巻二十(全)

巻二十第十二話 仏に導かれ狂死した僧の話

巻20第12話 伊吹山三修禅師得天狗迎語 第十二 今は昔、美濃の国(岐阜県)の伊吹山に、久しく修行する聖人がありました。智恵にめぐまれず、法文を学びませんでした。ただ、弥陀の念仏(南無阿弥陀仏)を唱える以外のことを知りませんでした。名を三...
巻四(全)

巻四第二十三話 父を殺し母を妻とした話

巻4第23話 天竺大天事語 第廿三 今は昔、仏が涅槃に入って四百年たったころ、天竺の末度羅国(まとらこく、マトゥラー)に、大天(摩訶提婆、マハーデーヴァ)という人がありました。その父は商いのために大海に出て、他国へ行きました。 大天は思...
巻十七(全)

巻十七第十一話 僧を軽んじた神主の話

巻17第11話 駿河国富士神主帰依地蔵語 第十一 今は昔、駿河の国富士の宮(浅間神社)に神主がありました。和気光時(わけのみつとき)といいました。妻とともに、深く地蔵菩薩を信仰していました。しかし、光時は神主だったので、僧と出会っても馬を...
巻一(全)

巻一第三十話 蟻を救うため命を捨てた帝釈天の話

巻1第30話 帝釈与修羅合戦語 第三十 今は昔、帝釈天(インドラ)の妻は、舎脂夫人(しゃしふじん、シャチー)といい、羅睺阿修羅王(らごあしゅらおう)の娘でした。父の阿修羅王は舎脂夫人を取り戻すため、常に帝釈と戦っていました。 ...
巻一(全)

巻一第二十九話 戦争と王になった富豪の話

巻1第29話 波斯匿王阿闍世王合戦語 第廿九 今は昔、天竺に二つの国がありました。舎衛国(しゃえこく、コーサラ国)と摩竭提国(まかたこく、マガダ国)です。舎衛国の王を波斯匿王(はしのくおう、プラセーナジット王)といい、摩竭提国の王を阿闍世王...
巻一(全)

巻一第二十八話 その気がないのに出家した酔っぱらいの話

巻1第28話 婆羅門依酔不意出家語 第廿八 今は昔、天竺に一人の婆羅門(バラモン、最上カーストである僧侶階級)がありました。酒に酔い、仏のいらっしゃる祇園精舎に行きました。酔っているため、本心を忘れ、思ってもいないことをしてしまいました。 ...
巻五(全)

巻五第十五話 火事を喜んだ僧の話

巻5第15話 天竺王宮焼不歎比丘語 第十五 今は昔、天竺の国王の王宮に火事が起こりました。片っ端から焼けていったので、大王をはじめ、后・皇子・大臣・百官など、みなあわて騒いで、財宝を運び出しました。 そのとき、一人の比丘(僧)がありまし...
巻二十(全)

巻二十第十一話 閉じ込められた竜の話

巻20第11話 竜王為天狗被取語 第十一 今は昔、讃岐の国(香川県)に、万能の池(満濃池)と呼ばれるとても大きな池がありました。弘法大師(空海)が衆生を哀れんだがために、築いた池です。池の周囲はとても広く、堤を高く築き囲んでありました。池...
巻四(全)

巻四第二十二話 視力を失って天の眼を得た女の話

巻4第22話 波羅奈国人抉妻眼語 第廿二 今は昔、天竺の波羅奈国(はらなこく、ヴァラナシ)に一人の人がありました。邪見にして仏法を信じませんでした。その人の妻はもっぱら仏法を信じておりましたが、夫の心に随って、お勤めはしませんでした。 ...
巻一(全)

巻一第二十七話 行くところのない老人の話

巻1第27話 翁詣仏所出家語 第廿七 今は昔、天竺に老人がありました。半生を貧しく過ごし、塵ほどの貯えもありませんでした。妻子や親族は彼を見捨て、残された人生をともに送ろうという者はありませんでした。 老人は歎き悲しみ、考えました。 ...
巻二十四

巻二十四第十六話 安倍清明、師に従って道を習う

巻24第16話 安倍清明随忠行習道語 今は昔、天文博士・安倍清明(あべのせいめい)という陰陽師がいました。 昔の大家にも恥じぬほどのすぐれた陰陽師でありました。 幼いときから、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師について...
巻二十四

巻二十四第十五話 賀茂忠行、息子・保憲の才を知る

巻24第15話 賀茂忠行道伝子保憲語 今は昔、賀茂忠行(かものただゆき)という陰陽師(おんみょうじ)がいました。 その道については昔の名陰陽師にも恥じず、当時においても肩を並べる者がいませんでした。 そこで、公私にわたって重く用いられ...
巻十五

巻十五第四十二話 義孝の少将の往生

巻15第42話 義孝小将往生語 今は昔、一条の摂政殿(藤原伊尹)と申す人がおいでになりました。 その御子に、兄は右近少将(うこんのしょうしょう)・挙賢(たかかた)といい、弟は左近少将(さこんのしょうしょう)・義孝(よしたか)という兄弟が...
巻十七(全)

巻十七第十話 夢のお告げで伝染病を忌避した話

巻17第10話 僧仁康祈念地蔵遁疫癘難語 第十 今は昔、京に祇陀林寺という寺がありました。その寺に仁康という僧が住んでいました。横川の慈恵大僧正(良源)の弟子です。因果を信じて、三宝を敬い、戒行をたもち、仏のように人々をあわれみました。 ...
巻十七(全)

巻十七第九話 地蔵菩薩が飢えた老母を救った話

巻17第9話 僧浄源祈地蔵衣与老母語 第九 今は昔、比叡山の横川に僧がありました。名を浄源といいます。俗姓は紀氏(きのうじ)、慶祐阿闍梨(きょうゆうあじゃり)という方から瓶の水をうつすように(入室写瓶)教えを授かりました。長く山上に住み、...
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