巻十九

巻十九第十二話 余命いくばくもない老人が仏となる話

巻19第12話 於鎮西武蔵寺翁出家語 第十二 今は昔、仏道を修行するため、諸国を旅する僧がありました。鎮西(九州)を流浪しているとき、□国の□坂という所に、道祖神(さいのかみ)がありました。僧はその道祖神の祠のあたりで宿をとりました(野宿...
巻二十(全)

巻二十第三十四話 鯰になった父を食って死んだ男の話

巻20第34話 出雲寺別当浄覚父成鯰肉得現報忽死語 第卅四 今は昔、上津出雲寺という寺がありました。造立から久しく経って、堂が倒れ傾いてきましたが、修理をしようという人がありませんでした。かつて伝教大師(最澄)が震旦(中国)にいて達磨宗(...
巻十一(全)

巻十一第十四話 藤原鎌足と不比等が興福寺を築いた話

巻11第14話 淡海公始造山階寺語 第十四 今は昔、大織冠(藤原鎌足)がまだ内大臣になられず、なんの役職にも就いていないとき、女帝・皇極天皇の御代のことです。御子は(中大兄皇子、天智天皇)は春宮(皇太子)でいらっしゃいました。二人はと...
巻六(全)

巻六第二十二話 夢のお告げで妻を得た話

巻6第22話 震旦貧女銭供養薬師像得富語 第廿二 今は昔、震旦の田舎に一人の女がありました。貧しく、寡(やもめ、独身)であり、塵ほどの貯えもありませんでした。ただ、銅の銭が一文あるばかりでした。 女は思いました。「この銭一文で、一生を...
巻二(全)

巻二第二十五話 身を投げても毒をあおっても死ななかった男の話

巻2第25話 波羅奈国大臣願子語 第(廿五) 今は昔、天竺の波羅奈国(ばらなこく、ヴァラナシ)に、一人の大臣がありました。家は大いに富み、財豊かでした。 この人には子がありませんでした。このことを昼夜朝暮に歎き悲んでいましたが、子を...
巻十七(全)

巻十七第三十六話 女が髪に猪の油をつけていることを見抜いた行基の話

巻17第36話 文殊生行基見女人悪給語 第卅六 今は昔、行基菩薩という聖がありました。五台山に住むといわれる文殊菩薩が、わたしたち衆生を利益するために、行基として生まれなさったのです。 而るに、古京(奈良)の元興寺の村に、法会を開く人があ...
巻二十六

巻二十六第五話③ 児の発見と蘇生(埋められた児の話③)

巻26第5話 陸奥国府官大夫介子語 第五 (②より続く) かの伯父は、急に児の顔を見たくなって、恋しく思いました。従者たちはみな出払っていて、呼ぶことができませんでした。それでも恋しく思ったので、舎人男が一人あったのに命じて、「馬に鞍を...
巻二十(全)

巻二十第三十三話 吉志火麿、母を殺そうとして報いを受ける

巻20第33話 吉志火麿擬殺母得現報語 第卅三 今は昔、武蔵国多磨郡(東京都多摩市)鴨郷に、吉志火丸(きしのひまろ)という者がいました。 その母は、日下部真屓(くさかべのまとじ)であります。 聖武天皇の御代に、火丸は筑前守□□とい...
巻六(全)

巻六第二十一話 七体の薬師の力で冥府から甦った男の話

巻6第21話 震旦温州司馬造薬師像得活語 第廿一 今は昔、震旦の温州に司馬(軍務官)がありました。とても重い病にかかり、癒えることもなく久しくありました。もはや死ぬばかりだと歎いていました。 親族や従者たちが集まり、泣き悲しみ、歎き合いま...
巻十七(全)

巻十七第三十五話 泣き叫んだ弥勒菩薩像の話

巻17第35話 弥勒為盗人被壊叫給語 第卅五 今は昔、聖武天皇の御代、奈良に都があったとき、勅命があって、夜間に都を巡回する人がありました。 ある晩の夜半ごろ、葛木の尼寺(葛城寺、奈良県葛城市)の前の蓼原(たではら、墓原説あり)の中に、人...
巻二十三(全)

巻二十三第二十話 追剥ぎを蹴り飛ばした僧正の話

巻23第20話 広沢寛朝僧正強力語 第(二十) 今は昔、広沢という所に寛朝僧正(かんちょうそうじょう)と申す方がおられました。この並の臣下の出ではなく、式部卿宮(しきぶのきょうのみや・宇多天皇皇子の敦実親王)と申される方の御子であります。...
巻十一(全)

巻十一第十三話 聖武天皇が東大寺建立のために金を請うた話

巻11第13話 聖武天皇始造東大寺語 第十三 今は昔、聖武天皇が東大寺を建造しました。銅で居長□丈の盧舎那仏の像を鋳造させ、巨大な堂を造っておおいました。また、講堂・食堂・七層の塔二基・様々の堂・僧房・戒壇・別院・諸門、それぞれをつくりま...
巻十九

巻十九第十一話 観音と呼ばれ出家した狩人の話

巻19第11話 信濃国王藤観音出家語 第十一 今は昔、信乃国(信濃国、長野県)に、筑摩の湯という湯がありました。人々はこれを薬湯と呼び、訪れては(治癒のために)浴びていきました。 あるとき、その里の人が夢を見ました。夢に人があらわれ、告...
巻三

巻三第五話 舎利弗と目連が神通力を競った話

巻3第5話 舎利弗目連競神通語 第五 今は昔、仏が祇園精舎にいらっしゃるときに、多くの弟子達が集まってきましたが、舎利弗(サーリプッタ)がまだ来られませんでした。そこで仏が目連(モッガラーナ)に告げておっしゃるには「汝、速やかに舎利弗のと...
巻二(全)

巻二第二十四話 親に捨てられ物乞いの妻となっても城に暮らした娘の話

巻2第24話 波斯匿王娘善光女語 第(廿四) 今は昔、舎衛国(コーサラ国。祇園精舎がある)の波斯匿王(プラセーナジット王)に一人の娘がありました。善光女といいます。端正で美麗で、世に並ぶ者はありませんでした。彼女の身体はは光り耀き、あたり...
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