 今は昔、天竺では四姓のうちの刹帝利(クシャトリヤ)に属するものが国王となりました。この階級以外に国王になる家柄はありません。その中で釈種というのは釈迦如来の御一族のことをいいました。仏の御一族という...
巻六(全)

巻六第三十四話 地獄で蓮華蔵世界に生まれた男の話

巻六第三十四話 地獄で蓮華蔵世界に生まれた男の話 巻6第34話 震旦空観寺沙弥観花蔵世界得活語 第卅四 今は昔、震旦(中国)の空観寺という寺に、一人の沙弥(小僧)がありました。名を定生といいます。沙弥でありながら、僧法を犯していましたし...
巻二十(全)

巻二十第四十一話 民を思い行幸を中止した中納言の話

巻20第41話 高市中納言依正直感神語 第四十一 今は昔、持統天皇という女帝の御代に、中納言大神の高市麿(三輪高市麻呂)という人がありました。まっすぐな心をもち、智恵を備えていました。漢籍をまなび、すべての道に明らかでした。天皇はこの人に...
巻二十四

巻二十四第四十話 円融天皇の葬送の歌

巻24第40話 円融院御葬送夜朝光卿読和歌語 今は昔、円融法皇が崩御なさって、紫野にご葬送申し上げましたが、先年、この地に子(ね)の日の行幸があったことなど思い出して、人びとが深い悲しみに打たれているとき、閑院左大将(かんいんのさだいしょ...
巻二十(全)

巻二十第四十話 軽蔑し馬から下りずに施しをした話

巻20第40話 義紹院不知化人被返施悔語 第四十 今は昔、義紹院という僧がありました。元興寺(奈良県奈良市)のやんごとなき学生(がくしょう)でした。 あるとき、京から元興寺に行くことがありました。冬だったのでとても寒く、泉川原(泉川、奈...
巻六(全)

巻六第三十三話 華厳経の偈をとなえて蘇生した男の話

巻6第33話 震旦王氏誦華厳経偈得活語 第卅三 今は昔、震旦(中国)の京師(けいし、都)に人がありました。姓は王氏、戒律を守らず、善を修することもありませんでした。 文明元年(684年)王氏は病にかかり死にました。しかし、左右の脇は暖か...
巻二十(全)

巻二十第三十九話 川辺の聖人にやりこめられた話

巻20第39話 清滝河奥聖人成慢悔語 第卅九 今は昔、清滝河(清滝川)の奥に庵をつくり、長く修行をした僧がありました。「水瓶に水を入れたい」と思うときは、水瓶を飛ばして、川水をくませていました。 「これほどの行人はないだろう」と、思うと...
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