巻六

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巻六第十一話 兄にわずかな協力をしたために救われた地獄の罪人の話

巻6第11話 震旦唐虞安良兄依造釈迦像得活語 第十一 今は昔、震旦の唐の時代、幽州の漢県(漁陽県)に、虞(ぐ)の安良いう人がありました。字を族といいます。殺生を仕事として半生を過ごし、殺した生類の数は甚だ多く、数えることもできないほどでし...
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巻六第十話 真言を伝えるため震旦から天竺に戻りふたたび震旦に入った僧の話

巻6第10話 仏陀波利尊勝真言渡震旦語 第十 今は昔、北天竺の罽賓国(かひんこく、カブール。カシミール説もあり)に、仏陀波利(ぶっだはり)という聖人がありました。唐では覚護と呼ばれました。心を発して道を求めた人です。 文殊が清涼山(五台山...
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巻六第九話 不空三蔵が武神を呼び唐の玄宗皇帝を助けた話

巻6第9話 不空三蔵誦仁王呪現験語 第九 今は昔、不空三蔵は南天竺の人です。幼少の折、金剛智に随って、天竺から震旦に渡り、震旦で出家し、金剛智に瑜伽無上秘密の教(密教)を受け、世に弘め、衆生を利益しました。ときの震旦の国王、唐の玄宗皇...
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巻六第八話 金剛智三蔵が金剛界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第8話 金剛智三蔵金剛界曼陀羅渡震旦語 第八 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、金剛界の曼陀羅の大法を説き、金剛薩埵に伝えました。金剛薩埵はこれを、数百年ののち、龍猛菩薩に伝えました。龍猛菩薩はやはり数百年後...
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巻六第七話 善無畏三蔵が胎蔵界曼陀羅を震旦に伝えた話

巻6第7話 善無畏三蔵胎蔵界曼陀羅渡震旦語 第七 今は昔、大日如来は一切衆生(すべての生物)を救い護るために、胎蔵界の曼陀羅の大法を説き、金剛手菩薩(金剛薩埵)に伝えました。その後、数百年を経て、金剛手は中天竺の世無厭寺(ナーランダ大学/...
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巻六第六話④ 経を守るため宝を投げ捨てた三蔵法師の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (③より続く) その後法師は幾多の貴い地に詣でました。帰国しようとすると、天竺の戒日王(ハルシャ王)は法師に帰依して、様々の財を与えました。その中に鍋がひとつありました。入れた物は取っても尽きず...
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巻六第六話③ 殺されかかった三蔵法師の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (②より続く) 法師はそこ(ナーランダの僧院)を出て、尊い霊場を巡礼し、さらに他国へ趣くために、恒伽河(ガンジス川)に至りました。八十余人とともに船に乗り、川を下りました。川の両岸は密林であり、...
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巻六第六話② 三蔵法師を待ったインドの高僧の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 (①より続く) 法師は摩竭陀国(マガダ国)に至り、世無厭寺(ナーランダ大学/僧院)という寺に入りました。この寺の戒賢(シーラバドラ)論師は、正法蔵ともいわれています。法師はその弟子となり、法を伝...
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巻六第六話① 般若心経を得た三蔵法師の話

巻6第6話 玄奘三蔵渡天竺伝法帰来語 第六 今は昔、唐の玄宗皇帝の時代、震旦に、玄奘法師という聖人がありました。 天竺に至る道の途上、広野を歩んでいるとき、日が暮れてしまいました。宿泊するところもなかったので、ただ足に任せて歩いていくと、...
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巻六第五話 仏教を中国に伝えた鳩摩羅什とその父の話

巻6第5話 鳩摩羅焔奉盗仏伝震旦語 第五 今は昔、仏が摩耶夫人(まやぶにん、釈尊の実母)を教化するため忉利天(とうりてん)に昇り、九十日間滞在することがありました。天竺の優填王(うでんおう、ウダヤナ)は仏の不在をかなしみ、仏を恋い、赤栴檀...
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巻六第四話 呉王孫権と光を放つ仏舎利の話

巻6第4話 康僧会三蔵至胡国行出仏舎利語 第四 今は昔、天竺に康僧会三蔵という聖人がいらっしゃいました。仏法を伝えるため、震旦に渡る中途、胡(呉の誤りとされる)という国に入りました。 その国の王は未だ三宝(仏法僧)を知らなかったので、三...
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巻六第三話② 帝を否定し死を予言した達磨の話

(①より続く) 巻6第3話 震旦梁武帝時達磨渡語 第三 梁の武帝の時代でした。武帝は巨大な伽藍を建立して、数体の仏像を鋳造し、塔をたて、数部の経巻を書写して思いました。「私は殊勝の功徳を修した。これを智恵ある僧に見せて、讃められ貴ばれ...
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巻六第三話① 仏法を弘めようとして追い払われた達磨の弟子の話

g巻6第3話 震旦梁武帝時達磨渡語 第三 今は昔、南天竺に、達磨和尚という聖人がありました。その弟子に、仏陀耶舎(ぶっだやしゃ)という比丘(僧)がありました。 達磨は仏陀耶舎に言いました。「すみやかに震旦国に行き、法を伝えなさい」耶舎は、...
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巻六第二話 インドから中国に仏法が伝わった話

巻6第2話 震旦後漢明帝時仏法渡語 第二 今は昔、後漢の明帝のころ(西暦57~75)のことです。帝は身長一丈(約3メートル)の金色に光る人がやってくる夢を見ました。 目覚めてから、知恵ある大臣を召し、この夢の相を見てくれと言いました。大臣...
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巻六第一話 始皇帝が僧を投獄した話

巻6第1話 震旦秦始皇時天竺僧渡語 第一 今は昔、震旦の秦の始皇帝の時代に、天竺から僧が渡ってきました。名を「釈の利房」といいます。十八人の賢者をつれて、法文と聖教をもたらしました。 皇帝は問いました。「おまえたちは何者か。どこの国から来...