巻三十(全)

巻三十第十四話 白鳥となって飛び消えた妻の話

巻30第14話 人妻化成弓後成鳥飛失語 第十四 今は昔、□□の国□□の郡に住んでいる男がありました。その妻は美しくうるわしくすばらしい姿をしていたために、男は離れがたく感じ、ともに住んでいました。ある日、妻と同衾しているとき、男は夢を見ま...
巻六(全)

巻六第五話 仏教を中国に伝えた鳩摩羅什とその父の話

巻6第5話 鳩摩羅焔奉盗仏伝震旦語 第五 今は昔、仏が摩耶夫人(まやぶにん、釈尊の実母)を教化するため忉利天(とうりてん)に昇り、九十日間滞在することがありました。天竺の優填王(うでんおう、ウダヤナ)は仏の不在をかなしみ、仏を恋い、赤栴檀...
巻二十三(全)

巻二十三第十六話 橘季通の逃走

巻23第16話 駿河前司橘季通構逃語 第(十六) 今は昔、駿河前司(するがのぜんじ・現在の静岡県中央部の前の国司)橘季通(たちばなのすえみち)という人がいました。この人が若いとき、自分の仕えている家ではない、さる高貴な家の女房と深い仲にな...
巻二十三(全)

巻二十三第十五話 橘則光、かたり男に功を譲る

巻23第15話 陸奥前司橘則光切殺人語 第(十五) 今は昔、陸奥前司(むつのぜんじ・東北地方の前の国司)橘則光(たちばなののりみつ)という人がいました。武人の家の出身ではないですが、きわめて豪胆で思慮深く、腕力などが非常に強いのでした。容...
巻二十七(全)

巻二十七第三十六話 山中の無人の小屋で葬列を見た話

巻27第36話 於播磨国印南野殺野猪語 第卅六 今は昔、西国から飛脚として上京してきた男がいました。昼夜をとおしてたった一人で京に向かって走り続けていましたが、播磨国(兵庫県)の印南野(いなみの)を通りかかった時に日が暮れました。一夜の宿...
巻二十七(全)

巻二十七第三十五話 死人を訪れる怪異を退治した兄弟の話

巻27第35話 有光来死人傍野猪被殺語 第卅五 今は昔、□□国の□□郡に二人兄弟が住んでいました。二人とも勇ましい心の持ち主で、思慮分別がありました。 そうする間、兄弟の親が亡くなったので、棺に入れて蓋を閉め、離れた一間に置きました。野辺...
巻二十(全)

巻二十第二十四話 銭を惜しんで毒蛇になった僧の話

巻20第24話 奈良馬庭山寺僧依邪見受蛇身語 第廿四 今は昔、奈良に馬庭山寺という寺がありました。その山寺に、一人の僧が住んでいました。長くその寺でねんごろに勤め行っておりましたが、智りは得られず、邪見の心が深く、物を惜しんで人に与えるこ...
巻三十(全)

巻三十第十三話 夫をなくし再婚を拒んだ女の話

巻30第13話 夫死女人後不嫁他夫語 第十三 今は昔、□の国□の郡に住む親が、娘に夫を持たせました。ほどなくして夫が亡くなったので、親は他の男と結婚させようとしました。娘はこれを知って、母に言いました。 「私に夫とともにいる宿世(運命)が...
巻二(全)

巻二第十二話 富み、貧窮にあえぎ、ふたたび富んだ指が光る男の話

巻2第12話 王舎城灯指比丘語 第(十二) 今は昔、天竺の王舎城(マガダ国の都)に、一人の長者がありました。家は大いに富み、無量の財宝がありました。一人の男子が生まれました。世に並ぶものがない端正な子でした。 その子は生まれたときから、指...
巻六(全)

巻六第四話 呉王孫権と光を放つ仏舎利の話

巻6第4話 康僧会三蔵至胡国行出仏舎利語 第四 今は昔、天竺に康僧会三蔵という聖人がいらっしゃいました。仏法を伝えるため、震旦に渡る中途、胡(呉の誤りとされる)という国に入りました。 その国の王は未だ三宝(仏法僧)を知らなかったので、三...
巻三十(全)

巻三十第十二話 鹿の声で恋の歌を詠んだ女の話

巻30第12話 住丹波国者妻読和歌語 第十二 今は昔、丹波の国(京都府中部、兵庫県北東部、大阪府北部)□郡に住む人がありました。田舎者ですが、心に情ある人でした。二人の妻を持ち、家を並べて住ませていました。 本妻はその国の人でした。その妻...
巻四(全)

巻四第四十一話 子を失った父親があの世に行った話

巻4第41話 恋子至閻魔王宮人語 第四十一 今は昔、天竺に比丘(僧)がありました。「羅漢(聖人)になろう」と思い修行していましたが、六十歳になっても羅漢になることができませんでした。とても歎き悲しみましたが、ついに力がおよびませんでした。 ...
巻十七(全)

巻十七第二十六話 亀を救い冥途で助けられた話

巻17第26話 買亀放男依地蔵助得活語 第廿六 今は昔、近江の国甲賀の郡(滋賀県甲賀市)に一人の下人がありました。とても貧しく、よりどころもありませんでした。妻は常に人に雇われ、機織りを職業として生きていました。 妻は織った布を一反、自分...
巻二十七(全)

巻二十七第三十四話 暗闇で名を呼ぶものの話

巻27第34話 被呼姓名射顕野猪語 第卅四 今は昔、□□国の□□郡に兄弟が二人で住んでいました。兄は故郷で狩りを生業にしていて、弟は上京して宮仕えをして時々は故郷に帰ってきました。 兄が九月の下旬で闇が深い夜に、燈(ともし、*1)というこ...
巻二十七(全)

巻二十七第三十三話 闇夜に光るものが見えた話

巻27第33話 西京人見応天門上光物語 第卅三 今は昔、西の京(荒廃した地域)に住む家族がありました。父をなくし、年老いた母だけがありました。兄は侍として人につかえていました。弟は比叡山の僧でした。 母親が長く重病をわずらっていたため、二人...
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